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【水鳥の歌と生活】2024年8月11日日曜〜8月17日土曜


 八月十一日日曜

 六時過ぎに起床。radikoで「オードリーのオールナイトニッポン」を聴きながら朝の支度をする。

 一週間の日記をnoteに投稿する。

 仕事のBGMはZOMBIE-CHANG『BANG!』にする。

 夜は帰省した友人とカラオケに行く。フライドポテトを食べながら生ビールをジョッキで五杯ほど飲む。中学からの友人なのでお互いが歌う曲もよくわかっているし楽しい。

 友人に車で送ってもらい二十三時過ぎに就寝。

カラオケに向かう途中のお地蔵さん

 八月十二日月曜

 六時過ぎに起床。Podcastで「髭男爵山田ルイ53世のルネッサンスラジオ」を聴きながら朝の支度をする。

  鳴きしきる鳥の言葉がわからないことはおそらく幸せだよな

 仕事のBGMはHappy Mondays『…Yes Please』にする。

 夜はカラオケに行った友人と地元の祭りを見に行く。ダンススタジオの発表やローカルアイドルのライブなどを見ながら唐揚げや焼きおにぎりを食べて生ビールをコップで三杯ほど飲む。

 友人の家が近いので久しぶりにお邪魔して二階のベランダで花火を見させてもらう。久しぶりに間近で見た花火は迫力があって良かった。

 車で家まで送ってもらい一時頃就寝。

大人買いしたかき氷

 八月十三日火曜

 六時過ぎに起床。radikoで「伊集院光 深夜の馬鹿力」を聴きながら朝の支度をする。

 仕事のBGMはCornelius『夢中夢』にする。

 仕事を終えてコインランドリーへ。radikoで「空気階段の踊り場」を聴きながら周辺を歩く。

 先日の友人とはまた別の友人から帰省したので飲まないかと誘われ自宅で一緒に酒を飲むことにする。煎餅などを食いながら缶ビールを数缶飲む。

 一時過ぎに就寝。

暗くても向日葵は明るい

 八月十四日水曜

 六時過ぎに起床。radikoで「爆笑問題カーボーイ」を聴きながら朝の支度をする。

  はや夏の終わりの匂いしかしながらなかなか鼻を去ってくれない

 この日からお盆休みで糸魚川の民宿に二泊する。いつも海といえば上越に行っていたので道も違い新鮮だ。

 糸魚川の道の駅に車を停めて中を歩く。みんな箱のようなものを持ってしゃがみ込んでいるので何をしているのかと思ってよく見ると蟹を食べているらしい。特に外の芝生の上では何人もの人が一心不乱に蟹を食べている。私はおそらく民宿の夕食で蟹を食べることになりそうなので、ここでは店内で岩のりラーメンを食べる。塩ラーメンに大量の岩のりが乗せられてあって良い香りで美味しい。

  道の駅甲殻類のジェノサイド
  一瞥もせず海猫が行き過ぎる
  生活から逃げて車で三時間人に紛れてラーメンを食う
  汗になれ海苔ラーメンのつゆを飲む

 まだチェックインまでには時間があるが、民宿に行って車だけでも停めさせてもらえないか聞いてみると停めてもいいとのことなので停めさせてもらい、周辺を歩く。立派な神社があったり、ドラッグストアやスーパーも近い。もちろん海もすぐ目の前だ。海に行ってみる。浜辺から赤い橋を渡ると小島があり、鳥居と祠、灯台がある。この海水浴場のシンボルのような存在感だ。ぐるっと歩いて浜辺に戻り、岩に座って船虫や蟹を眺める。岩の窪みに生えた海藻をでも食べるのか、蟹が仕切りに鋏で何かを摘んだりほじくっては口に運んでいるのが可愛い。

  船虫と藤壺ばかり侍らせて岩を枕にバカンスをする
  岩窪に何があるのか磯蟹がしきりに爪でほじくっている

 一度民宿に戻りチェックインをする。二階の角部屋で眺めが良くいい部屋だ。水着に着替えてアウトドアチェアとビールを持って再び海へ。ビールを飲んだり泳いだりと海を楽しむ。水は温めであまり綺麗ではない。足元も石が多く少し危ない感じがする。海水浴場としては上越の方が良いかもしれない。それでも平泳ぎや背泳ぎで全身を満遍なく動かしながら水に漂っているのは気持ちがいい。アウトドアチェアに座っていると海猫がすぐそばにやって来るのもいい。

  潮風に倦むまで続く憩いかな
  昂っていた神経を麦酒に散らせて海をじっと見ている
  飽きもせず寄せては返す生き物は母なる海を模倣している
  死にもせずよくぞここまで生きてきた明日のことはわからないけど

 民宿に戻って風呂に入り、部屋で麒麟麦酒の大瓶を飲みながら『檀一雄全集 第一巻』を読む。毎年海沿いの民宿に来るたびに持ってきては少しずつ読み進めている。「孤独者」「少年」を読了。いずれも檀が召集令状を受け取って東京を離れ、兵役解除になってから満州に渡り、そしてヤブロニーで蜜蜂を買って暮らすことを夢想しながら寛城子に引きこもっていた時期の話だ。作品で言えば「夏草」や「魔笛」を書いていた頃になる。

  暮れかかる海民宿で酒を飲む

 この辺りで隣室に親子連れがやってくるのだが、子供の兄弟が大はしゃぎで走り回ったりこちらの部屋との壁にぶつかったりして大変な騒音を立てる。声はまあいいとして壁に激突する音には驚いてしまうのでどうにかならないものかと思うが、夏の海沿いの民宿というのはそういうものだろうとも思う。寛大な心と苛立ちの相剋で読書が進まず酒ばかりが進む。

  夕食が部屋に運ばれてくる。メニューはサラダ、バイ貝煮付け、アジフライ、刺身(皮目を炙った鯛、甘海老、蛸、ツブ貝)、白身の焼き魚、海老陶板焼き、茹でズワイ蟹、もずく味噌汁、白米。ズワイ蟹は身を全て白米の上に乗せていって蟹丼にして食べる。ビールをジョッキで二杯飲む。隣室の兄弟が食事でまた盛り上がっているが今度はビールで機嫌が良くなった父親もそれを煽っている。流石にそれには腹が立つが、楽しい家族旅行に水を差すようなこともできればしたくないのでひたすら落ち着くのを待つ。

 食後には緑茶を淹れて飲みながらまた『檀一雄全集 第一巻』を読む。「芙蓉」を読了。実名ではないものの最初の妻律子と結婚した頃のことを下敷にして書かれた小説だろう。しかし新妻(吹江)よりも育ての母である「由比の母」への追慕ばかりが語られていて、やがて吹江は追いやられてしまう風だ。この檀の母への執着というのは私には理解できないが、幼い頃に母が家を出るという体験をしている檀にとって、母という存在には語り尽くせぬ複雑な感情があるのだろう。

 二十三時頃に就寝。

蟹は怒ってました

 八月十五日木曜

 六時起床。布団を延べてみたら枕が無いのと布団が薄く硬いのとでどうにも寝付くことができず、ようやく眠ってもすぐに目が覚めてしまう。それを繰り返して、いい加減これではほとんど眠ることができないと思い、枕の代わりに座布団と前日着ていたシャツを畳んだものとタオルを置いて、本来は体にかけるべきタオルケットを敷布団に重ねて敷く。少し寝やすくなったがやはり長くは眠っていられない。障子に廊下の明かりが透けて見えるのも気になる。これはもう一泊するにあたって何か対策を考えなければ。

 とにかく六時には起き出して海を歩くことにする。岩場を私が歩くと夥しい船虫たちが逃げ去っていく。遊牧民が羊を追うのを俯瞰で見ているようだ。

  夥しい船虫たちが駆けていくさながら俺は遊牧民族

 宿に帰って日記を書く。旅のおかげか久しぶりに短歌や俳句を多く書いている。

 七時過ぎに朝食が運ばれてくる。鱒塩焼き、温泉卵、プチトマト、干桜海老乗せ冷奴、納豆、味付け海苔、柴漬け、若布の味噌汁、白米、グレープフルーツ。お櫃には白米が二合くらい入っているだろうか。残すのもなんだか悪くて毎回全部食べてお腹が苦しくなってしまう。

 radikoで「山里亮太の不毛な議論」を聴きながら車で富山県のヒスイ海岸へ。人が居なくて気持ち良い浜だ。水着を持ってくれば良かった。波に洗われて丸くなった砂利から翡翠を探そうと思うも、そういえば翡翠がどういう鉱石かよくわかっていなかった。一応スマートフォンで検索してそれらしい石を探すものの、明確に翡翠らしい石は見つからず、もしかしたらそうかもしれない石や瑪瑙か何か他の鉱石らしい石をいくつか拾う。鉱石では無いものの、キスマークがついたような石があった。あれを拾ってくるのが一番良かったかもしれない。

  人のいない海それだけで心やすい翡翠なんかは無くていいのだ

 途中の道の駅で笹かまぼこと白海老入り魚肉ソーセージを、スーパーでサッポロビール「風味爽快ニシテ」350mlを買って宿に戻る。昼食をとらなかったので早速かまぼことソーセージを齧りながらビールを飲む。

 海に出て少し泳ぐ。前日よりは少し水温が下がった気がする。多少冷たい方が気持ちがいいので、もう少し下がってくれてもいい。水から上がったら足の指から血が出ていた。尖った石か貝のかけらにでも引っ掛けたのだろう。痛みは無い。

  海猫の代わりか今日は鳶が鳴く

 最後に海の家に座ってビールを飲もうと思い生ビールを注文するも、席に座るのはまた別料金らしくそれだけのために金を払うのは馬鹿馬鹿しいので飲みながら宿に戻る。

 風呂に入り部屋に戻ると隣の部屋がまた騒がしい。私と同じく二泊するようだ。しかしそんなこともあろうかと耳栓を買ってきたのだ。耳栓をしながら『檀一雄全集 第一巻』を読む。「夕べの雲」「裾野少女」を読了。

  海沿いの道にもいるか改造二輪

 夕食の前に海へ。落日を写真に収める。本当は海に陽が沈んでいくところまで見届けたいが夕食があるので宿に戻る。

 どうやらこの日の宿泊客は私と隣室家族のみになったそうで、そうなると二階のそれぞれの部屋に配膳をするのは手間なのだろう、一階の空いている部屋で食事をすることになった。つまり今度は壁も無い状態で隣室家族の声を聞きながら食事をするわけだ。海沿いの民宿に家族旅行なぞまことに宜しいがその音を間近に聞きながらの夕食など風流が過ぎるというものだろう。しかもご丁寧に私の席は座敷に奥に設えてあり、何をするにも隣室家族の横を通らなければならない。もはや観念して席に着く前に注文した生ビールを一杯だけ飲みあとはひたすら白米でもっておかずを平らげる。メニューはズワイ蟹、鱈煮付け、鯛お頭焼き、焼き帆立、刺身(鮪たたき、鯵たたき、烏賊、カンパチ、甘海老)、蟹もずく、蕪浅漬け、ハンバーグ、味噌汁、白米。ズワイ蟹はやはり白米の上にほぐして蟹丼にして食べる。

 食後は缶ビールを持って海へ。しばし波の音を聞く。夜の海の寂しさというのは格別で、波音しか聞こえてこない暗闇には少しの怖さと大いなる安心がある。誰も居ない。ただ波だけが飽きることなく寄せては返している。生きているということそのものではないか。

 海から戻りそのまま民宿の周辺を歩く。相変わらずビールを飲みながら「民宿街入口」と書かれたコンクリート壁や家と家の間の路地などを見て歩く。

 部屋に戻る。隣室家族は寝ている。それでもエアコンの音と廊下の明かりを気にしないで済むように耳栓とアイマスクを付け着けて二十三時頃就寝。

これがキスマーク付きの石です

 八月十六日金曜

 六時前に起床。それでも前日よりはよく眠れた。朝の海を見に行く。台風が近づいているからか少し波が荒い。

 部屋に戻りお茶を淹れて飲みながら『檀一雄全集 第一巻』を読む。「出生まで」読了。

 七時過ぎになり朝食をとりに一階へ。メニューは焼き鯖、ハムエッグ、昆布佃煮、とろろ、味付け海苔、ワカメ若布味噌汁、白米、オレンジ。

 食べ終わって部屋に戻り、水着に着替えて海へ。最後のひと泳ぎ。やはり台風が近づいているからだろうか、水温もこの三日で一番低い。泳ぐのには一番気持ちが良い水温ではあった。

 海から上がって風呂に入り、荷物をまとめてチェックアウト。radikoで「おぎやはぎのメガネびいき」を聴きながら帰路に就く。

 三十分程車を走らせたところで、長野県より新潟県の方がガソリンが大幅に安いことを思い出し、新潟県のガソリンスタンドまで戻り給油する。

 どこかで昼食をとろうと思うもののこれという店も無く、どこかおもしろそうな場所があったら寄ろうと思い、実際に青木湖や木崎湖の側を通ったものの、どこから湖の方へ行かれるのかわからず、結局そのまま青木村の道の駅で戻ってきてざる天蕎麦を食べる。

 家に帰って服を洗濯したり荷物を片づけたりする。どこかへ食べに行くのも面倒なので家にあったもので晩酌をすることにする。ホタルイカ丸干し、スモークチーズ、いなばの焼き鳥缶の柚子胡椒味、ヤムニョムチキン味を食べて、サッポロビール「風味爽快ニシテ」350ml缶一本、キリンビール晴れ風350ml缶二本を飲む。飲みながらピエール瀧のYouTubeでチャンネル「YOUR RECOMMENDATIONS」の前回と最新回二本を見る。

 今回の旅の写真をまとめてnoteに投稿する。

  楽しみが終わる夜には軟着陸するために飲むカップワンタン
  匿名だし知人も居ないここに居てどうしてひとの口を真似るの

 二十三時過ぎに就寝。

綺麗な蜥蜴がいました

 八月十七日土曜

 六時過ぎに起床。radikoで「バナナマンのバナナムーンGold」を聴きながら朝の支度をする。

 仕事のBGMはLAUSBUB『ROMP』にする。

 夜はPodcastで「アンガールズのジャンピン」を聴きながら歩いて行ける中華料理屋へ。麻婆豆腐、鶏唐揚げを食べて、生ビールをジョッキ一杯とアサヒビールの中瓶を二本飲む。飲みながら檀一雄『美味放浪記』を読む。

  麦酒を混ぜっ返しのように注ぐ
  盆の酒先祖返りか国言葉

  Podcastで「トムブラウンのニッポン放送圧縮計画」を聴き、セブンイレブンでタリーズの缶コーヒーとかすてらサンドを買って食べながら帰る。かすてらサンドというのは初めて見つけて買ってみたのだが、カステラもパンのようなものだからパンでパンを挟んだパンということになる。一体どういう食べ物だろうか。美味しかった。

 途中の神社でスマートフォンのカメラのタイマー機能を使って行路病者のような自撮り写真を撮る。こういうことも罰当たりになるのだろうか。家に近いセブンイレブンでさらにマンゴーアイスを買って食べる。

  そりゃ月は倫理を問わず夜を照らす歩くだけならそれだけでいい

 日記の続きを書いて二十三時過ぎに就寝。

ゆきだおれ

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