瑞野明青

歴史や旅が好きです 平安末期から鎌倉時代が本籍だと思っていたのですが、最近幕末・明治にはまってます 旅は国内・海外とも行きます

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    • 【小説】奔波の先に ~聞多と俊輔~ 明治維新編

      【小説】奔波の先に ~聞多と俊輔~ の明治維新編をまとめます。

    • 【小説】波の先に〜聞多と俊輔〜幕末編

      小説 奔波の先に〜聞多と俊輔〜幕末編 をまとめました

      • 【小説】奔波の先に ~聞多と俊輔~ 明治維新編

      • 【小説】波の先に〜聞多と俊輔〜幕末編

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    【小説】奔波の先に の先にはどこに行くんだろう

     井上馨に興味を持って、とりあえずこれだけ読みました。 どこに向かうかどこまで続けられるのかわからないんですが、影響が大きいのは坂野潤治先生のものです。特に「未完の明治維新」にはなぜか泣けました。そして「近代日本の国家構想」の中で「1880年から81年にかけて立憲制移行と健全財政主義をセットにした井上の政策体系は明治政府の現実的な選択肢として再浮上してきた。しかし〜。近代国家日本は、政治体制においても経済体制においても、井上を除外した井上構想に進んでいたのである。」(p68)

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      • 【小説】奔波の先に ~聞多と俊輔~#115

        21 大阪会議(5)  次の日、馨は大阪行きの船に乗った。部屋に荷物を置くと、食堂室に向かった。陸奥からの文によると、食堂室で知り合いにあったかのように振る舞いたいとあったからだ。  食堂に行き、見回すとそれらしい二人組は、まだ見当たらなかったので、ブラックティーとビスケットを頼んだ。 「井上さんですね。小室と古沢です」 不意打ちのように声をかけられた。 「井上馨です。小室くんと古沢くん。よろしく」 「あぁすいません。僕らも同じものを」 すぐに、ふたりにもブラックティーとビ

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        • 【小説】奔波の先に ~聞多と俊輔~#114

          21 大阪会議(4)  馨は着替えをしに、荷物をおいている定宿に戻り、またでかけていった。そして陸奥とかかれた表札の家に入っていった。 「陸奥くん、すまん、井上じゃ」 夫人が出迎え、書斎に案内していった。 「あぁ、井上さん。お久しぶりです。そちらにお座りください」 「木戸さんにはお世話になって、ご相談にもあずかったのに、結局大蔵省をやめてしまいました」 「それでも、わしが止めていた金納を、やり遂げておったではないか。素晴らしいものじゃ」 「井上さんの会社も、なかなかおもしろ

          • 【小説】奔波の先に ~聞多と俊輔~#113

            21 大阪会議(3)  三井組の事務所に馨は向かった。自分から行くことになるとは、と少し不思議な気がしていた。  受付に顔を出すと「井上馨というものじゃ。大番頭の三野村さんにお会いしたい」と用向きを告げた。  係の者は少し緊張した声で「ご案内いたしますので、そちらにお座りいただき、お待ち下さい」といった。  しばらく待っていると、三野村についている顔を見たことがあるものが出てきて「これは井上様、たいへんお待たせいたしました。ご案内いたします」というと、先導して三野村のいる事

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          • 【小説】奔波の先に ~聞多と俊輔~ 明治維新編

            • 62本

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          • 【小説】波の先に〜聞多と俊輔〜幕末編

            • 55本

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          • 【小説】波の先に〜聞多と俊輔〜幕末編

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            • 【小説】奔波の先に ~聞多と俊輔~#112

              21 大阪会議(2)  日を置かずに東京に戻ったところで、江藤が佐賀で士族が兵を挙げたことを知った。そういえば前原一誠も官を辞して萩に帰っていたことを思い出した。前原は政府の士族に対する秩禄処分や徴兵制に不満を持っていたと思いを巡らしていた。前原を萩から引き離すべきだ。木戸や博文に文を送ったが、不安が消えることはなかった。山口にもまた騒動が起きるかもしれない。それは馨にとって確信にもなる出来事になった。  大久保の率いる内務省は地方の治安を握っていた。そのため内務卿として

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              • 【小説】奔波の先に ~聞多と俊輔~#111

                21 大阪会議(1)  新聞に大きな文字が踊っていた。 「民 撰 議 院 設 立 建 白 書 」  民の選挙によって議員を決めて、国会を開こうというものだった。これまでも民権活動家と言われる人たちがやったものはあったが、今回は政府の中枢にいた人たちも一緒に名を連ねていた。  征韓論で下野をした、板垣退助や江藤新平がおり、でも知らない名の者が筆頭に出ていた。小室信夫、古沢滋という人物に、馨は興味を持った。このメンバーは板垣を中心としたものだろう。そうすると土佐派と言うことか。

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                • 【小説】奔波の先に ~聞多と俊輔~#110

                  20 辞職とビジネスと政変と(8)  だが、閣議は思ったような進展をしなかった。西郷隆盛の朝鮮使節派遣が決定されたのだ。閣議決定を三条実美が天皇に上奏するだけになった。  すると決定を受けて、岩倉、大久保、木戸の三人が辞表を出す。三条実美は派遣反対、賛成の板挟みに悩み倒れてしまった。太政大臣の職責を三条実美はできなくなり、太政大臣代理に岩倉具視が就いた。  次の手を打ったのは、大久保だった。宮内卿の徳大寺に閣議決定と岩倉の意見である西郷隆盛の派遣延期を秘密裏に上奏させた。こ

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                  • 【小説】奔波の先に ~聞多と俊輔~#109

                    20 辞職とビジネスと政変と(7)  東京に戻った馨を待ち構えたかのように、伊藤博文が押しかけていた。 「無事の帰国なによりじゃ」 「ずいぶんおらん間に変わってしもうた」 「そうじゃな」 「西郷さんらの朝鮮への使節の件どう思うんじゃ」 「わしには関係ないじゃろ」 「聞多、大事なことじゃ。戦にでもなればビジネスどころじゃないぞ」  馨は博文のほうを見て、仕方がないかとでも言うように話しだした。 「今の廟議なら反対派も増えたはずじゃの。例えば五分五分までいったとして会議の後、帝

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                    • 【小説】奔波の先に ~聞多と俊輔~#108

                      20 辞職とビジネスと政変と(6)  そして、木戸も帰国をして、長州が排除された政権に不快感を隠せなくなっていた。渋沢や陸奥が馨の大蔵省のやってきたこと、問題点を話しに訪問していた。肝心の馨はなかなか訪ねては来なかった。  木戸はとうとう馨の家に押しかけて行った。 「聞多があまりにも、顔を出してくれんので、来てしまったよ」 木戸は笑みを浮かべ、馨の前に座った。 「どうですか、体の調子は」 「まぁ、頭痛がなかなか良くならん以外は、随分マシになってきた」 「それはよかった。杉達

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                      • 【小説】奔波の先に ~聞多と俊輔~#107

                        20 辞職とビジネスと政変と(5)  馨は工部省に山尾庸三を訪ねた。尾去沢鉱山の件の礼を言うためと、弥吉改め井上勝を視察に同行させることを説明するためだった。 「工部大輔様へのお礼の言上のため参りました」 馨は笑いながら言った。 「聞多さん、そのような物言い似合わないですよ」 「そうかの。これからは一商人になるんじゃ。偉そうにしても得はないじゃろ」 「鉱山もですか」 「あぁ鉱山の方は気が進まんのだけれど、すこし資本を出すくらいはええかと思っての」 「視察に行かれるとお聞きし

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                        • 【小説】奔波の先に ~聞多と俊輔~#106

                          20 辞職とビジネスと政変と(4) ある日岡田から宴席の招待を受けた。 「ご免官叶いまして、おめでとうございます」 「めでたいことかの」 「我らにとってはめでたいことでございます」 「我らとな」 「造幣権頭の益田孝くんもおやめになったということで、アーウィンという英国人の貿易商人もつれて、合流することになるらしいです」 「そげな話は聞いとらん」 「面白い者たちが集まりそうでございます」 「そういえば、最近大蔵省が差し押さえた銅山が工部省の管理になっとったな」 「どちらでござ

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                          • 【小説】奔波の先に ~聞多と俊輔~#105

                            20 辞職とビジネスと政変と(3)  その頃、正院では大蔵省の縮小案が議決されていた。内閣が設置され、参議が法令の作成や予算の審議を行うことになった。  そのため大蔵省の内局の調査・監査部門が正院の内史に移管されることになった。これは馨の全面的な敗北を意味していた。これを受けて馨は辞任願を三条実美のもとに提出した。 「渋沢の言う通りになったの。おぬしは辞めるのをやめろ」 「井上さん、それは以前のお約束を反故にするおつもりですか」 「以前の約束じゃと」 「ともに、国を富ませる

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                              20 辞職とビジネスと政変と(2)  この夜、馨はいつもの店でお気に入りの芸者を置いて酒を飲んでいた。 そこに女将がやってきた。 「井上様、芳川様のお使いが見えられて、渋沢様もお越しのようで、こちらに来てくださらないかとおっしゃっていますが。いかがいたしましょう」 「芳川と渋沢がの。そうじゃの、そちらに参ると伝えてくれ」  そう言うと、そばにおいていた妓に「すまんが今日はこれまでじゃ」と声をかけて立ち上がった。  渋沢と芳川のいる茶屋に着くと、すぐに女将が案内をしてくれた

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                              • 【小説】奔波の先に ~聞多と俊輔~#103

                                20 辞職とビジネスと政変と(1) 大蔵大輔の執務室をノックして入ってくるものがいた。 「馬鹿ぁー」 馨の怒声が轟いた。 続けて大声で言った。 「誰も入れるなと言ったはずじゃ」 そして机の上の冊子を投げつけていた。 「失礼します。あぁあこのようなものを」 気にすることもなく入ってきたのは、渋沢栄一だった。 「はぁ、公議公論ですか。こんどは民権活動家にでもお成りですか」 「そげなもんは知らん。何を言うちょる」 「ある界隈では、井上さんのことを今清盛、私を維盛扱いするそうです。

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                                • 【小説】奔波の先に ~聞多と俊輔~#102

                                  ライナーノート 100回記念 なぜ井上馨?  さて、井上馨の大蔵省エピソードもそろそろ大詰め。そもそもなぜ、井上馨を調べることにハマったか。  高校では日本史を選択し、明治時代まではたどり着けていたので、大久保利通にはそれなりの知識もあった。そこで本を読むと政策として殖産興業が出てくる。勧農分野では内藤新宿の農場が代表例と挙げられることが多いのだが、内務省設立前にできているとある。  もう一つあまり意味のわからない言葉で「太政官制潤飾」というのがあって、明治留守政府が正院の

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                                  • 【小説】奔波の先に ~聞多と俊輔~#101

                                    19 予算紛議 (11)  陸軍は薩摩が大勢を占めていたことから、山縣はその進退が問題になっていた。馨は、西郷隆盛と大隈の力も借りて、山縣の処分が寛大になるよう調整をした。とりあえず軍籍はそのままに陸軍大輔の辞任で済ますことができた。  このことで馨は、以来表立って山縣の支援は請けられず、太政官で孤立を深めることになった。  誰も入れるなと怒鳴っては、自分の執務室にこもった。  そして机の上に置いた木戸からの文を取り出した。 「大体、最近の西洋化は日本の事情を考えない表面的

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