「木綿のハンカチーフ」の悲哀
この前、橋本愛さんがMステで「木綿のハンカチーフ」を歌っているのを聞いて、衝撃を受けた。
「木綿のハンカチーフ」といえばやはりご本家・太田裕美さんがにこにこと明るく歌い上げているイメージが強い。だが、橋本さんは女優らしい繊細な表現で、泣いているかのように淡々と歌うのだ。これはこれでよいなあ。
そして今回、彼女のカバーをきっかけに歌詞を読み返してみたのだが、以前受けた印象と異なっているのに気がついた。
歌詞のストーリーとしては田舎に彼女を残して上京した男が垢抜けていき、華やかな都会に染まって彼女を忘れていくというもの。贈り物など望まなかった純粋な彼女が最後にねだったのが、なんと涙を拭くための木綿のハンカチーフだったのでした、チャンチャン......というオチなので、ひたすら「男、こんなピュアな彼女を捨ててひどいな」と思っていたのだけれど、彼女も彼女なのだ。
この彼氏、実は優しいヤツで、都会に旅立ってからも
はなやいだ街で 君への贈りもの
探す 探すつもりだ
都会で流行の 指輪を送るよ
君に 君に似合うはずだ
と、会えない彼女をたびたび優しく慮っていたのだが、それを彼女は
いいえ あなた私は
欲しいものはないのよ
ただ 都会の絵の具に
染まらないで帰って
と、バッサリ切り捨ててしまうのだ。
そして、最もグサっとくるのが、ここ。
都会で生活する中で垢抜けたことを
見間違うような スーツ着たぼくの
写真 写真を見てくれ
と、写真を送ってまでアピールする彼氏(かわいいな)。しかし、それを彼女は
いいえ 草にねころぶ
あなたが好きだったの
と全否定するのだ。
頑張って都会で成長して、一番認めて欲しかった彼女に「昔のあなたが好きだった」と言われてしまったら、どれだけ悲しいだろう。
どちらも悪くなくて、どちらも悪い。
恋愛とはかくも難しいものなのだなあ......と、まるで映画を見たかのようにしみじみしてしまったのでした(おしまい)。
●おまけ
その後ごりごりにいろんな人がカバーしている動画をあさっていたのだけど、はいだしょうこさんがカバーしているのが一番好きだったのでぜひ見てくださいませ。
男役(超かっこいい)から娘役になると、全くの別人ですごい。
そしてさすが元タカラジェンヌの実力......。心のこもった歌に泣いてしまった。
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