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幸せの質量│詩

両の手のひらに
そっとのせて
指と指の隙間から
細い糸となって滑り落ちるものを
不思議な気持ちで眺めている

一本
また、一本
あたたかくて
美しくて
甘い蜜のような
七色の光を湛えた細いラインが
指と指の隙間から
風にのって伸びてゆく

この広い世界に
たまたま乗り合わせた僕らは
風に揺られて漂う光のラインに導かれ
時に孤独な景色の中を旅して
時に誰かの光と交じりあい
真っ暗な銀河に数多の星座を描いてゆく

そっと捧げた手のひらに残る
僅かばかりの幸せは
そのほとんどの質量を光の糸に変え
誰かに届くのを待っている

この果てのない世界で
あの日、あの時、あの場所で
二人のラインが交わるなんて
僕ら
奇跡みたいな確率を
生きているのかもしれないね

幸せの質量は
僕が立っている星の大きさと同じで
隣に立つ君の星は
僕のよりも少し大きいみたいだ

周りに漂うたくさんの星に
たくさんの光の糸が折り重なっているけれど
僕らは月と地球みたいに
二人だけのワルツを踊る

光の糸に包まれながら
君の幸せの質量を感じながら
いつか曲が終わるその時まで

2024/4/13

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