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【恋愛小説】私のために綴る物語(60)完

第十一章 私達の物語(2)

 史之は帰り際に何かを話していて、またお礼を言っていた。今度は僕が招待しますよとでも言っているようで、二人で笑い合っていた。多香子も別れを文華に言うと店の外で待った。
 史之が来ると、二人で待ち合わせのホテルに行き、車で帰宅した。

 部屋に入ると、電気をつけずに史之は多香子を求めていた。
「待って、シャワーを浴びたいけど」
「そんなの駄目に決まっているだろう。着物のままの君を犯したい」
「犯されるの。史之に。そんなの嫌、私達は愛し合うの。史之が欲しい。史之を私が抱いてあげる」
「君の好きにすれば良い。僕は僕のやり方をするだけだから」

 史之は多香子を後ろから抱きしめると、ベッドの方に歩いていった。さっきはあんなに強気だったのに、こうして抱きしめて、胸に手を入れると結構弱いものだと思っていた。
「ひょっとして、もう感じてる?多香子の強気もたいしたことないな。さぁ、縁に手をついて。膝は床でも良い」
 合わせを力を入れて、開けると白い襦袢が見えていた。先に着物を脱がすかこのまま入れてしまおうか迷ったが、着物を脱がして襦袢姿にすることにした。帯をほどき緩めると外していた。袷の着物も紐を解き脱がすと、襦袢姿にしていた。多香子は抗うことをしなくて、ここまでは合意があるとしていた。髪飾りを外して、黒髪が顔にかかると、史之は顔を向かせてキスをしていた。

「きれいだ。いつか、この姿で君を縛り上げて、犯したいな。たくさん喘ぎ声を聞かせて欲しいんだ。これでも、もう君は感じているし、可愛くって仕方がない」

 抱きしめて、襦袢を大きく開けて、今度は胸を露わにしていた。背中を口付けて、舐めてみた。胸に手を当てて、揉みしだくと、多香子から喘ぎ声が漏れ始めた。固くなった蕾にはなるべく当てないように下から上へと撫でていた。動きに合わせて、声が大きくなっていた。今度は裾をまくり上げ、尻を露わにすると、優しく撫でていた。そして、ショーツの上から花びらの部分に手を当てると、十分なくらい湿っているのがわかった、しかし入れるのは止めて、背中を舐めながら優しく撫で続けた。刺激を求めるように腰が動くと、尻を叩いた。

「今度は鞭を用意しようかな。多香子は喜びそうだし」
「さて、どうして欲しい、多香子。言ってくれたらしてあげる」
「史くんが欲しい。一つになりたい。挿れて」
「でもね。こうしたらもっと良いと思うよ」

 もう一度手が胸に当てられていた。今度は蕾に刺激が与えられ、様々な方法で、責められていた。押されたかと思うと撫でられた。つままれるともう我慢ができないかのように、体が揺れていた。

「凄いな。これでイケそう。もっと可愛がってあげるね」
首筋にキスをして顔を埋めていた。胸に当てた手はもっと力を入れて、揉み上げていた。
「多香子の胸は僕の手にちょうどいいんだ。柔らかくて張りもあって、こんなに乱れるともっとしてあげたくなる。でも舐めてあげるのは我慢する。多香子、イキたいのか。イキたいならイカせてあげるけど」
「あぁ、だめ、もう駄目」
「仕方がないな。指をあげる」

 史之は、花芯に指を埋めて動かしていた。指を締め付けるのがわかると、感じやすいところに当たるように気をつけていた。その動きに合わせて、声が大きくなると笑顔になっていた。ゆっくりとポイントを外さないように浅く動かした後、思いっきり強く動かした。髪の毛もそのリズムに合わせて大きく揺れていた。陰核にも指を当てていた。激しい声が聞こえていたが、啼き声に変わると、体が震え始めた。強く押し当てると身体が跳ね上がり、髪の毛も持ち上げられた。髪の毛がベッドに広がるように見えると、痙攣をしていた。
 果てた多香子を、抱き上げて、ベッドの上に横たえていた。

 羽織と着物を脱ぎ史之も襦袢姿になった。ヘッドボードに寄りかかって、ベッドサイドテーブルに置いた水を飲んでいた。多香子がモゾモゾと動くと、抱き上げて、膝の上に座らせた。水を飲ませて、一息つくと抱きしめていた。

「どう、犯された気分は」
「最悪。私だけされた」
「僕はうれしかったけど。多香子が喜んでくれただろう。君の声が届いていたよ」
「史之のその涼しい顔を歪めたい」

 多香子はもう我慢ができないと、史之の方を向いて、キスをして抱きしめていた。襦袢を脱がして、下着のしたに手を入れると、男性器を握っていた。

「多香子はそれをどうしてくれるのかな」
「手で、気持ちよくさせてあげる。それにこうして、ね」
 史之の肩から胸にキスをして、蕾に舌を当てていた。
「多香子、手が疎かになってる。それじゃ僕は気持ちよくならないな」

 多香子は史之の足を引っ張って、ベッドに横にさせていた。これで両方伸ばせると思ったが、史之の表情は変わらなかった。もうこれしかないと思った多香子は、下着を脱がして、史之の上にまたがっていた。そして、一つになっていた。

「確かに、無理やりだ。しかもゴムを付けていないけど」
「そもそも多香子に襲われて、苦悶の表情なんか無理だな。君が気持ちよくなっていくと、僕もきっと多香子の美しさに見惚れてしまう」
「それじゃぁ、横向きになろう。それで、こうして私の中に入って」

 横向きになって、史之に抱かれる形を取った。そして繋がったのがわかると、手を胸に誘った。後はイクふりをして、足を使って締める。多分史之は我慢できなくなるはず。動きに合わせて、史之の息が上がってくるのがわかった。顔が見たいのに、この体位だと結構辛い。キスをねだろうと顔だけ後ろを向けた。思ったより余裕にキスをしていて、もっと強く、早くやってみると、史之が強く抱きしめていた。

「やばい、もうゆっくりしてくれないか」
「どうして、はっきり言ってくれないと、わかんないんだけど」
「イキそうだ」
「イッていいよ。ギュッと抱きしめてね」

「史くんを気持ちよくさせることできたかなぁ」
「多香子にしてやられた」
「史くん、可愛いよ。その悔しがる顔、すっごく可愛い。こんな顔するの初めてだよね。本当はイクところ見たかったけど、それは今度にしておく」
「その手を離してくれないか」

 多香子は起き上がって、手で史之の胸をいじっていた。撫でたり、突起をつまんだり、押してみたり、反応を見ながら続けていた。

「どうして、感じてるでしょ。立ってるのに」
「気持ち悪い」
「また言う。くすぐったいだけでしょ。もっとくすぐってあげる。好きにやっていいって言ったよね」
「我慢の限界だ。これ以上すると」
 期待を含めて、目をキラキラさせて、史之を見つめる多香子が愛おしかった。
「これ以上は」
「その手を縛るよ」
「縛ったらもっと、気持ちいいことしてくれるの」
「いや、多香子が悪い子だからお仕置きする」
「可愛いから、自分だけのものにしたくなった。の間違いでしょ。そんな事しなくても、史くんに気持ち悪いって言わせられるの、私だけだからね」

 多香子が史之の顔を見つめて言っていた。自分で可愛いなんてよく言うもんだと史之は呆れていたが、多香子は意に関せずだった。

 史之はたか子を抱きしめて、ベッドに横たえていた。
「多香子、僕は君の中で眠りにつくべきなのかな」
「史くん、私はずっと抱きしめられたいの」
「よくわかってる。多香子が僕の腕の中で喘いでいる。幸せだよ」
「とっても素敵。これが幸せなんだね」
「もう朝だ。こうやって朝を迎えるのも格別だ。このまま朝寝もいいな」
「うん、素敵なことになりそう」

 満ち足りた二人は、いつしか眠りについた。

 日も高くなった頃、史之は多香子のブランチのフレンチトーストの良い匂いで目が覚めた。

「おはよう、多香子」
「もうおはようの時間じゃないから。食べ終わったら、シーツを洗う!よろしくね」

 史之は、もう甘い生活などと、言っている場合ではなかった。日常の生活は、日々変わり、日々繰り返されるということらしい。多香子が、自分が、この日常の中にいる。それはここからまた始まっていく物語にも思えていた。

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