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[理系による「映画」考察] 間諜X27(1930) ➡世界恐慌時におけるハリウッドの戦略のうまさ

他の投稿でも書きましたが、1930~31年は映画史的に分岐点だったのかな、と思われます。
世界史を辿ると、
1914~1918:第一次世界大戦
1929:世界恐慌が始まる
1933:ナチスが独裁政権を樹立
1939:第2次世界大戦が始まる
となっています。

ヨーロッパは、1920年代のフランスは、シュールレアリズムの盛り上がりから、エコール・ド・パリ展が1928年に行われのをきっかけに、身近な人々・生活を見直す流れとなり、"巴里の屋根の下"や"マリウス"が出てきたかな、と考えます。

一方、アメリカです。
世界恐慌が起こっているので、不景気真っ只中で、エンターテインメントとしては分かりやすいものが求められたのかなと容易に想像されます。そんな中でハリウッドは、キャラが立つ役者を前面に出す戦略、つまり潜在的スターを際立たせる作戦に出たのかなと。映画に音声を入れることができるようになったので、役者の個性が際立つようになり、上記の戦略自体が実行可能になったのも背景にあると思います。

例を挙げると、下記になります。
七日間の休暇(1930):ゲイリー・クーパー、ベリル・マーサー
モロッコ(1930):ゲイリー・クーパー、マレーネ・ディートリヒ
犯罪王リコ(1930):エドワード・G・ロビンソン
民衆の敵(1931):ジェームズ・キャグニー

で、"間諜X27(1931)"ですが、マレーネ・ディートリヒの魅力を最大限に出すために作られた映画、に尽き、大ヒットしたようです。

自身は、映画は1900年代初めに生まれた新しい表現のためのプラットフォーム、と捉えており、やはりアメリカ人は新しいプラットフォームをビジネス化するのがうまいですね~。



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