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イスラムとは何か。

 上野の東京国立博物館は好きでよく行く。今回は東洋館で、マレーシア・イスラーム美術館精選 特別企画 「イスラーム王朝とムスリムの世界」という企画展示をやっていてそこをメインに見て回った。

 マレーシア・イスラーム美術館の収蔵品を中心に、中東だけでなくアフリカ、スペイン、インド、マレーシア、インドネシアなど、様々な地域に誕生したイスラム王朝の文書や美術工芸品などを展示していた。

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 なんだか人物描写が可愛らしいエナメル彩の人物文鉢(イラン 13世紀)、その下、釉下彩人物文天板(左・イラン 19世紀半ば)、人物文タイル(右・イラン 17〜18世紀)

 色鮮やかなモザイクタイル、細密画、手の混んだ刺繍、細工がびっしり施されたモスクの調度品……など、様々なイスラム芸術の展示物。なかでも、どこまで続くのかというような幾何学模様は繊細で、果てしない宇宙の星を思い描いてしまう。

 イスラム芸術って、とにかく美しい。

 隅々まで鑑賞し終えて、ミュージアムショップを覗いた時、ふと、ムック本のタイトルが目にとまった。

「イスラムとは何か。」

 はて? イスラムとは何でしょう。


 イスラムの三大聖地メッカとメディナとエルサレムすら学校で習ったはずなのに、綺麗さっぱり忘れてしまっていた。

 考えてみれば、イスラム教国の中で私が滞在したことがあるのは、トルコのみ、それも、もう20年以上も前。あとは数年前にアブダビに数時間トランジットしただけだ。マレーシア、インドネシアなどは訪れたことがなくて、東南アジアのこれらの国々に多数のムスリムがいるということも実感が伴っていない。

 幼いころから耳にしていたニュースなどで、イスラムといえばどうしても、イラン・イラク戦争、パレスチナ問題、湾岸戦争、アラブの春、そして再び大きな問題が表面化しているアフガニスタンなどの情報が主になりがちで、長きに渡る戦争や紛争のイメージが想起されてしまう。だから、今回展示されていたこれらイスラム教国の遺産の繊細さや優美さ、さらに前述のPen BOOKS「イスラムとは何か。」に掲載されている穏やかで明るいムスリムの日常生活がうまく結びつかない部分もある。


 13、4年前だったか、話題になっていた漫画(バンド・デシネ)『ペルセポリス(Persepolis)』。確か、フランスでアニメ映画化もされた。

 1969年イラン生まれの著者マルジャン・サトラピ自身の半生を描いたもの。イスラム革命、イラクとの戦争という時代のなかで、少女マルジはどんな日常をおくり社会にどういった目を向けていたのか。非常に読み応えがある。


 想像の及ばない、知らないことがあまりにも多すぎてもどかしい。

 イスラムとは何か。宗教とは何か。

 民族とは、国家とは、世界とは、何か。


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