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不安社会革命|ポジティブ&ネガティブを科学的に捉えるニュバランサー達の未来(「脳科学は人格を変えられるか? / エレーヌ・フォックス」を読んで①)

前回はこれからの不安社会からの脱却を「不安社会革命」と名付け、そこで活躍する新人類のニューバランサー達の生態を少しご紹介しました。

これから不安と共に生きていくと自覚するとともに、積極的に作られた不安には騙されないようにしながらより良く生きていきたいですね。

今回は、不安はどんなメカニズムで起きているのか?を考えます。
そんな事を調べるために「脳科学は人格を変えられるか? / エレーヌ・フォックス」を読んだので、簡単にその解説をしながら、不安を理解していくと共に、未来はこんな事できないのか?というアイデアなどを考えていきましょう。

なぜ読んだか?|分野を横断して不安を捉えてそうなのと、不安を無駄に煽らなさそう。

この本は心理学者・神経科学から脳科学と遺伝子工学などまで範囲を広く横断して解説してくれているので、自分のように専門性がない人間でも比較的わかりやすく説明してくれそうな気がしたのと、なるべく理論と実践のバランスが取れてそうな本を選びました。

著者はエレーヌ・フォックス氏。オックスフォード大学の教授で、NHKの白熱教室でも話題になったそうです。日本でもこの本は比較的読まれ、メンタリストDaiGoにも紹介されていたようです。
DaiGoさんも動画の冒頭で言及していたのですが、この本の中はほとんどが理論の話で「実際にどうすればいいの?」といったノウハウの情報はあまり掲載されていません。それが非常に良いバランスなのです。

不安社会革命では「ポジティブになれば何でもOK。これさえやればポジティブになれる」という感覚はご法度です。不安を抱え、不安と向き合いながら、それらを自分で積極的にマネジメントする必要があるからです。

不安社会革命を担う「ニューバランサー」を意識しながら、本を読んでみる

この積極的にポジティブとネガティブをコントロールすることで、自分の不安と一緒に生きる幸せな人々を私たちは「ニューバランサー」と呼んでいます。

予報①:ニューバランサー達は自分の脳を把握する

様々な実験の結果などを中心に、この脳の働きの作用について細かく書籍の中では解説がされていますが、ここでは簡単に解説します。

著者は、脳を2つの領域に分けることと、一つの現象を定義する事から始めています。
・サニーブレイン:楽観的な脳 ポジティブな心の動き
・レイニーブレイン:悲観的な脳 ネガティブな心の動き
・アファクティブマインドセット:一人一人異なる物事の見方、捉え方。

サニーブレインの中心は神経構造の中でとくに、報酬や気持ちの良い事に反応する快楽の領域にあり(側坐核)、レイニーブレインの中心は脳の古い構造部の中、とくに危険や脅威を警戒する恐怖の領域(扁桃体)に存在する

一見、不安社会改革を担うニューバランサー達は、楽観主義であると思われるかもしれません。楽観主義とは、世界の善悪をあるがままに受け入れ、なおかつそこに潜むネガティブなものに屈せず(時にはあえて遠ざける)、自身の問題を解決するために行動を起こす人たちの持つ思想の事と言われています。まさにこれからの社会を作っていくような最先端のイノベーター達が思い浮かびます。

しかし、これからの不安社会を脱却させるニューバランサー達はイノベーターとは限りません。彼らは悲観主義の気持ちも持ち合わせています。ニューバランサーは、楽観主義・悲観主義、両方とも自分には要素があるものだ自覚して積極的にバランスを取ります。そのため、無理矢理 "気合いで" ポジティブになりすぎる必要もないのです。

積極的にバランスを取るために、ニューバランサー達はどうしているのでしょうか?それは今後身近になっていく{かもしれない}、自分の脳を把握するツールを利用するのです。

VRや人工知能を活用した気持ちを理解するテクノロジー

脳の状態を知るためにVRや人工知能といったテクノロジーを活用する領域は、2014年あたりからSXSWでも模索がされてきました

2014年当初は脳をリアルタイムに解析し、3Dの中にVRで入って脳の研究に役立てようというセッションがありました。
2015年になると、3Dプリンターを活用したオープンソースのブレインマシンインターフェース(脳波を読み取ってゲームをコントロールできるようになったりする事例)などが発表され、多くの開発者が<脳>の分野に関わる事ができるようになりました。
その後、研究段階にとどまらず、年々それを活用したビジネスが発表されてきました。例えば、脳波を読み取ったVRヒーリングソフトなどが挙げられます。

2020年のSXSWのピッチにファイナリストに選ばれていた韓国のスタートアップLooxid Labは、脳波測定のアタッチメントLooxid Linkを発表しました。HTC VIVEなどに接続する事ができます。
アプリの開発キットも公開されており、ゲームだけでなく、VRセラピーなどもソフトウェアの開発者が制作しやすい形で提供され始めています。

ニューバランサーは開発されたアプリを活用して、血圧などのバイタルデータを図るように、自分の脳の状態を把握してバランスを整えていくことになるでしょう。

またまだ「脳科学は人格を変えられるか? / エレーヌ・フォックス」を読んで感じたこと、そこから考えられるニューバランサー達の生態について考えていきます。お楽しみに!



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