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100日後にデビューするYouTuberを見つけたので盗撮してみた #37

「お互いがお互いの陰口叩いてたら視聴者は『こいつら性格悪!』てなるやろ。考えてみればたつやが誰かとボートチャンネルやるのも陰やしササノが偽イニエスタとYouTubeやるのも陰やわ。陰で悪口言って、そのうえ行動でも裏切ってたら、今後そいつらの関係がどうなっていくのかけっこう気にならん?」

「確かにっすねえ。いいっすねえ。でもそれで炎上するっすかね?」

「する」

即答が意外だったのか、丸山は私の目を見たまま固まった。
少しして、「どうやるんすか?」と眉をひそめる。

「そこはやっぱりな、結局視聴者に嫌われるのが大前提やねん」

「嫉妬させるか、不快感を与えるか、ていう話っすよね?」

「いや、もっとシンプルでいいねんたぶん」

んん? と丸山はこれでもかと言わんばかりに顔のシワを深める。
少し白々しく、なんやそれ、と思ったが口には出さなかった。

「テーマは『陰』よ丸山君。たとえばね、自分の陰口言うてる奴がいたら丸山君どう思う?」

「ムカつくっすね」

「じゃあそいつがもし嗅覚が壊れてうんこの臭いしか感じとれへん奇病にかかったらどう思う?」

「ざまあ、すね。めっちゃ笑います」

「そういうことや。人ってさ、陰で自分の悪口言う相手を不快に思うやん。当たり前やけど。で、その相手に不幸が起きたら愉快に感じる。まあ、それって別に普通のことやん?」

「はい」

「じゃあそれと同じ構図をつくればいい。つまり、ササノとたつやに視聴者の陰口を言わす」

「はあ!」

「うるさいななんやねん急に」

「すみません、なんか意味わからなくなっちゃって」

「リアクションおかしいやろ。まあだから、たとえば『おさかな天国』ていう二人組のYouTuberがおったとして、そいつらが盗撮されましたと。そこで『YouTube観てる奴なんか全員アホやで?』みたいなことを笑いながら言ってたらどう思う?」

「ムカつくっすねおさかな天国」

「そう、観ててムカつくねんそんな奴ら。なら絶対視聴者には嫌われるやん」

「はい」

「ほんまは陰口じゃなくてカメラに向かって視聴者を煽る方がいいねんで? シバターみたいな。あんなん一瞬で嫌われるから。でもササノとたつやでそれはできへんから」

「そうっすね。でも盗撮はキャラとかつくってないからリアルな言葉ですもんね? 観てる側からしたら」

「そうそう。だからそれはそれでアリやねん。で、そうやって視聴者に嫌われといて、そこに、ボートチャンネルやら偽イニエスタやらが裏で絡み出したらどう思う? 」

「お互いが裏切り始めたら、てことですか?」

「そう。愉快じゃない? しかもそれを知ってるのは視聴者だけっていう、この構図」

「ああ」

「視聴者どう思うやろ?」

「いいぞもっとやれ」

「やんな? シバターが朝倉未来にシバかれた動画えぐいバズり方したやん? 結局ああいうことよ。嫌われ者が痛い目見ると、ていう」

「でもあんなうまくいきますかね?」

「いかへんやろな。こっちにはあんな派手さ無いもん。ジワジワ焚き火してるみたいなもんや。キャンプファイヤーみたいにズドーンいかへん」

「え、じゃあどうするんすか?」

「俺らが視聴者にも仕掛けんねん」

「え?」

「みんなにこっそりガソリン持たせて、あるタイミングで一斉にかけさす」

「はあ!」

「まあそうなるわな。説明するわ」

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