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役目|詩

少しだけ白く霞んだ朝の光
春、なのね
身支度をした親子が学校へと向かう

あちこちの玄関から
同じような親子が現れる
通りに、街に、今日の良き日に

赤と白の垂れ幕で飾られた体育館
立派な赤い絨毯が
入り口からステージまで真っ直ぐ続く

曲がりくねった3年間を過ごした生徒にも
最後は堂々とした真っ直ぐな道を歩ませてくれる
学校のそういう所は嫌いじゃないよ

この赤い道を歩む子と
それを見守る親と
今はまだ目に映る景色は分かち合えても
道はすでに分かたれている

二階の窓から差す陽の光
凛とした空気を震わせて
一人ひとり呼ばれる名が尊い

入学式で名を呼ばれ
生徒という大きな紐に括られた名が
一人ひとり紐解かれてゆく

桜の花が散るように
自由に舞う花びらとなった名は
これからどんな旅をするのかな

思い出を言葉にして
喜びに涙した今日のような日が
また、君に訪れることを祈るよ

君の背を見守る役目を
与えてくれた人生に感謝して

2024/3/11

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