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剛腕の部長と辣腕の新入社員②

前回(4月6日)の同じ題名記事である「剛腕の部長と辣腕の新入社員①」の中で前振りさせていただきました。

同じ企業の中、剛腕の部長と辣腕の新入社員を同じ条件で人材アセスメントを実施すると、目をそむけたくなる結果になる。

この現実について、会社名を伏せた上で具体的なデータでお伝えしたいところはあるものの、一般論の話として概略を皆さんにお伝えしても反対意見は少ないものかと考えています。

事実、これまで一般論として方々の人事部門の方にお話しさせていただく中、反対意見どころか「頷けるところは多々ある」との無言のご賛同を数多く頂戴してきました。

これは、あくまで一般論としての事象ですが、御社において同様の目をそむけたくなる結果に直面したとしても、「仕方がない」との無言のフォローを数多く頂戴することになったと思われます。

なぜ剛腕の部長の評価スコアが低くなるのか?

① 部長層にとって不利なケーススタディで実施している

② 新入社員層にとって有利なコンピテンシーである

③ 剛腕の部長のコンピテンシーが単純に低い

大袈裟に長時間をかけた問題提起であったものの、シンプルな背景でお恥ずかしい限りです。

「①部長層にとって不利なケーススタディで実施している」「②新入社員層にとって有利なコンピテンシーである」、これはコンサルティングファームの責任であり、同時にその人材アセスメントの提案内容をそのまま鵜呑みにして実施してしまった人事部門の方の責任ともいえるでしょう。

「③剛腕の部長のコンピテンシーが単純に低い」、これは人材アセスメントで表面化した定量的評価スコアが低いといった意味ではなく、単純に本質的に剛腕の部長の能力が低いといった意味になります。

これら複数の背景によって部長層、あるいは剛腕の部長の評価スコアが低くなることになります。

よって、コンサルティングファームからの人材アセスメントの提案内容をそのまま鵜呑みにせず、部長層に相応しいケーススタディ、部長層に相応しいコンピテンシーで実施するのであれば、本来の部長層に期待される評価が結果として表れてきます。

インバスケット?

グループディスカッション? 部下役を相手にロールプレイ?

そのケーススタディ、新入社員層でも実施してます・・・

ただし、インバスケットやグループディスカッション、ロールプレイの中での役割は「あなたは部長役です」と設定してあります。

が、役割として設定していることと、内容的に部長レベルであることとは本質的に意味が異なります。

インバスケットで部下が辞めたいっていってる? 大事なお客さんからクレームがあった? 飲み会の日程調整を? セクハラへの対処? 会議での言葉遣い?・・・・・・・・

グループディスカッションのテーマで、架空の部下の推薦? 架空の部門予算の獲得? そもそも書かれている内容が「?」や「笑」なのでコミットできない・・・フワフワしたコンサル的な問題分析? 絵空事でいいならどこまでもそれらしく話すけど・・・

ロールプレイの相手役(講師やアセッサー)の意見は「目標値が高くて」「仕事への意欲が湧かない」「転勤はしたくない」・・・あなた課長っていう設定では?

思いやり力? 段取りするスキル? 優先順位を判断する力?

そのコンピテンシー、新入社員層と同じでは・・・

なので、部長層に相応しいであろう「戦略立案力」「リーダーシップ」などをコンピテンシーとして設定しています。

が、「戦略立案力」は構成要素の一例でみると「内外の正確な状況把握」「鳥瞰魚眼による彼我の問題認識」「論理による原因分析」「概念と具体による本質抽出」「短いサイクルによる創造と検証の実施」「先を想定する中での虚実の具現化」などであり、新入社員層での人材アセスメントで設定される「状況把握力」「俯瞰力」「分析力」「洞察力」「創造力」「計画立案力」と実質的に同じという、如何ともし難い不思議な現状となっております。

さらに「リーダーシップ」をコンピテンシーとして設定するなんて論理的に破綻していませんか?

思考・対人・資質の各観点にコンピテンシーを設定し、この先のリーダーとして活躍できる人材を選出する取り組みなのに、その対人の各コンピテンシーの中に「リーダーシップ」を設定、定義を確認すると「事業の方向性を自ら熱く語り、メンバーの考えと気持ちと意欲を引き出し、その成功に向けた鍵を見出すとともに、進んで逆境を乗り越えていく」なんて、思考・対人・資質がやっぱりテンコ盛りで。

結局のところ、コンサルティングファームが目を眩ませるために、部長向けの人材アセスメントを虚飾的にテンコ盛りにしても、本質的にせいぜいマネージャーまでの階層でしか、現状の人材アセスメントは実施が難しくなることが現実です。

そして、時間の制約の中、ベースとしてのコンピテンシー(「戦略立案力」とか「リーダーシップ」とか包括的なものでななく)に焦点をあてて、長年の使用実績があるケーススタディ類で人材アセスメントを実施すれば、リテラシー含め、基礎的なコンピテンシーが得意な若手層、新入社員層の評価が高くなることはとても当然のことになります。だって部長層が短時間でインバスケットみたいな案件処理しますか? 年齢を重ねることで読み書きのスピードも遅くなりますって。

人材アセスメント、ヒューマンアセスメントの歴史がなせるわざなのか、本来、現場のリーダー、グループの管理職を選出することを目的にした仕組みであったはずなのに、これを上方へ拡大してきた業界の矛盾がここに表れています。故意犯か確信犯かは・・・。

長くなりましたので、本日の記事のまとめです。

御社の中で人材アセスメントを実施したとき、部長層の評価スコアが新入社員、若手社員、リーダークラスに比べて低くても特に気にされなくても大丈夫です。人事部門の方がそこをあえて問題視すると、さらに部長研修の提案シートがスルリと・・・。「戦略立案力の能力開発に向けて」「部長層のリーダーシップ開発についての新たな取り組み」あたりでしょうか。

私たちは、本当の意味で部長層以上にマッチした人材アセスメントを進めていきたいと考えております。先は長く困難な道のりが予想されますが、ぜひ多方面からの皆様のご意見、お待ちしております。

と、ここまで長々と書いてきましたが最後に。

今の人材アセスメントは部長層以上に本質的にマッチしない、だから部長層と若手の評価の逆転が発生しやすい。ただし、剛腕の部長の評価スコアが低くなるのは人材アセスメント側が原因ではなく、〇〇の〇〇〇〇〇〇が原因である可能性が極めて高いと考えられます。

次回に続けます・・・。

私たちの人材アセスメント、昇進昇格アセスメントに対する考え方は、こちらのサイトでも発信させていただいております。どうぞよろしくお願いいたします。


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