僕が僕である理由がたった一つでも欲しかったの、

わたしの好きな挨拶言葉ランキングの不動の一位は「おやすみなさい」です。

「バイバイ」みたいに寂しくて悲しくなくて、
「またね」よりも期待しなくてすむ、
「おやすみ」はとても優しい終わりの言葉だと思っています。

いつのまにか風が冷たくなって、気温が下がって秋を飛び越えて冬の一歩手前の季節になった。
そんな季節にもうすぐまたわたしは一つ歳を重ねる。

苦しみの最中にいるとき、人生は永遠かのように果てしなく永く感じてしまうけれど、本当はちゃんと時は進んでいて、もうすぐ永遠の半ばを過ぎていくんだろう。


わたしも弱いけど、あなたも弱くて、それでもなんとか役に立てることを探して見つけてやっていくしかない。
わたしはとても生きづらい生き物に生まれついてしまったけれど、でもそれだけではわたしが人生を投げやりにする理由になんてならない。

もうなんにも守るものも失うものもないと言い切れるような身軽さはとっくの昔に通りすぎて、残りの時間を出来るだけネガティブな思考回路を使わずに、どうすれば自分自身を奮い立たせて生きていけるのか、と賢明に考えられるには十分すぎるほど大人になったと思う。

年齢は多分きっとレベルアップの印なんだろうけど、それでも世間の同調圧力に負けずに、前だけを見て進んでいくことは確実に20代の頃よりも難解で探しても探しても答えが見つからない。
放っておいたらどこまでも深海に溺れていくようだから、毎日なんとか自分で自分が溺れないように引き上げて生きている。
みんなが同じスピードで同じようなライフプランを歩めないことを、そしてそれが間違いでもないことをどうかわたしだけはいつの日も忘れずに生きていきたいと願う。

でもきっと多分、今日より明日を少しでもマシにしていくことが大人になることだと思うし、わたしの嫌いなわたしだったとしても、ここからいなくならなくて良い理由を少しずつ積み上げていくことが大人になることだと定義するとしたのなら、わたしはこれからもなんとか頑張って生きていきたいなって思う。

書きたいことはたくさんあった。
でもうまく言葉にできなくて下書きばかりが増えて、そこから文章を構成する力がなかった。


実はもう半年以上、不眠症で睡眠導入剤を手放せなくなった。一時的なもので少し薬を飲めば治ると思っていた。お酒の力を借りて寝てみようと試したことも何度もあったけれど、そんな簡単に治まることはなく、最近までお酒をほとんど飲まなくなったのも薬との兼ね合いがあったからだった。
定期的に通う医者の先生にわたしがお酒が大好きなこともバレているから、お酒と薬は絶対一緒に飲まないでねと念を押されて笑われるくらいに仲良くもなった。
でも眠れない人なんて世界にはたくさんいて、みんな言わなかったり言えなかったりするだけで、わたしが珍しいわけでもかわいそうなわけでもなんでもない。
だから悲しいことでもなんでもなくて、そうやって自分で眠れる方法を探していけるくらいには色んな経験を経てきたということであって、用法容量をきちんと守って、味方にするものなんだと思う。

体や心が少し疲れたのは確かだけれど、今の環境は恵まれていて、ちゃんとみんなわたしのことを知っていてくれて、見ていてくれて、困り果てると手を差し出してくれるような人たちの中にいることに変わりはない。

時短営業が解除になり、少しずつ「飲みに行こうよ」の声があがるようになった。
その中に、いつもわたしを誘ってもらえることってものすごく感謝しなくちゃいけなくて、大人数で行けないこともあり何度かに分けて同じグループ内で行くことがあって、その度にわたしを誘ってもらえることって、久しぶりって会ってもいいなって思ってもらえることって、奇跡なのかもしれないな、とそんなふうに感じる。
最近はお酒をたくさん飲んだ日はぐっすり眠れたから、少しずつお酒にも頼っていけたらいいなと思う。

全然会えていない友達にも会いたい。
死ぬまでに絶対にもう一度コンサートに行きたい。またみんなであのペンライトと黄色い歓声の中に埋もれてみたい。あの中ではわたしは昔から自分のことが少しだけ好きになれる。そのあと飲みに繰り出して、あれが良かったこれが良かったと言いたい。
ディズニーにも行きたいし海外にも行きたい。

ほら、まだやりたいことがたくさんあるんだから、たとえ救われなくても這いつくばってでも、生きていくことが多分今のわたしの最適解なんだと思う。

だからみなさんどうかこれからもどうしようもないわたしのことを見放さずに数十メートル先からでもいいので見守っていてくれたら嬉しいです。またここから一つ歳を重ねるまでにどれくらいわたしが成長できるかわからないけれど、恥ずかしくなく、誇れるわたしでいられるよう精進して参ります。

自分の誕生日プレゼントに本を買いました。
弱くて繊細な自分を才能だと思えるように。

また一週間が始まります。今日はゆっくり眠ってまた明日から頑張ろうね。

おやすみなさい。