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テーブルの上の宇宙船|詩
今にもふわりと飛び立ちそうな
まるでUFOみたいな
美しい流線型の
艶やかでぷっくりとした
目玉焼きの黄身
君は半熟でなかったために
あの子に食べてもらえずに
柔らかなティッシュペーパーの上で
飛び立つその時を待っている
窓の外は雨
雲の切れ間はまだ見えない
薄い影が宇宙船と薄紙の境いを曖昧にする
お皿やコップが片付けられ
テーブルにはオレンジ色の宇宙船だけが
何か有名なアーティストの作品の
言葉を二つ折りにして│詩
言葉を二つ折りにして
静かに胃の中に納める
時折
言葉はごろごろと
胃の中で転げ回るけれども
柔らかな言葉なら
快いものである
棘のある言葉なら
悶え苦しみ血まみれになる
小さく四つ折り
より小さく八つ折りにすれば
棘も飛び出ず痛みも軽い
小さく小さくするに限る
とはいえ
飲み込む言葉は
自分の好物に越したことはない
言葉を予め酒に浸しておくのも
刺激を和らげるためには良い
言葉に
「高知の夏」の最後、あまりに感情を置き去りにしてしまいました。脱字も含めて書き直しました。