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ファンが望むキャンペーン企画とは?「アツギ炎上」から考える

徐々に年の瀬も近づいており、朝晩もグッと冷え込んでまいりました。皆さんお体の具合はいかがでしょうか。

私事ですが、先日#マーケジンデイというマーケティング系メディア「MarkeZine」さんが主催するオンラインイベントにて、とあるコミュニティを題材としたTwitter運用についての登壇をさせていただきました。

聞いた話やと、他のセッションよりも視聴者が多く、なかなかのご反響をいただいたようです。この場を借りて御礼申し上げます。

さて前回、久しぶりに筆を取らせていただいたnoteが、望外の反響をいただきました(筆というかタイピング)。

ライターをやり始めて、文章を書く能力がそれなりに身に付いているのかなと率直に感じました。もっと前向きな内容でそう感じたかったのですがね……

この反響を受け、現在僕が所属するネットメディアでも、同noteをベースに、「企業公式Twitterの在り方」というテーマで、記事としても書かせていただきました。

そこでも触れましたが、ストッキングやタイツなどの所謂「インナーウェア」の老舗メーカー「アツギ(ATSUGI)」が、11月2日の「タイツの日」に合わせてTwitter上で行った投稿キャンペーンが、「性的表現」などの観点から批判を呼び炎上しました。

結果、キャンペーンは中止。さらにはアツギ公式Twitterも、当面の間新規投稿の見合わせという、実質的な運用停止処分が、後日アツギ公式ホームページならびにTwitterにて発表されました。

先日の「タカラトミー炎上」から、そう日が経ってない中で起こってしまった本件。そしてアツギというのもまた、長い歴史を持った上場企業かつロングセラーブランド。さらには、タカラトミー同様に、性的表現という観点から問題視され炎上と、様々な“関連性”があったため、同列に扱われ、「企業公式Twitterの在り方(というか、『中の人』の存在)」について様々な意見が出されました。

しかしながら、僕は「タカラトミー」と「アツギ」に関しては、「ブランド認識の欠如」という観点では確かに共通するものの、その「問題の本質」は全く異なるものと考えてます。

では一体何が問題なのか。今回は中の人というより、ブランドを見るいちマーケターとしての目線中心で考察します。

<アツギのキャンペーン詳細>

そもそもアツギのキャンペーンとはどういったものだったか振り返ります。

冒頭でも軽く触れましたが、今回アツギが行ったのは、11月2日の#タイツの日に合わせての所謂「記念日キャンペーン」です。

これに関しては、僕も含め、多くのブランド担当者もよくやる手法です。日本人というのは、とりわけ記念日好きということもあり、アニバーサリー的な仕掛けを好まれる傾向があります。

今回のタイツの日に関しても、アツギの取り扱い商材を考えたら、仕掛けることに何の疑問もありません。寧ろ販促計画を考えたら、ここで何もせんのはあり得んでしょう。

さて、そんなアニバーサリーな記念日にTwitter上で実施したキャンペーン。一体どんなのだったというと、

イラストレーターや漫画家が、専用ハッシュタグ( #ラブタイツ )をつけて、アツギ商品を着用したキャラクターのイラストを投下するPR投稿企画。

といったものでした。

■なぜ炎上した?

そんなアツギが実施した「ラブタイツキャンペーン」ですが、冒頭に述べた通り、そのイラストの一部が「性的表現」を連想させるものということで炎上したのですが、ここでいう「性的表現」というのは、

「胸を強調させたイラスト」
「スカートをたくし上げてタイツを強調するイラスト」
「あやうく下着が見えそうな体勢のイラスト」「タイツを脱いでいる(あるいは履いている)最中のイラスト」

といった、いわゆるアダルト的なものを連想させるイラストになります。また、タイツを着用している脚部分に焦点を当てたイラストが、全体的に多く見受けられる傾向にあります。

それに加えて、アツギ担当者のツイートの表現(後述)が、火に油を注ぐ結果となってしまい、結果としてこれがトリガーとなり大炎上。キャンペーンは中止になりました。

さらに、後日アツギ公式より流れたアナウンスでは、モラル意識の問題と、社内教育の徹底に、運用管理体制の見直しという「謝罪」が見られました。

一見すると、しっかりと行き届いた謝罪に見られます。が、僕は正直こう感じました。

違うそうじゃない

と。

■何が問題だったのか

今回のアツギが行った「ラブタイツキャンペーン」で、率直に感じた疑問はこうでした。

①なぜ「タイツの日」にやった?
②なぜイラスト投稿企画だった?
③なぜ他のイラストレーターも参加した?

この3つの「WHY」から、今回のキャンペーンの問題点を探ってみたいと思います。

①なぜ「タイツの日」に実施?

このWHYを取り上げる前に、まず「アツギ」という企業について、少し掘り下げたいと思います。

アツギというのは、HPにもある通り「ストッキング・タイツ・インナーウェアのメーカー」です。商品ページを見てみると、靴下を含めたレッグウェア全般の取り扱いもなされています。そして、一部男性向け商品もありますが、基本的に女性向け商品を取り扱っています。

ここから想起できることは、アツギにおいて「タイツ」というのは、大変比重の大きい商材で、すなわち、タイツの日に行うキャンペーンというのは、メッセージ性の強い企画になるということです。

今回調べていく中で、「タイツの日」に比肩する記念日は、現状「ストッキングの日(5月15日)」くらいしかありませんでした。他には、「パンツの日(8月2日)」、「靴下の日(11月11日)」がありましたが、これはアツギの商材を考えると、重要性が下がるものに感じられます。

余談ですが、僕が携わっていた「こてっちゃん」で見てみると、「こてっちゃんの日(5月12日)」「こてっちゃん発売開始(生誕)日(7月1日)」「もつ焼きの日(7月13日)」「もつ鍋の日(11月7日)」あたりが重要度の高い記念日でした。

さらにこの中では、「こてっちゃん」の冠がつく「こてっちゃんの日」と、「こてっちゃん生誕日」がより重要度が高いです。(まあ言うほど行動に伴ってませんでしたが…w)

アツギの場合、どうやら「アツギの日」といった"オリジナル"がないため、タイツの日とストッキングの日が、販促計画においても重要度が高い記念日に相当します。

そんな状況下で、

「何でこんな『突っ込んでください』と言わんばかりのキャンペーンをやったんだ?」

というのが、第一の「WHY」です。

②なぜ「イラスト投稿」なの?

今回アツギが行ったキャンペーンというのが、「 #ラブタイツ 」というハッシュタグつきの投稿企画です。一部では、このタグについても問題視されていますが、僕はこれ自体は問題には感じません。寧ろいいタグやと思います。

が、肝心の「投稿」についてが、

「人気イラストレーターが描いたコラボイラスト『だけ』だった」

ということが、非常に疑問でした。

勿論イラストの一部が、性的なイメージを連想させるのも問題です。僕もイラストをざっと見たときの最初の感想は「???」でした。感想になってないですね。ただそれくらい意味不明なものやったんです。

僕は男だからか、タイツというものに正直特にこだわりはないし、そもそもこれまでの人生で一度も着用経験がありません(普段着で着用されている男性の方がいましたらすいません)。

ただ、最低限の知識として、タイツというのは、どちらかというと「防寒」やったり、「むくみ防止」「血流を良くする」というような、「ボディケア」のために使われる用途の衣料品くらいの認識はあります。

それを踏まえた上で、あのイラストを見ても、アツギは一体何を伝えたいのかが全く見えてきません。

殊更にタイツを着用している「脚」に目を向くイラストは、百歩譲ってタイツを履くことによる、「脚線美」を表現したいのやと「脳内変換」すればいいのかもしれません。しかし、そんな「手間」をかけないといけない時点でおかしな話です。

でもそれ以上に、なぜ「イラストオンリー」なのかが、もっと理解に苦しむ点であります。

アツギというのは、先述した通り、「インナーウェア」では「老舗」に属するメーカーです。ちなみに創業は1947年で、その歴史は70年を超えます。ちなみに、僕がかつていたエスフーズは創業が1963年です。

これがどういうことを意味するのか。

それは「アツギファン」の年齢層が幅広いことに加え、ブランドを支持しているのは、商品の「機能性」「利便性」「コストパフォーマンス」あたりが連想されます。そんな「アツギファン」が、「タイツの日」にやってほしい企画の中で、「イラスト投稿企画」は、果たしてどれくらいに位置するものでしょうか。

僕は別に、イラスト自体を否定しているわけではありません。ただイラストを使うなら、商品や想定使用シーンを相当研究したものでないと、どこかしらで突っ込まれます。先日のマルちゃんなんかがいい例です。

そういう観点では、同時期に行ったチュチュアンナの企画は、イラストの利点を生かしたものやったと思います。ちなみに僕が感銘したのは、採用したイラストレーターではありません。

チュチュアンナの場合は、季節感に合わせたコーディネートを施した上で、それに合わせたタイツを提案しつつ、さらに足りない部分は文言でカバーするという、徹底して「既存ユーザーを意識したもの」ということだったからです。

さらに、僕みたいな「外野」の人間に対しても、「タイツってこういう風に使うんやな」ってイメージさせることが出来ているのも注目すべき点です。

記念日というのは、1年でもっとも啓発活動ができる日でもあります。そしてそれは、既存ユーザーに対して以上に、今までそれに関わりのない層へのアプローチの方が重要やったりします。

先述のチュチュアンナの企画は、それを伝えるためにイラストを有効活用しました。ターゲットに関しては、「既存向け」やったのかもしれませんが、ただこの企画は、同じマーケターとして、敬服したいものやと感じました。

一方でアツギはというと、ただ単に、「イラストレーターによる、アツギタイツを履いただけの女の子のPRイラスト」の投稿企画でした。果たしてこれで「アツギユーザー」は、「アツギのタイツを買おう!」と思うでしょうか。

タイツは、この時期特に重宝するものかなと思います。でもそれは、男性目線でいう「マフラー」「手袋」といった「防寒グッズ」という位置づけかつ、「足し算で使用するファッションアイテム」という意味合いの方が強いのではないでしょうか。

そういうことを考えると、

一体誰のためにやっているの?

という2つ目の「WHY」が浮かびました。

少し僕の「現役時代」の話をします。

僕は、駆け足の運用ながらも、記念日キャンペーンは「ユーザーが望むこと」をベースに行っていました。元々が、「食品」という人間の三大欲求にアピールできる商材だった強みはありますが、その中でも「記念日だからこそのキャンペーン」を行ったものです。

例えば、「こてっちゃん生誕日」キャンペーンは、通常よりもプレゼントの種類を多くしたり、「もつ鍋の日」キャンペーンでは、ある程度事前準備が出来たこともあり、「コラボ相手」も厳選した上で、豪華かつお祭り感あるものにして、ファンの方に喜んでもらえるものにしています。

とにかくそれだけ「特別感を演出」するというのが、重要なのです。

ついでにいうと、もつ鍋の日キャンペーンは、先方のYouTubeチャンネルでも特別企画として動画配信もされました。

ここのメーカーは所謂「アウトドアメーカー」なのですが、「冬キャン」「ひとキャン」といった、こてっちゃん(というかもつ鍋)が、秋冬シーズンで取り込めていない「食シーン」をより効果的に取りに行くために、「動画」を活用して新規開拓を行った側面があったりするのです。結果的にどうなのかは何ともいえませんがね(笑)

そういったことを振り返ると、アツギの「タイツの日」記念の「ラブタイツキャンペーン」では、ユーザーの「美」と「快適」を提供できていたのでしょうか。

③なぜ“あのイラストレーター”と「だけ」のコラボにしなかった?

そんなラブタイツキャンペーンですが、僕が感じた「WHY」はこれだけやないんです。

それは、なぜ複数のイラストレーターとの合同投稿企画にしたの?という点です。

実は、今回のラブタイツキャンペーンには“伏線”が存在しています。それは、投稿イラストにも登場している、「Twitterフォロワー数が100万近くいる超人気イラストレーター(名は伏せます)」とアツギ公式に関しては、今回限りの関係ではなかったということです。

アツギ公式は、Twitterを介してその方と交流し、去年のタイツの日はインタビュー記事も掲載されました。その流れの中で今年は、イラスト投稿企画を実施したのだろうと見受けられます。

僕は正直、この流れは共感している部分がありますし、素敵な関係性やとも思います。なぜなら僕も、Twitterを通じて様々なコラボを実現し、何よりこてっちゃんTwitterのキャンペーン第1弾は、自分のツイートがきっかけで実現したTVアニメとのコラボやったからというのもあります。

しかし、今回のラブタイツキャンペーンは、その方「だけ」との企画ではありませんでした。僕はそこが大きく引っかかっています。

なぜなら、他のイラストレーターも参加するのは、ステップとして何段階も飛び越したものであり、さらにそれをしてしまうと、これまでの取り組みからの「ストーリー性」が薄まってしまうからです。

僕は、アツギ公式とその方との交流は、一連の騒動で知った口ですが、もし今回のラブタイツキャンペーンが、仮にその方「のみ」のイラスト投稿キャンペーンなら、このような炎上にはならなかったと考えています。

そして、その方はいわゆる「インフルエンサー」。“取り扱い商材”に関しては、要チェックな部分もありますが、「用法容量を正しく」すれば十二分に価値のあるものだと思います。

確かに、「?」な部分は同様にあったと思います。しかし、それまでの「ストーリー」に沿ったものやし、軌道修正も行いやすかったはずです。

それが、階段の一段飛ばしのごとく(一段どころじゃないかも)、複数のイラストレーターの方も交えることで、「?」を大きくさせ、なおかつ、"監修不足"なイラストの存在も相まって大きな炎上となってしまった。

僕はこの3つ目の「WHY」が一番の疑問やったりします。なぜならそれは、

やる必要性を全く感じない部分

ということです。

ひょっとしたら、「豪華さ」を出したかったのかもしれませんが、多ければ良いというものではありません。どういう経緯で選定したかは分かりかねますが、事前に「アツギユーザーとの相性」を精査できていたのでしょうか。

それにこれは以前から何度か申してますが、Twitterというのは特異な空間だということです。そこで支持されているからといって、ファン全てに“刺さる”ものでは決してないということです。

しかも先述した通り、アツギは創業70年を超える老舗ブランドです。今回のラブタイツキャンペーンで「刺さる層」というのは、絶対数量的観点で、超マイノリティーということを認識すべきではなかったでしょうか。

以上の3つを踏まえて、今回のアツギのラブタイツキャンペーンは、そもそもの見るべき相手を、絶望的なまでに間違えた企画ということが伺えます。

■「責任」の所在

さて、そんなアツギ公式ですが、今回担当者である「中の人」についても、キャンペーン当日につぶやいた「動悸がする」といった表現が、「性的興奮」のように捉えられ、“着火剤”となり炎上し、問題視されています。

さらに、これまでの投稿が「公私混同」と叩かれ、先述したアツギアナウンスでも、モラルや社内教育の徹底といった文言で言及され、実質的な「解任」状態となりました。

しかし、僕は敢えて申しますが、今回のアツギ担当に関しては、確かに不用意な部分はあったものの、擁護できる部分もありますし、彼女だけの責任とは思っていません。

今回の問題は、ひとえに「TPOに決定的に欠けていた」点に尽きます。確かにアツギのTwitter上での企画だったので、当然担当のプッシュはあったでしょう。しかし彼女には、決裁者にあたる「上司」がいました(インタビュー記事でその存在を語っています)。当然承認を得ての企画でしょう。さもなければ、別の意味でヤバい話になります。ちなみに僕は、基本的に事前承認を得て行っていました。

その上で、敢えて「タイツの日」にぶつけているのです。企業として、その日にやる施策がどういったことを意味するのか、特にブランド担当者なら分かる話です。

だが結果はというと、先ほどの3つの「WHY」を生み出すようなものとなりました。

正直今回の炎上は防げるポイントはいくつもありました。

もし、タイツの日でない日に開催すれば(例えばアツギ公式Twitter開設日)。

もし、コラボ相手をインフルエンサーイラストレーター「のみ」にすれば。

もし、イラストはあくまで「おまけ」程度の投稿企画にすれば。

僕は上記3つをやっておけば、こんなに大きな騒動にはならなかったと思います。少なくとも、どれか1つはやるべきやった。もう「たられば」の話ですが。

そういった点を振り返って、改めてアツギが騒動後に発したアナウンスを見てみましょう。

確認体制の不備?モラルの問題?社内教育の徹底?ソーシャルメディアポリシーの徹底?社会的認識の甘さ?

いやいや、

ブランドイメージとTwitterを、
アツギという企業全体として、
理解もすり合わせも出来ていなかった

でしょう。

アツギ担当が悪くないわけではありません。正直脇の甘さは否めないとは思います。しかし、今回の問題の本質は彼女ではありません。アツギという企業そのものなんです。

それをあのアナウンスは、アツギ担当を「生贄」にするかのように感じられる発表となった。これは、タカラトミーとはまた違った「トカゲのしっぽ切り」にしか見えないのは気のせいでしょうか。

先の記事でも書きましたが、僕はアツギ担当と全く面識はなく、個人的感情で申しているわけではありません。ただ同じ「中の人」をやった1人として、今回の処置には少々疑問に感じただけです。

■「Twitter発」を上手く活用するには…

今回の件で僕が一番残念やったのは、「アツギが作り上げたTwitterでの繋がりを、アツギ自身が壊した」という点です。これは僕も多少なりとも経験しているので、とても悲しい話です。

アツギ公式も、今回のイラストレーター以外にも様々な関係性を築き上げていました。それはひとえに、「中の人」であった担当の頑張りの賜物でしょう。でも、あんなアナウンスをして「解任」してしまった以上、それも脆くも崩れてしまった。実体験で申しますが、一度壊れたものはそう簡単に元に戻れません。

Twitterというのは、時に通常では起こり得ないような「繋がり」が生まれます。これは大いなる「先行投資」でもあるはずなんですが、しかしそれを、「会社の共有財産」としてなかなか受け継がれていない現状があります。

僕はこれは会社・担当者両方に問題があると思います。前者は当然ながら「もっとSNSについて学んでくれ」という点でもありますが、後者も「もっと上手く会社にプレゼンしてくれ」とも思います。

ちなみに僕は先述したアニメとコラボをしたとき、上長にプレゼンをする際に「切り札」として投入したのが、「東宝とのコラボ企画でもある」という点でした。

東宝といえば、日本でもトップクラスの知名度を誇る企業で、映像作品に関しても、「ゴジラ」などの日本どころか、世界に誇れるレベルの作品群を有しています。

ちなみにこれは、僕が現役時代に受けたインタビューでも話した内容でもありますが、あのアニメコラボは元々は東宝からの持ち込み企画でもありました。今考えてみても「普通じゃまずあり得ねえな…」と思う話です。

しかしこれにより、

「こてっちゃん×アニマエール」

「エスフーズ×東宝」

という、図式の置き換えが可能になりました。

そうすると、提案を受ける上層部も、その意義や「先」をイメージしやすくなります。セコイ話と思われるかもしれませんが、それだけ大企業というのは、「異世界」とコラボを企画する際のハードルが凄まじく高いのです。

一方Twitterというのは、とりわけそんな「異世界」とのコラボが生まれるチャンスがあるSNSツールです。そして、それがある意味一番魅力的な部分でもあります。

だからこそ、そういったチャンスが来た際は「背景」も意識して取り行っていただければと思っています。

ちなみに、アニマエールはそれ以前に、プロ野球チームやプロバスケットボールチームともコラボをしていました。そういった「背景」があったことも「ダメ押し要素」やったりします。

まあ僕がやったことも、結局は「一過性」でしたけどね…(笑)

■「炎上」を防ぐには

というわけで、今回は「キャンペーン」という観点からの考察でした。ちなみに、今回の騒動で当初僕は、率直に感じたことをツイートしました。

この時は、割と感情的な部分もあったんですが、改めてこのように記事を書き起こすにあたり、一時は削除しようという気持ちにもなりました。

しかし、そこで再度考えてみると、「やっぱりこの騒動がおかしいことには変わらへんな」と、結局そのままにしております。

やはり最初に感じる「違和感」というものは、そう簡単に拭えるものではないようです。

これは、先日の登壇の際にも話に出ましたが、「ネガティブリスト」という名の、「これはやったら不味いんとちゃうか?」という感覚にも該当するでしょう。第六感やシックスセンス的な言い方にもなるかもしれませんね。

これは僕個人のケースですが、「現役時代」に僕が絶対に触れなかった「Twitterネタ」がひとつあります。

それは、「人の金で焼肉を食べたい」というネタです。

これは、元々MV(ミュージックビデオ)発祥のネタのようですが、肉の日(毎月29日)や焼肉の日(8月29日)になると、自然発生的にTwitterでもそんなツイートが散見され、有名な企業公式も好んで使用していました。

内容的には、「人の金で食う焼肉ほど旨いもんはない」と読んで字のごとくなもなんですが、お恥ずかしながら僕は元々この「ネタ」を知りませんでした。ただ、Twitterでよく見かけたので反応すべきなのかなあ?と、当初は少しだけ思いました。

しかし、ご存知の方も多いと思いますが、僕が取り扱っていた商材は、焼肉では超がつくレベルの有名ブランドです。

これは触れたら絶対にアカンやつや

と、直後に判断したことをご報告します。念のため言っておきますが、他の企業公式の方は、このネタに関して使うことに、僕は特に申し上げる点はございませんのでお気になさらず。

余談ですが、僕が今メインで運用しているアカウントも、たまに「あれはちょっとヤバいかもね」と、「修正」が入るときがあります。

「修正」というと、ちょっとネガティブなイメージになるかもしれませんが、ただ人間というのは万能な生き物ではないので、時には「調整」をする必要があります。Twitterというのは、「個人商店」的な運用になっている企業がまだまだ多く、ともすれば「アンタッチャブル」な扱いになることがあります。

確かに、企業としてのSNSに対する理解度の不足が、そういう事象を起こしていることは否めません。しかし、そういう事情を顧みても、それはあまり良い傾向ではありません。「タカトミ」の炎上に関しても、結局はそういった背景もあり、「事前確認」をすっ飛ばした結果、引き起こした面もあります。

ちなみに僕は、その「修正」に関して、特に嫌な気分にはなったことがありません。なぜなら、その指摘をする方は、SNSに関して十二分に理解をされており、僕の運用をリスペクトした上で言っているからです。規模としては正直小さい企業ではありますが、しかし「企業のSNS運用」という点においては、他に先んじた運用が出来ており、「理想形」のひとつではないかなと思います。

だって「『中の人』的Twitter運用」も立派な「仕事」なのですから。

<炎上編おわり>

良ければサポートもしていただければ嬉しいです(`・ω・´)ゞ