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エッセイ

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日記のようなもの
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2024年9月の記事一覧

煮込んで食べる

煮込んで食べる

とある田舎町の大型スーパーで
働いていた

ある日ひょんなことから
万引き犯を見つけてしまい
事務所で事情を聞くことになる

『まるでドラマみたいやん』
好奇心と緊張


『あの、じゃあ出して下さい』 


『はい、本当すみませんでした』

テーブルに置かれるカレー粉


『本当に、すみません』

テーブルに置かれた黄色いスポンジ

なんでこんなモノを・・
まぁ、あるあるなんだよな
盗る行為

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ハリウッド

ハリウッド

引っ越しが好きだ
東京に来てから8回は引っ越している
私にとっては"祭り"みたいなもので
必然と躁状態になりご機嫌になる

現在の部屋から引っ越してくる時
業者さんに缶ビールの500mlを
2本差し入れした

"祭り"なんでね

めちゃくちゃ喜んでくれた

そりゃそうだ
ビールが嫌いな引っ越し業者なんか
存在する訳がない

笑顔の引っ越し屋さん
その日は"クリスマス"だった
それもあって
私は気分

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接客の味付け

接客の味付け

世の中は重い言葉で溢れている

楽器の練習をするから
わりかしカラオケ店に行く
もちろん1人で行くんだけど

やっぱカラオケって多人数で来る前提
なんだよなって思う
接客もわりと多人数用というか

終了の電話かけてくる時に
『お楽しみの所失礼します』
って前置き入れてくる場合がある
結構なあるある

この
『お楽しみ所』って言葉
1人には味付けが濃い、なんか重いというか
持て余す

1人だからと言

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炙りサーモン

炙りサーモン

「1番めんどくさい客は?」
と聞かれたら
私は"同業者の方"と即答する
居酒屋のキッチンで働いていた時の出来事
わりと忙し日

『すいません〜!あ、お疲れ様ですっ』

え、お疲れ様です?客?え、誰だろ

『座敷席の炙りサーモンまだですか?』

ん、座敷席、あぁ、やっぱ客か

私は『すみません、確認します』
と言おうとした
すると被せるように

『全然!いっすよ、いっすよ
自分、同業者なんで、ハハハ

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ケルヒャー

ケルヒャー

夏の終わりには銭湯に行きたくなる

入浴料550円
なんか一時期のタバコくらい値上がりしてる気がするな

裸の老人が数人
私は銭湯で裸の老人を見るたびに
『ゾンビの元ネタってこれだよな』
って思う
わりと「ァァァ」って言うし

0.25倍速のゆったりした動き

ってことは
老人達にとって私は4倍速ってことか
え、めっちゃ怖い
そりゃ噛み付いてくるわ

身体を洗って風呂に入る
浴槽の何箇所かに
ジェ

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新大久保のカラス

新大久保のカラス

新大久保のカラスって
喋れると思うんだよな

コリアンタウンとして有名な街
語学学校なんかもあって
アジア系の留学生がたくさんいる

新大久保

この街のカラスは警戒心が薄くて
結構、近づける 平気でゴミを漁っている

昔、コンビニのビニール袋をくわえて
飛んでるカラスを見たことがある

あれ、ゴミ箱の漁った食料を
袋に入れて運んでたんだと思うんだけど
めちゃくちゃ頭が良い

カラスはそれくらいや

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通信中です

通信中です

私にはよく行くコンビニに
「この人は声優を目指してるに違いない」
と勝手に決めつけてる店員さんがいる

声優さん独特の加工された
"何かを"意識している様な

棒読みの大衆の中では違和感な存在

声帯に自意識の全てを集約させた様な声色

なにか"ゾワゾワ"っとして癖になる

その店員さんが
『いらっしゃいませぇ〜』
と言う度に

『今日も"コンビニ店員役"の練習してるな』

など思い 目指すってイ

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元島さん

元島さん

真夏の昼に自分で作った
イカ丼を食べる
冷凍のイカフライを親子丼の要領で
卵でとじたやつ

気温が高いのと炭水化物摂取による
体温の上昇でものすごく汗がでる

だから最初から服は着ないで
上半身裸で食べる

こういう日は"元島さん"のことを思い出す
2ヶ月くらいで辞めたビル清掃のアルバイト

彼はいつも砂の中から出てきたみたいな
表情をしていた

『そろそろ休憩入ろう』

私と元島さんは一緒に休憩

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THIS IS シンガポール

THIS IS シンガポール

そこは観光客の多い居酒屋で
スタッフも半分はベトナム人
すごく日本人が少ない場所
私はここの異国感が好きだった

英会話のスキルが必要かと思えば
そうでもなくて

ゼスチャーと単語でなんとかなる
とりわけthis(これ)はかなり便利で
指差して『this?』って言えば確認になるし
数字を入れて『this one?』みたいに聞けば『これは一個でいいの?』みたいに確認も出来る

店内にはスタッフ達の"

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ウチの主人です

ウチの主人です

短編集が好きだ
1冊に30、40の物語がゴロゴロ出てくるような

断片的なのが良い
起承転結になってない感じ
伏線回収みたいなめんどくささもない
想像する余白がある

本日、私は古本チェーン店にて
ルシア・ベルリン
清掃婦のための手引き書を手に取る

レジに向かい会計をしていると
店内の買い取りスペースのような場所で
老婦人が買い取り手続きしている
店員に
『身分を証明するものありますか?』
と聞

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オススメ

オススメ

Netflixで吉田恵輔監督の
ミッシングを2回ほど観る

吉田監督の作品は
わりと重めな物語なんだけど
その中にシニカルなジョークが入ってて
すごく好きなんだよな

私には映画に関して1つ
自分で決めているマイルールみたいなものがある

"他人のオススメ映画は観ない"

これには訳があって
過去、知人から聞いたオススメ映画を
SNSで『おもしろかった!』と絶賛したら
それを見ていた知人は
『あれ

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1500円を握りしめて

1500円を握りしめて

思考が持ってかれるような
気になる言葉が飛び込んでくることがある

日々、変化する下北沢を歩いていたら
雑踏の中から
『1500円、握りしめて行くね』
って声が聞こえてきた

・・1500円を、握りしめる

脳内に1000円札1枚と500円玉1枚が浮かぶ

でも札って握りしめないよな

北の国からじゃないんだから
旅立つ息子に父親がなけなしのお金渡す
それに感動して涙を流しながら
お札を握りしめる

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揚げ鶏

揚げ鶏

サーティワンにて
"ホリデーグリーディング"の
シングル(420円)をコーンで購める

思ったりラズベリー感が強めで
もう少しピスタチオに主張して欲しかったが
美味かった

食べながら気付いたことがある

『これ、色合いが鬼滅の甘露寺蜜璃やん・・』

なんだか少し食べるのを急いてしまう 

子供の頃に
新しいおもちゃではしゃいでたら
母親に『それ、女の子のおもちゃだよ』
って指摘された時の
あの感

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町中華

町中華

『この街に来るとここの中華屋来ちゃうんだよな』って店が誰しも1軒はあると思う

そういう店はさびれてればさびれているほど
人間としての幅が増す

チャーハンと餃子のセット(1260円)
を注文する

カウンター席とテーブル席の間が通路なんだけど
狭くて最高だ

中華屋の通路なんて
狭ければ狭いほど旨いからね

しばらくすると私のチャーハンと餃子が
テーブルに運ばれてくる

『白米じゃなくてチャーハ

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