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ハンズオンとハンズオフ (vol 140)

「ハンズオンマネジメント」とはどうすることだろう

が本日のお題です。
ハンズオンとは、「物理的に自分の手で処理する」ことではありません。
重要性を言葉で理解していても、誤解している人も多いように思います。
全てを自分の手で、と思うこと自体に無理があります。

常に状況を理解、把握しながら判断ができるように準備しておくこと

がハンズオンです。

状況の理解や把握の緻密さにも限度があります。
自分の時間の器の中で対応できない部分は、「任せる」しかないでしょう。
状況判断や対応を完全に任せる状態をつくることも必要です。これができれば、ハンズオフの状態といえるでしょう。
ハンズオンとハンズオフのバランスが求められるのです。

マネジャー達と話をしてみると、
   「自分はハンズオンのスタイルで、現場に密接に関わっている」
といった返事が返ってきます。
現場スーパーバイザから昇格したマネジャーは、作業スキルの肝を知っていて、現場の作業者に正しい手順も教えられます。これはこれで頼もしい点です。
しかし、マネジャーになれば、別の役割を担ってもらねばなりません。
その点に気づけなければ、マネジャーとしての存在意義が薄れます。
自分の限られた時間の中で新たな役割を担うには、ハンズオフに積極取り組みしなければ次の成長がありません。

ハンズオンを限定すること」は、「自分でなければできないこと」は何かを強く意識することです。
マネジャーでなければできない役割の大きな部分は、
   「状況を理解して指示を出したり判断を行う」こと。
3つのステップに分けて改善を意識することでハンズオフに近づきます。

1. 事実情報を集める
従来は自分の足で稼いで一つひとつ確認していた事実情報を、信頼できる部下に任せます。部下の情報だけで不安なら、自分の目で時々「サンプリング確認」だけしてみてはどうでしょう。
2. 事実、状況の報告を受ける
自分の目でのサンプリング確認や、起こりそうなリスクの想定を並行して行うステップを踏めば、報告を聞くだけで部下の話を信頼できるようになります。
3. 意思決定や次の指示を行う
このステップが「マネジャーでなければならない」と思える役割です。
とすれば、報告を聞いてこの役割に集中できれば、ハンズオンとしての役割の総量を増やすことができます。

「ハンズオフ」に移行するには、部下に任せきるための指導をする事が求められます。最初のうちは、部下の情報について毎度裏を取る必要があるかもしれません。事実に漏れがないか、視点が偏ったり、バイアスがかかっていないかを確認して、「自ら」の頻度を減らすための育成が重要なのです。
部下の情報信頼度が上がれば、状況報告だけ、確認作業はハンズオフできます。この指導ができれば上長として「よくできました」のレベルでしょう。

更に、「自分でなければ」と考えた「判断の役割」も、「提案ができる部下」を育成することでハンズオフの領域が増えます。部下の提案を受容れられるようになるまで、お互いの価値観や考え方の共有の対話を繰り返すのです。
結果、判断業務も「自分だけ」の領域から外して「権限委譲」できます。

「権限委譲」を進めること。

自分の手で処理するハンズオンを、「任せる事でハンズオフする」ように見えますが、任せたとしても、自分の考えや価値観が共有された活動が続くことに変わりはなく、「ワンランク上のハンズオン」と言えるのではないでしょうか。

こうして考えると、

前提条件や価値観を共有する対話を繰り返し、部下を育成すること

こそ、「自分でなければできないハンズオン」と言えます。

限られた時間の中、ハンズオン業務をハンズオフするために部下を育てる。
ハンズオンのレベルアップとしての「権限委譲」に邁進する。

そんな契機になってほしいと社内ツイートを発信しました。

There is no doubt that hands-on management is important. No one will argue.

GE's Jack Welch and Google's Eric Shmidt were both hands-on people.
Jack Welch said, "If you stay inside the house with a lot of sweaters, you won't know the cold outside. You can't run a business unless you feel the cold firsthand." He was a person who was curious, and when he had questions, he asked them himself to understand.

When Erick Shmidt came to Japan, he had studied the Japanese way of doing business and the management environment very well himself. He also wrote his own report on the airplane on his way back and connected it to his next instructions.

Why do you think the top executives of the world's largest companies were able to be so hands-on? They had only the same 24 hours a day as we do.
It may be that they were more capable than us. But if there is something more important to learn, it is that not only they “did it themselves” as hands-on, but they also had a firm idea of “what not to do!”
Why not consider a "Hands-Off" criteria for effective use of limited time?
ハンズオンマネジメントが重要であることは疑いようもありません。反論する人もいないでしょう。
GEのジャックウェルチ Jack Welch、GoogleのEric Shmidt、いずれの方も徹底的なハンズオンの人だったそうです。
Jack Welch氏は「何枚もセーターを着て家の中にいると、外の寒さが分からない。寒さを肌で感じないと経営はできない」と言いました。好奇心をもって、疑問に感じたら自ら質問して理解する人でした。
Erick Shmidt氏は、彼が日本に来た時、日本の事業の進め方や経営の環境を自らよく勉強していたそうです。更に帰国中の飛行機の中で自分でレポートを書き、次の指示に繋げていたとか。
世界最大と言える大企業のトップが、ハンズオンで活躍できたのはなぜだと思いますか?
彼らの持っていた時間も私たちと同じ1日24時間です。
私たちよりも能力が高かったこともあるかもしれません。でも、もっと大切なことを学ぶとすれば、ハンズオンとして「自らやる」ことだけでなく、「何をやらないのか」をしっかりと持っていた、という点です
限られた時間を有効に使うための「ハンズオフ」の基準を考えてみませんか。

ハンズオフを積極的に考る人とは、「勇気をもって任せる」を推進する人
そんな人こそが、真の意味でのハンズオン志向の人だろうと思い始めています。
私自身が
   ハンズオンを徹底するために「権限委譲」に取組む人
でありたいと思います。

今回も、最後まで読んで頂き、ありがとうございます。

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