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ロプノール日記 皐月の鯉の吹き流し

若鳶を山藤煙る目で送り
竹の秋若き山端に黄金いろ
日の本の誉れもかくや駿河富士
蝶々のやたら現わる法事の日
小さき子の聖なるおしゃべり山笑ふ


ってことで実はGW初日の4月末、T兄のおとうさまの13回忌。二人して箱根山を越え静岡まで旅してきたのだった。その道々の風景を詠んだ。


すごいなあと思うのは、最高齢で米寿となるおかあ様始め一族の結束が強いこと。
T兄は以前から刑務所に出たり入ったりを繰り返してきたことを恥じて自ら距離を取っていたが、ご長姉の
「もういいから。法事来なさいよあんた」鶴の一声。行けば皆、下手したら十年会ってない彼を笑って自然に迎え入れてしまった。



おかさあまのひ孫ちゃんが4人おりうち一人の幼い女の子がまた、言うのも変だが私の幼い頃まんまというか。おしゃまと不思議と陽気のかたまりみたいな子。即打ち解けた彼女は私にずっと愛らしい内緒話を教えてくれた。



そうよね。
ふしぎね。
私も知ってるわリールー、その妖精のこと。
ごく当たり前に私たちはくすくす話してた。帰りに野の赤い花をその子とその子のおねえさんの分、摘んで渡す。
「じゃあまたねーバイバーイ!」車から手をブンブン振った。
↑初対面の義家族へ五十路の嫁として帰り際それでよかったのか。なんかあのおちびちゃんと話してたノリでつい。


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黄金週間。
夫・T兄に会うのを3年ガマンした水宮はもう、夢見心地。
彼がいる上になんといっても数年前初めて来てから大好きになったこの地。そこら中若々しいもえぎいろでもう世界にマヨぶっかけてモリモリ食べたくなる。花も山盛り、小鳥歌いまくり、蝶飛びまくり。蟻様🐜(©︎T兄)たちも足元で活発なので気をつけて歩くが、ヒザさえ万全ならウサインの如く疾走したい。ま、動かせてるし脚筋トレも無理なくしててよく眠れてよく飲んで。笑うタネを毎日用意しておいてる。トイレには大好きなギャグマンガ、お笑い見て聴いて自分でもネタ考えて←これはスベる。


こどもの日はT兄の親友S兄が遊びにきた。折よくカレーだったので大盛りに。お土産の静岡産、水宮初体験のなまの桜海老が美味しすぎて声を失う。
(二人はたまたま同郷。話す時は語尾に「〜ら」(関東でいう「だろ」「じゃん」関西でいう「やろ」がつく。)
小次郎が大暴れして海老🦐を奪おうとしたのでケージに収監(©︎T兄)。

寝込みを襲って瞬間パシャリ。若き獰猛さマックスの小次郎。T兄は愛をこめて「ションベン」と呼ぶ。まだオシッコダメダメたから。

快調で元気になってきたのは、明らかに「気」のせいだ。
気が良くなったから病気もいらんなくなった。そらそうよね。
大気は美味い水のよう。植物たちのにおい、清冽な水のにおい。深く息をするくせがついた。酒もだが水もよく飲む。玉袋筋太郎さん言う所のレバートリートメント。ガンマGPTを乗りこなす。
そもそもなんも気にしなくなった。心配もないし。そもそも心配とかってしたいからしてるものだ。T兄とも全然ケンカしなくなった。江戸っ子の皐月の鯉の吹き流しみたいにすぐ忘れちゃう。む、と思っても気持ちを読むと分かるから。猫のもね。で、忘れる。
私の人生生きてるのは私だし〜。彼らは彼らでやってる。それでいい。それで好き。


てか彼の距離の取り方はある意味絶妙かも。あまったれの私をやや突き放して日頃はそれぞれプライベートを過ごすルームシェアの隣人めいているが、こんなことを言った人もいる。
「距離を置くことで惹きつける」「距離は好意を育てる」。
離れれば恋しい。たまにめぐる満月はたっとい。
誕生日に満月の形のルールランプをもらった私は、嬉しさのあまり号泣した。
私の好きなものをちゃんと憶えていてくれた。
いつも本と自分で買ったまるいランプ(いつか損じてしまった)をバッグに入れて家の中を移動していた私。
「あれはにゃ子の月だったんだろ?」
眠る時もそれを離さない私が愛しくてならなかったと。


私はどんな恋をするだろう。彼とこれから。例えば今夜、例えば明日、それとも一か月後。
今朝がた、トカゲ?の声が言った。
行動しろよ。お前は備えすぎていつもポシャるかストレス爆発させてきたよな。
動いちまえ。いいと思ったら行け。


電波塔はこの頃いつ見てもみな、言う。
「広大。偉大。」
空を見る。とんびたちは姿を隠している。恋や子育てに忙しいのかも。
どこに行くか。
それはいつも外に出ると分かる。

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