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YouTuberデビューを目指し企画会議を繰り返す30代男二人。 彼らの会議を盗撮し、…

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YouTuberデビューを目指し企画会議を繰り返す30代男二人。 彼らの会議を盗撮し、すべてネタバラシしていきます。そのネタを元に彼らがチャンネル開設した瞬間炎上させてみませんか? noteでは動画がアップされるまでの裏側を公開していきます。 #盗撮エンタメの最高峰

最近の記事

100日後にデビューするYouTuberを見つけたので盗撮してみた #43

時刻は夜7時を回っていた。朝から打っていた者は帰路に着き、仕事を終えた者はこれから一勝負して一日を締めくくる。客が大きく回転する、入れ替わりの時間だ。 私はまだ立体駐車場の3階にいた。隣の車が出て行き、新しい車がまたスペースを埋める。エレベーターから出てきた客がこちらを見ては視線を逸らし、エレベーターに向かう客もまた似たような行動をとる。なんやあいつら、と声が聞こえてきそうだ。 私はいま自分の車の運転席に座り、ただ正面を見つめていた。助手席には丸山がいる。二人とも沈黙していた

    • 100日後にデビューするYouTuberを見つけたので盗撮してみた #42

      「え、どうしたらいいん?これ」 タバコを一本吸い終わった。吸っている間に何か良い案を思いつくだろうと5分後の自分に期待したが結局今の私は5分前の私と同じ私だ。何の変哲もなく、つまらない。無能で、思考できない動物で、時間を捨て、肺を汚し、5分老けただけで何をしているのだろう。恥ずかしく、その恥ずかしさを誤魔化す手段さえ思いつかない。誰かこの無様な豚にトマトでも投げつけてくれないだろうか。 とりあえずここにいても仕方がないので再度入店した。 携帯をいじるフリをしながら中央通路

      • 100日後にデビューするYouTuberを見つけたので盗撮してみた #41

        立体駐車場の3階に車を停め、エレベーターへ向かった。店内直通のため、1階へ着けばそのまま入店できる。 到着したエレベーターの扉が開き、中へ入った。ふうっと息を吐く。 一人でお店を訪れたとき、いつもこの瞬間に丸山のことを思い出した。 今日はいるだろうか。勝っているだろうか。何の台を打っているだろうか。 いると思えばワクワクしたし、いなかったら少し寂しい気持ちにもなった。 態度には出さないが、私は彼と遊戯する時間をこっそりと気に入っていた。 いたらどうする? そんな感情を抱く

        • 100日後にデビューするYouTuberを見つけたので盗撮してみた #40

          学生時代仲の良かった友達の大半は大人になってから疎遠になる。 十年以上経った今でも気軽に連絡を取り合うのは、考えてみれば丸山だけだった。 親友というような間柄ではないが、私にとって希少な存在であることは間違いない。 初めて彼と会話したのは高校三年の夏休みだった。補修授業があり、その日私は学校へ行った。 授業が終わり下校途中、私は地元のドン・キホーテへ寄り道した。 目的の売り場へ向かう最中、『大特価』と大々的に書かれた商品ポップが目に入った。ポップの下にはたこ焼き機が何重にも

        100日後にデビューするYouTuberを見つけたので盗撮してみた #43

          100日後にデビューするYouTuberを見つけたので盗撮してみた #39

          丸山に連絡をとる。たつやについての情報を聞こうと思った。 丸山は一度たつやから、一緒にボートチャンネルをやらないかと誘われた。ならば他の誰かに声をかけていてもおかしくない。 既にYouTubeチャンネルを持っているところまで憶測していたため、その辺りを探るように頼んでいた。 「何も無いっすねえ」 素っ気ない返事に「そうか」と電話を切る。 完全に音が途切れる直前、ジャラジャラと騒音が聞こえてきた。おそらく彼は今パチンコ屋にいるのだろう。一度店から出て私と通話した後、戻りなが

          100日後にデビューするYouTuberを見つけたので盗撮してみた #39

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          【盗撮13日目】

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          【盗撮12日目】

          【盗撮12日目】

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          【盗撮11日目】

          【盗撮11日目】

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          【盗撮10日目】

          【盗撮10日目】

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          100日後にデビューするYouTuberを見つけたので盗撮してみた #38

          動画を観ているだけで視聴者はこちらの策略にハマっていく。知らずのうちにいつの間にか両手にガソリンを持たされている。 その時が来た瞬間彼らは怒り、感情のままに両手を振り上げてしまうだろう。 そうなる方法を私は丸山に説明した。 「うまくいけばね、と思うねんけど、どう思う?」 丸山は少しの間、飲み干したミルクティーのグラスを眺めていた。 やがてゆっくりと口元を広げ、隙間から歯を覗かせる。 「ほんま性格悪いっすね」 鈍く光る彼の目を見て、私もフッと息を抜く。 ノったということ

          100日後にデビューするYouTuberを見つけたので盗撮してみた #38

          100日後にデビューするYouTuberを見つけたので盗撮してみた #37

          「お互いがお互いの陰口叩いてたら視聴者は『こいつら性格悪!』てなるやろ。考えてみればたつやが誰かとボートチャンネルやるのも陰やしササノが偽イニエスタとYouTubeやるのも陰やわ。陰で悪口言って、そのうえ行動でも裏切ってたら、今後そいつらの関係がどうなっていくのかけっこう気にならん?」 「確かにっすねえ。いいっすねえ。でもそれで炎上するっすかね?」 「する」 即答が意外だったのか、丸山は私の目を見たまま固まった。 少しして、「どうやるんすか?」と眉をひそめる。 「そこ

          100日後にデビューするYouTuberを見つけたので盗撮してみた #37

          100日後にデビューするYouTuberを見つけたので盗撮してみた #36

          「噂の、最悪な兄貴な」 「はい。しゃくれチンカス野郎です」 「しゃくれてんの?」 「いや知らないっす。その兄貴とはもともとそんなに仲良くはなくて、というか普通に嫌いやったらしいんすよたつやは。なんかいつも偉そうやし、バリ兄貴面してくるから」 しゃくれているかを知らないのにしゃくれと決めつけている理由を知りたいところだが、本題とは関係無さそうなので黙っておくことにした。 「まあどこにでもおるなそんな兄貴は」 「で、とにかくおもんないらしいんすよ。けっこう俺お笑いわか

          100日後にデビューするYouTuberを見つけたので盗撮してみた #36

          100日後にデビューするYouTuberを見つけたので盗撮してみた #35

          たつやは大阪で育ち、幼少期の頃からサッカーの才能を開花させた。 小学生時代、ガンバ大阪のジュニアユースに所属していたが、スピードだけが思うように伸びずユースへの昇格は実らなかった。 中学校は公立校へ進学した。そこでもサッカーに明け暮れ、小学生時の悔しさをバネに努力を重ねた結果、数々の大会で注目を浴びるようになる。 その実績を買われ、高校はサッカーの名門校、金光大阪へ推薦で入学した。 しかし、将来を期待されていた二年生の夏、『オスグッド病』という膝の病気が発覚した。「後遺症が

          100日後にデビューするYouTuberを見つけたので盗撮してみた #35

          100日後にデビューするYouTuberを見つけたので盗撮してみた #34

          あの日、たつやの家庭的な事情を丸山はつかんだ。詳しい話は会ったときに、となっていたためその詳細を私は知らない。 そういった意味では本日こうして会えたことは都合が良かったかもしれない。 しかし。 私はこの後一人で行くつもりの場所があった。ホームレスのシゲルと別れた後はそのことで頭がいっぱいで、一直線に目的地へ向かっていた。 そこに丸山からの連絡が来たわけだ。 私は、自分の予定していた行動に対し急な変化を好まない。だから丸山も目的地へ連れて行くことにした。正直、邪魔であるにも

          100日後にデビューするYouTuberを見つけたので盗撮してみた #34

          100日後にデビューするYouTuberを見つけたので盗撮してみた #33

          ササノは自分の意思を隠しながら生きてきた。そのせいでたくさん嫌な思いをしてきたのだろう。そしてそれを、ある日出会ったホームレスのせいにしている。 「だから、ホームレスを見ると嫌気が差すんです。あのときのこと思い出して。ときどきホームレスが殺されたニュースとか出るじゃないですか? 正直全然可哀想とか思わないです。もしかしたらその中には『東京大学』と同じようなことしてた奴がいるかもしれないし、それによってあのときの僕と同じように悔しい思いをした少年がいるかもしれない。『進撃の巨

          100日後にデビューするYouTuberを見つけたので盗撮してみた #33

          100日後にデビューするYouTuberを見つけたので盗撮してみた #32

          ササノは吸い寄せられるように、その歌声の方へ行ったという。すると、『東京大学』はいつものように自分の世界へ入り込み、自作の歌を熱唱していた。手には醤油のボトルを持っていた。 醤油なんてありふれたもの、どこにでもある。しかしササノは、『東京大学』の持つそのボトルが、猫のそばに落ちていたものと同じだと確信したそうだ。 「でも、キレれなかったんです。こいつは自分が大切にしていた猫を殺した。そしてたぶん脚を食った。証拠は無いし現実味の無い嘘みたいな話ですけど、少なくともそのときの僕

          100日後にデビューするYouTuberを見つけたので盗撮してみた #32