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ショートケーキ

ゆれる、

スカート 心 鼓膜 空気

さける、

人 関係 痛み 傷

手のひらからこぼれおちた物は
何一つ覚えていない。

私はショートケーキの苺に執着するような子どもだった。

一番最後に食べる、とお皿の端に大事に大事に取っておくのがお決まり。

その性格が悪化した。
末期、
もう治らない病気のように体の中で悪性のそれが派生していたのだ。
まるでお風呂のカビのようにこびりついて、どんな薬も効かない迷惑で厄介なやつだった。

「幸せになりたい」

暇さえあればツイッターでつぶやいた。
馬鹿である。
それでもなお私は自分の汚さに絶望感を抱かなかった。

インスタグラムで見る他の人の人生は幸せそうで、綺麗で、汚くて、羨ましかった。

くだらない人生の序章は、
バッドエンドへと続いている。

中途半端な生活に栞を挟んで、飲めもしないコーヒーを一口、口に含み絶望した。

そして大好きな苺をフォークでぐちゃぐちゃにする、
私の夜はまだ明けていない。

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