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あなたの知らない「スパイス」の世界


【保存版】 種類・使い方などスパイスを活用するための基本を知ろう

最近「スパイスカレー」が大人気で、スパイスが注目されています。
スパイスは食欲増進や発汗、整腸作用など、体にうれしい働きをしてくれます。スパイスの色、香り、苦味の成分であるポリフェノールには強い抗酸化作用があり、アンチエイジングにも効果が期待できます。
さらに、スパイスを上手に使うと豊かな香りや辛みも相まって、おいしく減塩もできるのです。
健康効果やアンチエイジング効果まで期待できるスパイスを楽しみながら毎日の生活に取り入れてみませんか。

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そもそも「スパイス」ってなに?

「スパイス」とは、料理において食材に独特の芳香や辛味や色付けをするもので、日本語では「香辛料」といいます。
植物の実や種子や地下茎などをそのまま、あるいは乾燥させる、粉砕するなどの加工を施して使用します。
クミン、ターメリック、サフラン、チリペッパー、オレガノなど様々なスパイスがあります。
「ハーブ」とは、食材に独特の芳香や苦味、薬草としての薬効を加えるもので、日本語では「香草」や「薬草」といいます。
草本植物の葉や茎など緑色の部分をそのまま、あるいは乾燥させる、粉砕するなどの加工を施して使用します。
ミントやバジル、パセリ、レモングラス、カモミール、ローズマリー、セージ、タイムなど様々なハーブがあります。
同じ植物でも種子の部分を乾燥させた「スパイス」を「コリアンダー」、生葉を「ハーブ」として「パクチー」と呼び分ける場合もあります。

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スパイスの作用・効能と基本の使い方


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スパイスには、「香りづけ」「辛みづけ」「色みづけ」という3つの作用があります。「香りづけ」は臭みを消す作用もあります。ここで注意したいのは、スパイスは調味料ではないこと。カレーでは主に香りのために使うと考えてください。
スパイスは揮発性のエッセンシャルオイルが含まれており、加熱することで抽出されるので、カレーをつくるときは主に油で炒めて香りを引き出したりします。
スパイスは、生のまま・乾燥・焙煎・ホール(原形)のまま・挽いてパウダー状・つぶしてペースト状にと、さまざまに加工して形状が変わります。
形状によって、香りと特性も変わります。
最初にじっくり油で炒めるのはホールです。
焦げやすいパウダーは調理途中に加えるなど、使い方も変わります。


スパイスの種類はいろいろありますが、使う種類を増やせばよいというものではありません。
混ぜる種類が増えるほど特徴の薄い味になり、少ないとそれぞれのスパイスの個性が強く出てきます。
なので、最初はいろいろとそろえる必要はありません。まずは、ターメリック、レッドチリ、コリアンダー(またはクミン)の3種類のパウダースパイスがあれば十分です。

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スパイスの購入・保存


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スパイスはさまざまな種類をスーパーやデパート、通販などで購入できます。単体のスパイスは少量ずつ購入して、早めに使い切るとよいでしょう。
カレーの場合、スパイスによって主にホールとパウダーのどちらかを使うのかが分かれるものがあるので、レシピを確認してから購入してください。保存の際は、密閉できる容器に入れて、冷暗所に置きます。購入時の瓶のままでもよいのですが、計量スプーンで計りにくいことがあるので、口の広いタイプの容器などに移し替えて保存するのもおすすめです。


スパイス・ハーブのいろいろ


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「ターメリック」 カレーを黄色にする主役のスパイス 
和名は「うこん」。カレー粉の主原料のひとつで、カレーの黄色はターメリックによるもの。黄色の色づけスパイスの代表ですが実は香りもよいものです。根茎の部分を加熱、乾燥させ、粉末にひいて使います。パウダースパイスの中でも使用頻度が高く、特にインドでは、多くの料理に加えられます。


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「レッドチリ」 辛みづけに欠かせない赤とうがらし チリペッパー、レッドペッパー、カイエンヌペッパーとも呼ばれます。赤とうがらしを乾燥させた辛みづけのスパイスで、ホールで使うほか、粉にひいたレッドチリパウダーは辛口のカレー粉に加えられたり、一味とうがらしとしてもおなじみです。
辛み成分であるカプサイシンは熱に強いのが特徴。消化を助け、発汗作用で体内の熱を出す効果もあります。


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「コリアンダー(パクチー)」 独特の香りが食欲を刺激 タイでは、パクチー、中国では香菜(シャンツァイ)、英語ではコリアンダーと呼ばれます。独特の強い香りが肉や魚のクセをおさえ、料理にアクセントをつけてくれます。
すっきりとしたあと味も魅力のひとつです。葉や茎は火を通しすぎると香りが抜けやすいので、仕上げにサッと混ぜてフレッシュな色や香りを生かします。スパイシーなカレーの最後に加えると、全体の風味を引き立ててくれます。
根や堅い茎はよく洗って刻み、調理の初めにスタータースパイスとして炒めれば、よい香りが出るので、捨てずに無駄なく使いきりましょう。


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「クミン」 カレーの香りの元になる基本スパイス 
カレー粉はもちろん、ガラムマサラや、チリパウダーなどのミックススパイスに欠かせない、ベースとなるセリ科のスパイスです。爽やかで刺激的な香りとほのかな苦みがあり、油で炒めるとナッツのような香ばしさが出ます。はじめに油で炒めて元になる香りづけをするスタータースパイスとして、また仕上げに香りを移した油を加える「テンパリング」など、カレーづくりのいろいろな工程で使われます。炒め物に少々ふると、たちまちエスニック風味になるなど、幅広い用途があります。


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「カルダモン」 高貴な香りと表現される使いやすいスパイス
ユーカリ系とレモン系の香りが混ざりあったような香りが特徴。そのため料理の香りづけに加えて、アロマや香水にも使用されます。ショウガ科のスパイスでもあることから、肉や魚の臭い消しにも使われる事が多いですが、コーヒーやチャイティーなど飲み物に使用されることが一般的です。味もショウガ科のスパイスであることから、それほど辛くもなく、料理に使いやすいです。


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「クローブ」 天国の香りと称される強い個性と抗菌効果
乾燥されたクローブは噛むと辛みと鋭く舌がしびれるような刺激があります。しかしこのクローブの強い刺激は、ほかのスパイスと混ぜたり、料理で煮たり焼いたりすることによってまろやかになります。ミックススパイスであるガラムマサラにも、クローブはシナモンやナツメグとともにメインのスパイスとして使われます。


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「ナツメグ」 ハンバーグにも多用される人気者
そのほんのり甘い風味がバターや生クリームなどの乳製品とも好相性で、独特のクサみを抑えてくれます。ホワイトソースやポタージュ、クリームスープ、ホットチョコレートなどに少量振り入れるとグッと美味しくなります。野菜の甘みを引き出してくれるといった効果や、香りが高くなり風味が良くなるなどの効果もあります。さらにナツメグはお肉やお魚、乳製品などの臭みを消すためにも活用されています。


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「シナモン」 日桂(ニッケイ)の樹皮でスパイスの王様
ニッキとも言われ、生薬として用いられるときには桂皮と呼ばれます。健康効果があり、消化促進や血行改善に加えて生活習慣病の予防にも効果的です。特徴は独特の香りと風味。甘いような辛いような味はどんな料理や食材にも合わせやすく、とても使い勝手がいいスパイスです。


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「ガラムマサラ」 ひとふりでスパイシーになるミックススパイス 
数種のスパイスをブレンドしたもの。カレー粉との違いは、黄色の色みづけスパイスであるターメリックや辛みづけスパイスのレッドチリを加えていないこと。そのため料理に加えても、黄色い色や強い辛みにはなりません。辛さよりは香りを生かすスパイスとして使われます。加熱すると香りがとびやすいので、カレーなどの煮込み料理には、仕上げに加えるのが効果的です。


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「ローズマリー」 爽やかな香りで肉や魚介の臭み消しに 
シソ科のハーブです。爽やかな香りが特徴で、下味づけや調理途中で加え、クセのある肉や魚介の臭み消しのほか、野菜料理の風味づけにも使われます。肉や魚とともにグリルやオーブンで焼き、香りを移した香草焼きなども、おなじみの使い方。


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「バジル」 爽やかな香りで華やかな緑色が魅力 
シソ科のハーブで、いろいろな種類があります。イタリア料理でおなじみになったスイートバジルはイタリアではバジリコと呼ばれます。ほかにタイのグリーンカレーに使われる小さく細かめの葉のバイホーラパーは、タイスイートバジルで、タイバジルとも呼ばれます。甘く爽やかな香りが特徴。すりつぶしてつくるジェノベーゼペーストやグリーンカレーペーストなど、香りづけだけでなく色づけにも使われます。



3回に分ける、スパイスの加え方


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スパイスは、基本的に3回に分けて加えます。
はじめにベースとなる香りづけをするホールスパイス。調理の最初に使うので、スタータースパイスといいます。代表的なのはカルダモン、クローブ、シナモンの3種。じわじわと長い間香りが出て、肉との相性がよいスパイスです。
調理の途中に加えて香りをつけるのが、パウダースパイス。カレーを構成するうえで欠かせない基本のスパイスは、色づけと香りづけのターメリックパウダー、辛み、色、香りをつけるレッドチリパウダー、香りをつけるクミンパウダー、香りをつけて全体の調和をとってまとめるコリアンダーパウダーの4種類です。サッと炒めて香りを立たせるのがポイントです。
仕上げに加えて強い印象の香りをつけるのが、フレッシュスパイス。刻んだハーブ類をサッと混ぜ合わせます。パクチーやバジルのほか、少しクセの強い野菜ならほとんどが仕上げのスパイスとして使えます。


3分で完成!「自家製ガラムマサラ」の作り方


ガラムは「熱い」、マサラは「混合物」という意味です。仕上げ用のスパイスで、味の輪郭がハッキリして美味しくなります。その効果は、レトルトカレーにガラムマサラを少しふるだけでもよくわかるほど威力は絶大です。

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配合通りに混ぜるだけ

使うのは7つのスパイス。分量は図の通り(4人分)で、ティースプーンで計量すればOKです。まとめて作ると時間が経って香りが飛んでしまうので、使う分をその都度作りましょう。


辛さや香りの好みで、配合は変えても大丈夫

最初は基本の配合で挑戦するのがおすすめですが、好みの配合にしたくなるのがカレー好きの性ですね。
配合を変える場合の基本ルールは2つです。
全体がティースプーン10杯で完成するようにすること
表の「香りのベース」となるクミンとコリアンダーの量は変えないこと。残りの3杯分で個性を出しましょう。
辛くしたい人は、ブラックペッパーをレッドペッパーに置き換えて量を1.5杯に。逆に辛いものが苦手な人はフルーティな甘さが特徴のメース(ナツメッグと同じ果実から採取されるスパイス)をシナモンの代わりに入れ、ブラックペッパーの一部をジンジャーに置き換えてブレンドしてみましょう。 



使い方のポイントは、加熱しすぎないこと

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完成したガラムマサラをカレーに加えます。市販のレトルトカレーを温めたらガラムマサラを加え、ひと煮立ちさせるだけで完成です。
ポイントは2つ。ガラムマサラを一回量ずつ作ることと、カレーに加えたら加熱しすぎないことだけです。
カレーを食べたご家族の第一声は、「普通のカレーじゃないみたい!」でしょう。
フレッシュな香りと辛みが加わることで、スパイスの香りはもちろん、カレーが本来持っている味の要素が劇的に立体的に立ち上がってきます。
家で食べているとは思えない「本格感」にとにかく驚きです。
スパイスをその場で調合していくだけなので、ガラムマサラを作るのは思っているより簡単です。
その日の気分、体調に合わせて配合できますし、作っていくと、だんだん自分の好みがわかってきます。
そうすると、どんどんハマっていきます。
いつものカレーが劇的に美味しくなる自家製ガラムマサラ。まずは基本のレシピで、ぜひ一度試してみてください。

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