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ディア エヴァン ハンセン 君はひとりじゃない!

映画に登場する誰かや何がが、自分の中の誰かや何かと重なる時、それは臨場感を持って心に迫ってくる。そして涙が止めどなく流れた。

映画公開も終わろうとしているこの頃、やっと観たいと思っていた映画にたどり着いた。

『ディア エヴァン ハンセン』2021年公開。アメリカ製作ミュージカル映画。スティーブン チョボスキー監督。スティーブン レヴィンソン原作脚本『ディア エヴァン ハンセン』。2015年初演舞台ブロードウェイミュージカルの映画化。舞台版と同じベン ブラッド主演。『ラ・ラ・ランド』『グレイティスト ショウマン』のベンジ パセク&ジャスティン ポールの作曲家コンビの音楽。 社交不安障害を持つ高校が同級生の死に関わることで、成長して行くお話。

我が家には、高一から自宅に引きこもってしまった長男がいる。

映画の主人公、社交不安障害を持つハンセンの癖毛、お気に入りしか着ないのでクタクタになったパーカー、なんだか頼りない歩き方、言葉足らずのオズオズとした話し方を見ているとまるで息子を見ているような気持ちになった。自殺した同級生のつっけんどんな態度にも息子が重なった。

だから、主人公や同級生の歌は全て息子の心の声の代弁の様に聴こえてきて、涙が止まらなかった。

主演のベン ブラッドの素晴らしい声質。是非、字幕版で聴いて頂きたい歌声と歌詞内容。

歌のように思いをキチンと伝えられる会話が出来ていたら、何も問題は起こらない。萎縮した臆病な心を抱えているから、気になることが多過ぎてその場から逃げ出してしまうのだ。


この映画、とにかく小さな嘘が波紋を広げるように大きくなる。まるで韓国ドラマを観ているように、一つの嘘にハラハラさせられる。ここで本当のことを言おうよ!と、何度もタイミングを逃す度に焦燥感を感じ、ヤバいよ!益々ヤバくなるよ!と緊張感が後半まで続く。

主人公が自殺した同級生の母親の為に優しさからつく嘘を始まりに、活動家として頑張る女の子に力を貸したくて、嘘の上塗り。美談として広まってしまった嘘の拡散、たった1人きりの母につく、嘘の誤魔化し。優しい人柄だけど彼の弱さが嘘をつかせ、なかなか取り消すことが出来ない。

彼は孤独だった。死にたいと思い程に…。誰かに振り向いてもらいたい。誰かと繋がりたい。そんな切なる願いを嘘が叶えてくれた。嘘が自分を注目の的にし、嘘が叶えてくれた理想の自分や家族に近づけてくれている。だから、真実は言えない。吐いて気分が悪くなる程に恐怖を感じていても。

だけど、嘘はやがてとんでもない結果を引き起こし…彼は選択肢を迫られる。結末は映画版とミュージカル版の違いがあるそうだ。ミュージカル版も観てみたい!

社会不安障害を患う主人公の母親は母子家庭を支えながら働く母親。自殺した子供の家庭は裕福ながら子供の悪行に苦しめられていた。そして息子の弱さに自答自問し続けている。”なぜ?””どうすればよかっの⁈””何が悪かったの⁈” 

主人公がついた嘘の後に、改めて気付かされたそれぞれの家族への想い。嘘自体は許せないものであっても、その嘘で気付かされた大切な想いがあってこその優しい嘘の結末。


そして、映画のテーマとして、”1人で抱え込まない””貴方は1人じゃない””誰かに話そう”…とある。

私が自分と重なったのは、活動家の女の子。陽キャラでも、孤独と鬱と不安障害を抱えた女の子。今は頑張る時と休む時とのリズムがあることが分かったている。サービス精神や奉仕の気持ちが強いのでやり過ぎてしまうのだ。だから、人一倍の休息も必要なんだと言うことが分かっている。だけど、若い頃は笑顔で八方美人なことに自分で自己嫌悪に落ち入り、反面1人こもりがちな時期を持つことがあることが弱い人間のように思えて、そんな自分が嫌だったことがある。

自分の悩みは、抱えている時はとても大きく感じる。恥ずかしくて人に話せない。だけど、心を開いて打ち明けてみると、みんな同じようなに悩みを抱えていたりしていることが分かる。自分だけが抱えている悩みではないことが分かると、自分の悩みが小さくなっていく気がする。考え方捉え方を変えることが出来ると心が軽くなっていく。

社会不安障害や鬱やパニック障害、自殺など…もし誰かに話が出来ていたら、1人で抱え込まずに解決の糸口が見つけられたらもしれない事案はたくさんあるに違いないと思う。

そんな社会問題を啓発しているような映画だった。

以前、私が派遣に行っていた現場にも、自殺をした方がいた。1週間前、一緒に働いた時は優しい笑顔で一緒にお昼を取った記憶があっただけにショックだった。くだらない話はしたのに、肝心な話はしていない。なかなか誰にも話せない心の壁の厚さを感じた。

息子にも、閉ざされた心の壁を感じているが、何にも出来ていない無力さを感じている。

だからこそ、このテーマに深く感動した。

どうか、ひとりで悩まないで!

誰でもいい、誰かに何か、話をして。

まだまだ出来ることはたくさんあるよ。

君は絶対ひとりじゃないから!

今見えていないだけで、きっと誰かと繋がっている。

…そう願わずにはいられないのだ。









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