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100日後にデビューするYouTuberを見つけたので盗撮してみた #41

立体駐車場の3階に車を停め、エレベーターへ向かった。店内直通のため、1階へ着けばそのまま入店できる。

到着したエレベーターの扉が開き、中へ入った。ふうっと息を吐く。
一人でお店を訪れたとき、いつもこの瞬間に丸山のことを思い出した。
今日はいるだろうか。勝っているだろうか。何の台を打っているだろうか。
いると思えばワクワクしたし、いなかったら少し寂しい気持ちにもなった。
態度には出さないが、私は彼と遊戯する時間をこっそりと気に入っていた。

いたらどうする?
そんな感情を抱くのは初めてだった。
いたら私は何と声をかければよいのだろう。
裏切った?というのが彼に対する率直な疑念だがまさかそのまま訊ねるわけにもいかない。
勢いで飛び出し、車の中でも考えていた。
答えは未だ見つかっていない。

エレベーターが1階に着き、私は入店した。
パチンココーナーを横目に、中央通りを進む。
王道のパチンコ台として長く人気を誇る「海物語」という遊戯台がある。私はその台の前で足を止めた。
丸山は負けが込んだとき、海物語を打つ習性があった。

人気台のため台数が多く、客もそれなりに座っている。
慎重に確認しながらどこにもいないことを確かめ、私は再度スロットコーナーを目指した。

ディスクアップコーナーに向かい、一通り後ろから客を眺めたあと、私はその足でいったん店の外に出た。

「そっちのパターン?」

思わず呟く。
ディスクアップコーナーに丸山はいた。私は彼に対する思いを募らせ、どう声をかけるのが正解なのかと、そのことばかりを考えていた。
丸山の隣にはたつやがいた。これは想定外だ。

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