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【第1話】私と猛犬ケルベロスの冒険の記録【創作長編小説】

ケルベロスとの出会い

私にはケルベロスという名の相棒がいる。彼らは3つの頭をもつ1匹の大きな犬だ。今から私のケルベロスとの出会いについて少し話そう。
 
私はもともとは人間界で生きていた経験がある17歳で性別は女だ。名前はエリー。私は疫病にかかり病に伏し死神の迎えのもとで亡くなった。

「汝、まだ若い。冥府に入るには惜しい。」

死神は私にそう言ったが、私の体は疫病で黒くボロボロになり呼吸もできない状態。私の命の蝋燭の火は死神に惜しまれながらであったが消されてしまった。

「汝、これが世の決まり。恨むことなかれ。」

死神は冷酷に言い放ち私に抵抗の余地さえくれなかった。世の決まりって何だろうな?と悔しかったし、この世に未練がたくさんあるからとてもショックだった。でも死神に蝋燭の火を消されてから急に体が軽くなって苦しかった呼吸もできるようになり苦しみが減った時に、私はやっぱり疫病にかかっていたんだと自覚した。この時は死神を憎んだんだけど、今となっては疫病が憎い。死神の立ち合いのもとで泣いているお父さんとお母さんの前で手をふったけど、気がついてもらえなかった。私は死神のように人間界では目に見えない存在となってしまったようで、私の魂の抜けたベッドに横たわる亡骸を抱え、お父さんとお母さんは泣き崩れていた。

死神は死の立会人。泣いているお父さんとお母さんをよそに、淡々と唖然と立ちつくす私に向かって言った。
「今から冥府に行く。冥府への扉が現れるまでまだ少し時間がある。汝、人間界にこころ残りがあるなら今、果たせ。」

私は自分の部屋のクローゼットから大きめのショルダーバッグを取り出し、チェストの上に飾っていたお父さんとあ母さんと私の3人が写った写真たてを入れた。さらに、ベッドの脇に置かれている親友のアリサが持ってきてくれていた甘い手作りの焼き菓子をショルダーバッグに詰め込んだ。アリサは優しい女の子だ。私の病気が酷くなってきてからは半年くらい直接は会えていないけど、毎日家の前まで来てお菓子をお見舞いとして持ってきてくれていた。
それからお父さんとお母さんにメッセージを残したくて、私は家の外に出てたまっていた水たまりの泥水を指に塗りつけ、それをペン代わりにして家の中の鏡にメッセージを書いた。

『お父さんとお母さんの病気がよくなりますように。愛を込めて。エリー。』

実は私だけでなくお父さんとお母さんも疫病にかかって苦しんでいた。親友のアリサも疫病にかかっていた。私の住む町では疫病が流行っていて、みんな苦しんでいた。酷くなると私みたいに寝たきりになり皮膚が黒くなりやがて息ができなくなり亡くなってしまう。お父さんもお母さんも、アリサも、今は元気だけど、病気が進行したら私みたいに死神が迎えに来てしまうのかな?なんて考えてしまい苦しくなった。
本当は親友のアリサの家にも行きたかったんだけど、冥府への扉がタイミング悪く現れてしまったせいでできなかった。死神にアリサの家に行く時間をちょうだいと頼んだけれど、時間がないので駄目だといわれた。

  そして冥府への扉に私は死神に連れてこられた。この時、生まれて初めて見たんだけど、冥府の扉の番を頭が3つある大きな犬がしているのが驚きだった。私以外にも何人か死神に連れられた元人間がいて、100人以上はいたと思う。その人たちも皮膚が黒ずんでいたから、疫病の仕業で亡くなってしまったんだと私はすぐに理解した。冥府の扉の前にいる頭3つの大きな犬は、牙を剥き出しにして唸り威嚇してきて怖かった。死神にいきなりこんなわけのわからない不思議な場所に連れてこられて、さらにこんな恐ろしい犬に吠えられるなんて散々だよね。

それが私とケルベロスとの始めての出会い。

私は何故か、この後にケルベロスを相棒にして冥界と人間界を行き来する仕事を請け負うことになるんだけど、次回はその話を詳しくしよう。

ー続く一【不定期配信予定】

見出し画像は稲垣純也様にお借りしています。不思議な魅力のあるお写真で、見つめていたら冥府の扉が開かれそうな。そんな妄想を掻き立てられます。

第2話はこちらから💁‍♀️

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