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これからの国際協力とは?→今とあまり変わらないかもしれません。

先週末、国際協力サロン主催のイベント「国際協力リレー対談」に、第一回目ゲストとして参加してきました。

主催者の田才 諒哉(@ryoryoryoooooya)くんと、1時間半クロストークしましたが、中でも面白かったのが「これからの国際協力は?」というテーマでした。

事前に質問をもらっていて少し考えたのですが、やっぱり「今とあまり変わらないのではないか」という答えにたどり着いたので、今日はそのことについてお話しできたらと思います。

進化する技術と、進化しない人間

「AIとブロックチェーンで教育を変えたい」

先日ネパール出張で、現地の教育省関係者からこんな言葉を聞きました。

AIやブロックチェーンをはじめとした新しい技術の進歩はめざましく、途上国においても大きな話題になっています。インターネットが普及して、どこでも最先端の情報を得られるようになったことで、途上国を含む世界全体の技術発展のスピードは、これからどんどん加速してくでしょう。

でも、人間はどうなんでしょうね。

この10年間で、インターネットは火や電気のように当たり前のインフラとなり、情報格差といった課題は劇的に解消されました。ただ、人間が同じように進化・成長したかといえば、そんなことはなく、10年、いや、何百年も前からあまり進歩がないようにも見えます。

寝坊する。仕事をサボる。食べ過ぎる。

これは今も昔も同じでしょう。やっぱり人間は人間のままで、これまでの習慣を変えるは簡単ではありません。

スマートフォンのように途上国の果てまで普及している技術もありますが、そこにいる人たちの生活や教育が劇的に変わっているわけではなく、その大きな理由が「進化しない人間」にあるんじゃないかと最近よく思います。

進化を焦りすぎず、人間らしい国際協力を

最近、国際協力でも《効率性》という言葉がよく登場します。

JICAも活用している、経済協力開発機構/開発援助委員会(OECD-DAC)による国際的なODA評価の視点である「DAC評価5項目」の中にも《効率性》という項目があり、私も普段から意識している大事な観点です。

でも、それにとらわれ過ぎるのも良くないな、と感じるようになってきました。

確かに技術やシステムで効率化は格段に進み、少ない費用でより大きな社会的インパクトを出すことができます。ただ、そこに意思がなければ、プロジェクトはやっぱり続きません。

山登りを例にしましょう。最短ルートで山頂を目指すコースがあっても、それが過酷なルートであれば、もう一度山を登ろうと思えなくなる人もいます。一方、遠回りのルートだとしても、道中に綺麗な景色が広がっていたり、他の登山客たちと楽しく会話をしながら登ることができれば、「また登りたい」と思うきっかけにもなるのです。

ゴールにたどり着くためのスピードは確かに大事ですが、焦りすぎてしまうと息切れしてしまい、次に繋がりません。だからこそ、時には焦りすぎず、走る人たちのペースを大事にする「人間らしい国際協力」が重要になる。そんな気がするんですよね。

最後に

どんどん進化する技術に対して、なかなか進化しない人間。この視点を、意外と見落としている方も多いのではないでしょうか?

私たち日本人のように技術の進化がとても身近な人たちと違って、これまで電気も通っていなかった地域に最先端の技術を持ち込んだら、いったいどんな変化が起こるでしょうか?

生活は豊かになるかもしれません。ただ、技術の進歩や普及に合わせて、これまでの習慣や文化を捨てる必要が出てくるのであれば、そうならないよう進化を焦らないことも一つ大事な視点かと思います。

私たちe-Educationはこれからも教育に関連した新しい技術を積極的に活用していきますが、「人間らしい国際協力」は今後も強く意識しています。

良かったら、ぜひご一緒に。

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