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憑き物が取れたような、新しい朝。
朝六時。
おはようタイマーでテレビの電源が勝手に入る。5分もすれば、瑞野は目覚めてしまう。テレビが点けば、体が目覚める。徹底的に染みつけた朝の生活習慣である。しょぼついた目で見た朝のニュースは、だいぶ霞んでみえた。毎日闘っているぼっさぼさの寝癖を直し、顔を洗い、髭を剃る。春先に欠かせなくなった花粉症対策の目薬も差す。ぜーんぶ、自分をベストコンディションに持っていくための調整だ。
いよいよきょうは入社式。
社会人生活のスタートラインに立った。
2ヶ月前は永遠にも思えた春休みのあの時間。最後の自由時間を活かしきってやろうと思い、たくさんの挑戦をした。自分でやらなかったことをやる、行ったことのなかった場所に行く、会えなかった人に会う。ぎっしり詰まった予定は、春休みが瞬く間に終わることを暗示していたのかもしれない。それぐらいあっという間に今日が来てしまった。
正直、きょう朝起きたときに期待が大きいか、不安が大きいのか、自分の心の中のどの感情が一番勝つのかよくわからなかった。もし不安が大きかったらどうしようか。どんなふうに自分のメンタルをいい方へ持っていけばいいだろうか。そんなことを考えながら、昨日は眠りについた。
朝起きたときに一番大きかったのは
なんと「ワクワク」だった。
一体どんな人と出会えるだろうか、どんなことをこれから学ぶんだろうか、自分の新しい挑戦が始まる、そのことに不思議とワクワクする気持ちが沸いてきた。この気持ちをなるだけキープしたくて、
マホでスピッツの曲を沢山流した。こういう気持ちの時には、なんとなく不思議な雰囲気で、でもどの曲を選んでもそっと背中を押してくれる、スピッツがいちばん合うんよだぁ。
今までずっと見続けてきた夢は今日終わり、また新しい夢が始まるんだろうな。とか、ロマンチックでポエジーなことを言ってみた。そう思うと、心の中を覆っていた不安や迷いみたいなものが全部吹っ切れて、まるで凪の海のような落ち着いた気分になれるから。これまでどうしても心についてまわっていた憑き物が、ボロッと落ちて、純粋な気持ちで電車に乗れた。
そこからはとても良かった。見える景色、出会う人すべてが新鮮で、厳しかった挨拶の練習ですら「なにくそ、やってやろうじゃねえか」ってぐらいの度胸でやっていけた。一瞬たりとも辛いとは思わなかった。社会人生活としてはこれ以上ないぐらい最高なスタートダッシュ。休み気分だった体を叩き直すにはむしろこれぐらいの方がちょうどいいぐらいだ。
まあ、働くのが嫌な人間なんて俺だけじゃないし、この世の新社会人みんな大変なんだから。仮に辞めても、死ぬわけじゃないし。なので、マイペースに、気楽にやっていきますよ。命があることがまずは大事ですからね。
というわけで、今日からまた新しい瑞野蒼人が始まります。社会人として働きつつ、noteも頑張りつつ。どんなことになっていくのかまだまだ何にもわかりませんが、まずは自分のペースで。明るく楽しく気楽に頑張っていこうと思います。これからもどうぞご贔屓に、よろしくお願いいたします。
おしまい。
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