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初めて「自分を綺麗に」した日

メイクは正直言うと苦手だった。ファンデもどんな色を選べばいいかわからないし、コンシーラーの使い方も良くわからない。大学に入ってからもろくにメイクはしたことなかった様な気がする。

大学を卒業してからはフリーター生活で、特にメイクを強要される職場ではなくむしろノーメイクの方が都合が良い様な仕事をしていた。

メイクに興味がなかった訳じゃない。ただやり方がわからない、というのが9割だった。高校も大学も、就職した後に必要だというならメイクレッスンの授業とかしてくれれば良いのに。学ぶタイミングが無ければそりゃぁ知れるチャンスも無くて。

大学を卒業して2,3年経った頃だろうか。とある美容系Youtuberに出会った。彼女は私よりいくつか年上だった。とても美しく、華のある女性だと思った。色んなメイクをして、それを紹介している動画を上げている人だった。

一からメイクの仕方を紹介している訳ではなかったが、アイラインをどんな風に引くかとか、チークをどう入れていくかとか、アイシャドウはどんな色を選ぶかとか、そういう話をずっとしてくれていた。彼女の動画を片っ端から見た。同じ顔なのに、可憐な乙女にも、妖艶な美女にも変身してしまう彼女がとても素敵な女性に見えた。まるで魔法使いの様だ!とさえ思った。

元々多少コスメは持っていたが、大したものは無かった。当時、彼女の動画で良く見たプチプラブランドのコスメが売っているお店に行った。初めて、自分の意思で、綺麗な色のアイシャドウを買った。リップを選んだ。画面の中の彼女の様な美しい女性になれないことは分かっていた。それでも、同じものを使えば少しくらい自分も綺麗になれるんじゃないか、と思った自分がそこにはいた。

今まで使っていた化粧水を変えた。もっとちゃんとスキンケアをするようになった。ヘアケアも頑張った。彼女もちゃんとヘアケアをしっかりする人だったから。元々髪質はそこそこ良い方だったけど、よりこだわるようになった。ヘアアレンジも頑張るようになった。

アイライナーが綺麗に引けるようになった。何度も観た彼女の動画を思い出しながら、鏡とにらめっこして仕上げたそれは、いつしか『私の顔』になっていた。

綺麗になったね、と褒めてくれる人が増えた。どうやったらメイク上手く出来る?と訊かれるようにもなった。憧れの彼女に少しでも近づきたくて頑張っていた私は、気付かないうちに他の人からメイクについてアドバイスを求められる様な見た目になっていた様だ。…未だにあんまり自覚ないけど。

知らないうちに私は胸を張って歩けるようになっていた。今まで下を向いて、誰とも視線を合わせない様に歩いていた私は、いつしか真っすぐ前を向いて歩けるほどに自分に自信を持っていた。見た目は何も変わってない。変わったのは「メイクをすること」を覚えたという事実だけ。気付けば、一緒に笑ってくれる人が増えた。そのくらい、私自身に笑顔が増えていた。

佐々木あさひさん、貴方に出会えて本当に良かった。私は貴方のお陰で、自分に自信を持って歩けるようになりました。貴方はきっと私の事なんて知らないだろうけど、私にとって貴方は永遠の憧れです。今までも、これからも、ずっと、ありがとう。

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貴方に響いた事が私の幸せ
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System engineer /『好き』を語る人でありたい。『何故?』を考え続ける哲学者擬。感性だけはいつも自由に/毎日note更新中/シロクマと白ウサギが好きです。
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