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アート好きだから学芸員?!

改めて自己紹介から。(以下、通学中の2019年に書いた記事になります!)
私は2018年4月から、仕事をしながら大学の通信教育学部で「学芸員」の資格を取るための勉強をしています。

2019年の1月現在は、残すところあと2科目。無事に全単位が合格していれば、今年の3月に修了ということで、まだ資格が取れたわけではないのですが(笑)、やっと最後のレポートを提出したので10ヶ月経過時点でのふりかえりをしてみます。

○なぜ、学芸員の勉強をしようと思ったのか
○出願する大学をどうやって決めたのか
○何を学んだか(概要)
○修了前の今、どう感じているか

新年度の入学は出願が2月~3月の大学も多いかと思いますので、「学芸員課程」の履修に興味があったり、受講を迷ったりしている方の参考になれば嬉しいです。


1.なぜ、学芸員の勉強をしようと思ったのか

●美術館や博物館が好き!
社会人になってから展覧会に行くことが好きになり、3年前からは大きな美術館・博物館から小さな資料館、そしてギャラリーが身近に多くある清澄白河エリアに住むようになりました。美術に詳しくはないけれど、足を運んだ展覧会ではいつも何か新しい発見に心を刺激されます。

また、ギャラリーのオーナーさんとお話をするとアーティストの背景や想いを知ることになり、いつのまにか鑑賞だけでなく展示を企画することへの興味が沸くように。将来アートに関わる仕事ができれば、とアート分野の学びを探していました。

●「企画」の力を磨きたい!
いま私は、商品企画の仕事をしています。これまでは、ダイレクトマーケティングのレスポンス広告を7年、商品企画を3年経験。その共通点は「企画」を形にする点です。

マーケティングやアイデアを生むための勉強はたくさんありますが…10年間どっぷりその世界にいて、ふと「ちょっと離れたところから見てみたい」と思い、好きなアートの分野と「企画」を掛け合せられそうな気配のする「学芸員」に興味が沸いてきました。


2.出願する大学をどうやって決めたのか

こちらはとてもシンプルに「1年で資格を取れる」という点にあります。私が通っているのは京都造形芸術大学 通信教育部芸術学部 で、科目等履修(学芸員課程)という学び方をしています。

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社会人なので通信、短期で資格が取れることはとても魅力です。また、都内在住のため、通学が東京(外苑前)か京都を選べたのもありがたいポイントでした。


3.何を学んだか(概要)

ここでは学んだことを簡単にご説明します。(詳細は別の記事で)
ずばり、学芸員になるにはミュージアムについての学問「博物館学」を体系立てて学びます。教科書の自習、講義、グループワーク、フィールドワーク、レポートやテストのための自主調査などで、下記を学んでいきます。
※注:内容はだいぶざっくりと書いています

①概論:博物館とは?博物館学とは?
②資料論:どう集め、調査し、社会に還元するか?
③経営論:営利を主目的にせず、使命(ミッション)を達成するには?
④情報・メディア論:ICTやメディア機器、情報の管理は?
⑤資料保存論:劣化、修復、保存…原因と対処法は?
⑥展示論:展示の考え方、歴史や政治性・社会性は?
⑦教育論:博物館教育とは?特性は?
⑧生涯教育論:家庭・学校・社会での教育の役割と連携は?

そして、何より面白かったのは実際のミュージアムでの演習です!

初回は、東京国立博物館で学芸員の仕事・運営の現状・作品や資料を扱う知識や心構えを見学。
2回目は、長野県の康耀堂美術館で、実際に行われる展示会のポスター選定から展示プラン作成、そして展示実技や展示スタッフへの指示、ギャラリートークの演習など。泊りがけで3日間のグループワークを行いました。
3回目は、横浜市歴史博物館・三菱みなとみらい技術館・安藤百福発明記念館(カップヌードルミュージアム)を見学したのち、「既にあるミュージアムをリニューアルするには?」というグループワークで締めくくり。

同じく履修するメンバーは20代から70代の方までいらっしゃり、普段は接することの少ない世代の方と一緒に取り組んだことがとても面白かったです。皆さん「ミュージアム好き」という共通点があるので、初対面でもすぐに打ち解け情報交換が弾みます。
ワーク中には熱い議論(!?)を交わし、webでそれぞれレポートやテストを受講する期間も、連絡を取り合い励ましあいながら修了に向けて受講を進めています。(みんな無事修了できますように!)


4.修了前の今、感じること

●学芸員の仕事範囲って、企業でいうと「すべての部署」の担当!?
ここまで読んでいただきお分かりかと思いますが、学芸員の仕事ってこんなに多いのか・・・と圧倒されました。
私の場合はメーカーでの仕事しか経験がありませんが、その経験にたとえても商品企画、研究所、経営企画、ICT・情報システム、品質管理、広告宣伝、広報、接客などほぼ一つの会社全ての部署の業務にあたる内容を理解し実行している・・・尊敬しかありません。

▼履修開始から2ヶ月、実習1回目を終え、学芸員の偉大さに気づく。

●「企画」の仕事に活かせることがたくさん!
これまでの企画スタイルは新しいものを見てヒントを得ることが多かったのですが、学芸員課程を通して、歴史や定義を学び、実例から新たな考えを創るという経験を何度も重ねることができました。

また、観覧目線から運営目線に変わったことで、法律やICTなど、時代と共に進化が必要な部分は企業もミュージアムも同じだということが実感できました。一見華やかなことも、基盤が支えられてこそなんですね・・・。
この辺りは「ミュージアム」という題材に興味があったおかげで、楽しく学ぶことができました。

●将来の野望が少しずつ見えてきた!
これまでもアート分野へ興味がありましたが、一番興味があるのは「エデュケーター」の分野かも?と少しずつ野望の輪郭が定まってきました。恥ずかしながらその名前すら知りませんでしたが、学びが進むにつれて業務の種類の多様さを知ることになり、漠然とした興味から、将来してみたいことの選択肢として捉えられるようになった気がします。

●とにかく「書く力」がついた
これはもう、10回以上にも及ぶレポートとテストのおかげです(笑)
もともと文章を書くことは好きでしたが、体系立て、引用や注釈をつけ、事例から概念を導き出し、考察を論じるという作業は大学生以来です。今振り返ると大学の論文はここまでできていなかったなぁ・・(汗)
そろそろ仕事でも短期の企画を立てる役割から、長期の計画を立てる役割に変わってくる年頃なので、すぐに活きる力になっています。

●出会い!!
先ほども触れたとおり、通信教育部は年齢や出身地も多様で、普段はなかなか出会うことのない方々と知り合えたことは一生の宝です!
特に、泊りがけの実習では3日間濃密なワークと、夜は食事をしながらじっくりお話ができたので、沢山の刺激をいただきました。職業やバックボーンも様々ですし、実際にミュージアムに勤務されている方もいらっしゃり、裏話などお伺いできたのは面白い経験でした(一番驚いたのは、ミュージアムの幽霊出没話だったり!?笑)。

知り合った皆さんとは、これからも末永くミュージアム友達としてお付き合いしていきたいです。


さいごに 〜アート好きだから学芸員?!〜

何かを体系立てて深く学びたいと思ったときに、ミュージアムに興味が高い私にとって博物館学はとても学びやすく、学ぶたびに趣味の知識も増えて一石二鳥!
学芸員の資格をきっかけにこの学問を知れたことはとても良い機会となりました。

実はまだ最後のテストが2科目分残っており、胸を張って「資格とれたー!」と言える身分ではないのですが、仮に資格が取れなかったにせよ、学びの多い1年でした。(ちゃんと受かっていて欲しい・・)

そして、レポートやテスト前になかなか筆が進まないとき、添削結果が届くと、丁寧な解説と良いところを伝えてくださるフィードバックに、何度励まされたことか。(その長さはスマホ画面で3スクロールにも及ぶほど!!)
フィードバックが丁寧だったからこそ、初回と最後のレポートはの出来は全然違うと思えるほどでした。京都造形芸術大学で学ぶことができ、とても満足しています。

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別の記事で、学芸員の資格に興味のある方向けに、学んだことをもう少し詳しく書きたいと思います。

ここまで読んでいただいてありがとうございました。

→ 2020年やっと追記しました!!「博物館概論」はこちらから

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