町中華
『この街に来るとここの中華屋来ちゃうんだよな』って店が誰しも1軒はあると思う
そういう店はさびれてればさびれているほど
人間としての幅が増す
チャーハンと餃子のセット(1260円)
を注文する
カウンター席とテーブル席の間が通路なんだけど
狭くて最高だ
中華屋の通路なんて
狭ければ狭いほど旨いからね
しばらくすると私のチャーハンと餃子が
テーブルに運ばれてくる
『白米じゃなくてチャーハンにしたのは
少し調子にのったかもな』
と餃子を頬張っていると
『白米お待タセ致しまシタ』
と中国ネキが病気の天丼マンみたいな色の
茶碗を置いた
え、頼んでないけど・・
てか、チャーハン食ってるヤツ
白米行くわけないやん
私の口は餃子でパンパンだったので
ネキの目を見てチャーハンを掲げ指をさす
『あ、ゴメン、ゴメン』
間違いに気付いてくれた
『チャーハン頼んでるヤツ白米行くわけないやん』はどうやら万国共通のようだ
中国ネキはすかさず
隣の席に病気の天丼マンを
『お待たせシマシタ〜』
と当たり前のように置く
お客さんは
『た、た、頼んでないよ!』
と焦ったように言う
おいおい、もう当てずっぽうやん
それからポスティング作戦で
全卓を回って誰も頼んでないことを
知った中国ネキ
かなりムッとしている
厨房に戻り
『誰も頼んでナイ、そんなわけナイ!
必ず犯人はイルヨ・・』
我々は"客"から"容疑者"になった
なんとなく店内がいたたまれない空気に
なった所で
テーブル席に座っていた
ADにだけは態度が横柄な個性派俳優顔の
男性が
『もし良かったらオレ食べようか』
と手を挙げた
横柄な個性派俳優顔には
『あいつ、やるやん・・』の視線が注がれる
するとネキは
『私が食ベルんだからイイヨ!!』
と提案を却下してしまった
なんか"異国の人"だからこそ許される
横暴ってあるよな
いや、むしろそれがイイ!みたいな
ネキは厨房の角でしゃがむと
見えなくなってしまった
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