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「いますぐサラリーマンは300万円で小さな会社を買いなさい」を読んで、会社買収を進めている話

先日、「いますぐサラリーマンは300万円で小さな会社を買いなさい(三戸政和 著)」を読みました。

会社員をしながら数百万円〜数千万円で小さなM&Aを行うための、非常に実践的な知識が詰まった本でした。
そして「大企業で働いている会社員なら、中小企業経営は朝メシ前だ」といった主張を通して、実際に会社を買うにあたっての心理的な障壁を超えて、貴重な一歩を踏み出させてくれる本でした。

これまで、僕の選択肢として全く存在していなかったM&Aが、この本を読んだことで選択肢として上がってきました。本を読んだあと、すぐに各種M&Aサービスに登録&有料課金して、いま小さな会社を買おうとしています。

この本は、僕の現在の " 行動 " を変えてくれた良書でした。この本を読んだから、いま小さな会社を買おうとしています。

一方で、この本には「銀行から借り入れた方が良い」「負債を抱えた会社は割安で買えるのでおすすめ」といった旨の記載もありましたが、私自身まだ負債を抱えることに対する抵抗感が拭いきれていません。

この本では、私が抱いたような負債への不安や懸念に対して、先回りして「不安や懸念はあると思うけど、負債は問題なく、むしろ恩恵のあるのことなのだよ」と言わんばかりに、いくつも事例や論理を提示してくれていました。この著者は本当に優秀な方だと思います。

ただ、私は人生において「自由であること」を、おそらく他人以上に重視していて、返済責任を負うことによって、どの程度自由度が損なわれるのか読みきれていないためです。一般論が当てはまらないレベルだと思うのです。
甘ちゃん、と言われるかもしれませんが、「ある日突然思い立って、南の島に出向き、ビーチで一ヶ月カクテルを飲んで過ごす」という選択肢を残しておきたいのです。
というわけで、現状は「負債を抱えてM&Aをする」というところまで踏み込めそうにないというのが正直なところですが、まずはポケットマネー(自社の資金)で買える程度のM&Aから始めてみて、借り入れについてもう少し勉強を重ねたり、実際の経営を進める中で知見を増やしてから、トライするか決めたいと思ってます。

さて、ここからは、私の備忘も兼ねて、本書で印象的だった部分や学びになった部分をピックアップしてご紹介します。


オーナー社長になることの抗いがたい魅力

オーナー社長になったならば、生涯、楽しみながら暮らすのに十分な財産を蓄えることができるうえに、会社を、自分自身が仕事を楽しめるビジネスへと自ら導いていくことができる可能性が高まります。

三戸政和. サラリーマンは300万円で小さな会社を買いなさい 人生100年時代の個人M&A入門 (Japanese Edition) (Kindle の位置No.140-142). Kindle 版.

最初から資本家になるというイメージを持って働くのと、それを持たずに人に使われて一生を終えるのとでは、同じように働いていても、得られる生涯収入は指数関数的に変わってきます。

三戸政和. サラリーマンは300万円で小さな会社を買いなさい 人生100年時代の個人M&A入門 (Japanese Edition) (Kindle の位置No.197-199). Kindle 版.

この本の序盤では、会社を買って「オーナー社長」になることの魅力を訴求しています。
勤め人として上り詰めて社長になる「雇われ社長」と、自分が全ての支配権を持つ「オーナー社長」の決定的な違いや、「資本家」と「労働者」の違いなどに触れながら、説得力のある語り口で説明してくれます。
具体例を交えたり、二項対立で語っていたりして、イメージが掴みやすく、非常にわかりやすかったです。
ただこの辺りは、正直に言えば本書を読む前から知っていたことで、僕にとって真新しさは少なかったです。(自分の思考が間違っていないことの再確認の意味では価値がありました。)


『ゼロイチ起業』の難しさ

つまり、1億円を投資しても8割から9割が成功できない。それが起業の現実です。しかもその会社は、素人が無鉄砲に起業した会社ではありません。私たちのように投資を専門にしている会社が目をつけ、展開される事業領域の市場動向や、それらを実行するチームメンバー、技術などを検証し、財務や法務なども、入念にデューデリジェンス(審査)を行い、社長と何度も面接を行い、隅々まで調べ上げたうえで出資を決定した「期待できる会社」です。それでもほとんどの会社が成功できません。それぐらい、ゼロからの起業を安定させるのは難しいのです。

三戸政和. サラリーマンは300万円で小さな会社を買いなさい 人生100年時代の個人M&A入門 (Japanese Edition) (Kindle の位置No.601-603). Kindle 版.

ここでいいたいのは、あの孫正義さんでさえ、ゼロイチで成功するのは難しいと考えているし、ゼロイチで絶対に成功する企業を見抜くこともできない、という事実です。孫さんも自分でそれがわかっているから、広く浅くポートフォリオ(資産の組み合わせ)を分散して投資するようにしていると私は考えます。つまり、その事業が成功するのかどうか、事業の最先端にいる孫さんですら確たるものが摑みにくいのですから、普通の人に簡単にわかるはずがありません。

三戸政和. サラリーマンは300万円で小さな会社を買いなさい 人生100年時代の個人M&A入門 (Japanese Edition) (Kindle の位置No.718-722). Kindle 版.

自分でゼロから新たに事業を創出すること(=ゼロイチ起業)がいかに難しいかを、ベンチャーキャピタリストとして長年働いた経験則や、具体例を交えて語ってくれます。
ゼロイチ起業は、1000社に3社くらいしか、まともな成功を望めず、大変リスキーであると書かれています。

この部分について、私は半分同意します。
確かに、普通のサラリーマンが数千万〜数億円の投資を受けて会社を立ち上げて一発当たる可能性は低いと思います。この部分は同意です。
一方で私の知る限り、ITエンジニアであれば、一人で「受託開発」と「自社開発」をこなして安定的な収益を得つつ、借入をせず自分の労働力で何個もサービスを作り、年間売り上げ数億円以上のサービスを作りきった人が何人もいます。この人たちは大きなリスクも取っていませんし、案外「真剣に取り組んでいる人」の成功確率も高いものです。
ITエンジニアである私は、現在取り組んでいる個人開発を続けつつ、M&Aも取り組むというのが今の自分が取りうる最強の事業ポートフォリオだと判断しました。
このあたりは、みなさんのおかれた状況を踏まえつつ、判断していくのが良いかと思います。

飲食事業に手を出すな

断言します。引退後に飲食店を経営して成功できるのは、飲食業界にいて必要な経営スキルを身につけている方だけです。ノウハウのない人が安易に手を出すと「地獄」を見ます。

三戸政和. サラリーマンは300万円で小さな会社を買いなさい 人生100年時代の個人M&A入門 (Japanese Edition) (Kindle の位置No.844-845). Kindle 版.

飲食店経営は予想以上に難しいようです。
あまり詳しくない私は絶対に手を出さないことを誓いました。
こういった具体的なノウハウが本当にありがたいですね。
他の本ではなかなか得られない情報かと思います。

大企業の会社員なら、中小企業の経営は余裕でできる

そのあなたのマネジメントスキル(と、体系化された理論の学習)は、やがて中小企業の経営を担う際に、圧倒的な優位性となりえます。大企業にいるあなたは、経営効率や生産性を高めるために営業管理、経理・財務管理、倉庫・物流管理、調達管理など、さまざまな業務管理システムが導入されていて「当たり前」と思うでしょう。でも、中小企業の多くは、そんな新しいマネジメントモデルがほとんど導入されていません。

三戸政和. サラリーマンは300万円で小さな会社を買いなさい 人生100年時代の個人M&A入門 (Japanese Edition) (Kindle の位置No.1112-1116). Kindle 版.

中小企業では、そもそもそんなシステムの導入は検討すらしていない先がほとんどです。そんなことから、進歩を続ける大企業に比べ、なかなか生産効率が上がってこないのです。

三戸政和. サラリーマンは300万円で小さな会社を買いなさい 人生100年時代の個人M&A入門 (Japanese Edition) (Kindle の位置No.1150-1152). Kindle 版.

あなたの会社が、20年前、30年前にどの程度パソコンやオンラインシステムが整っていたかふり返ってみてください。中小企業の〝今〟はまだその状態に近いといっても過言ではありません。

三戸政和. サラリーマンは300万円で小さな会社を買いなさい 人生100年時代の個人M&A入門 (Japanese Edition)

中小企業において、各種事務手続きから顧客管理などのあらゆる面において、いまだに20〜30年前の仕組みで回っているので、大企業の効率化された仕組みを持ち込めば、それだけで無駄が省けて利益につながるという主張です。
大企業で使っているITツールなどを導入するだけで、一気に業務改善ができる様子です。これなら自分でも戦えそうだな、という印象。


まとめ

「読書したらアウトプット」

最近これを意識していますが、本の内容を身につける上でも、自分の言語化能力を高める上でも、非常に良い習慣だと思っています。本記事もアウトプットの一環です。

さて、本記事で引用したのは本書のごく一部であり、もっと具体的かつ実践的な「スモールM&A」のノウハウが多数詰め込まれていました。

ご興味のある方はぜひ、お手に取ってみてくださいね。

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