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静止摩擦力に関して「すべらない条件」の受験定説

今回は静止摩擦力に関して「すべらない条件」というテーマでお届けします。



【すべらない条件】

静止摩擦力に関して「すべらない条件」の表し方は参考書や問題集によって異なっています(等号を入れるか入れないか)。そんなこともあってか「いったいどちらなのですか?」というご質問をよく頂きます。
結論は「どちらでもよい (≒その議論に意味はない)」です。
参考までに受験定説(=多数派)としては以下のとおりと考えてください。


≪すべらない条件 受験定説≫
① 一物体の場合:すべらない条件 F≦μN(=最大摩擦力)
② 二物体以上が絡む場合:すべらない条件 F<μN(=最大摩擦力)
F:静止摩擦力
μ:静止摩擦係数
N:垂直抗力
🌟 一物体の場合とは、床の上に物体Aが1個置かれている場合などです。
🌟 二物体以上が絡む場合とは、床の上に物体Aが置かれておりその物体Aの上に物体Bが置かれている場合などです。


■ ①の場合も「≦」でなくて「<」としてもよい。すなわち F≦μN でも F<μNでもよい。ただし受験定説は F≦μN。

■ ②の場合も「<」でなくて「≦」としてもよい。ただしこちらについては等号は入れずに F<μN とするほうが多いようなので(①の場合で等号を入れる流儀の参考書問題集でも②の場合では等号を入れていないことも多いので)、「<」のほうがよいのかもしれない。でも結局は「<」でも「≦」でもどちらでもよい

■ 等号(境界)の議論は厳密には難しい、というか議論の意味がないというのが物理として正しい。

■ おもしろい例を一つ挙げましょう。1981年度 東京大学 第1問は①の場合(一物体の場合)で等号を入れずに作題されています(東大物理では等号を入れないで作題されることが多いです)。ところが参考書問題集の中には当該東大物理の問題を等号を入れて収録しているものもあります(例えば『名問の森』力学39(p.116))。受験定説は等号を入れるのでそれに準拠して等号を入れるように改題したのだと思いますが、入試問題原題には等号が入っていなかったことに言及しておかないと受験生は東大入試本番で「<」に直面して面食らっちゃいます。東大物理では等号を入れないで作題されることが多いからです。

■ 東大物理では①の場合(一物体の場合)でも②の場合(二物体以上が絡む場合)でも等号を入れない立場で作題されていることが多いですが、いつもそうなっているとも限らず、②の場合で等号を入れる立場で作題されていることもあります。つまり結局は「①の場合でも②の場合でも等号は入れても入れなくてもどちらでもよい」となります。状況に応じて便宜な立場をとればよいですし、問題文から作題者の意向を忖度してそれに従ってもよいでしょう。

■ あるいはもうこの際「①の場合でも②の場合でも等号は入れる!」と統一的に覚えてしまってもよいでしょう。


<結論>
等号は入れても入れなくてもどちらでもよい(どちらも正解として採点される)。迷うくらいなら受験定説(=多数派)に従っておけばよい。
🌟 郷に入れば郷に従え
🌟 赤信号🚥 みんなで渡れば 怖くない

あるいは等号を入れるか入れないかでゴチャゴチャと悩むくらいなら
「すべらない条件は一物体でも二物体以上が絡む場合でも等号を入れる」
と統一的に覚えてしまっておけばよい。
つまり結局のところ、
「そんなのどっちでもよい。迷うくらいなら等号を入れておけば問題ない」
です。



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