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掌編総集編

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自作掌編
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記事一覧

【掌編小説】日陰の日

 僕らがいるベンチに影を落としている大きな木にも、きっとセミがとまっているのだろう。日陰…

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【短編小説】コミュ収集車

 「田中君はどう思う?」  最悪だ。話を振られてしまった。どうしよう。何か言わないと。で…

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【掌編】 とりあえず邪魔

 害虫や害鳥の駆除で有名なとある会社に、観光地としても有名な市の市長から直々に電話がかか…

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王が侍りてなんか言う

A「あの国、初めて王様が白人になったらしいよ」 B「へ~」 A「白い王様だから、王様がつける…

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【掌編】 『おちゃのこ』

「ダージリ〜ン!ムギ!」 息子が朝から、こればかり言う。何を言っているかは分かるのに、何…

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『おすすめのゲーム』

A「最近暇なんだよねー。なんかおすすめのゲームとかない?」 B「そんなあなたに、『フラン…

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【掌編】 神様のアレ

 僕の隣の席の三田君は、少し変わった子だ。 変わった子と言っても、運動神経とか、テストの結果とか、好きなYoutuberとか、そういうのが他と違うわけじゃない。そういう類の話に限って言えば、寧ろ僕と三田君はよく似ていた。そのおかげで、このクラスで一番最初に仲良くなったのも、三田君だった。  僕とは仲良くなったのに、三田君は、僕以外の人とはほとんど会話をしない。というよりは、僕以外の人が三田君にほとんど近づかない。これはやっぱり、三田君の変わっている部分の所為だ。  三田君は、

【掌編】最初で最後の来客

 最後の段ボールを床に置き、「ふぅ」と一呼吸つくと、新居の慣れない匂いが鼻を撫でた。改め…

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【掌編】憎シミ取り

 家から一番近いスーパーには、ドラッグストアと焼き鳥屋と、クリーニング屋が併設されている…

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【掌編】産みくじ

 現在駅前のデパートでは、年末恒例の大くじ引き大会が行われている。この大会では一度に2回…

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【掌編】ATM先生

 それは部屋の片づけをしていた時のこと。クローゼットの奥底にあった透明なケースをひっくり…

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『だであるVSですます』

A「……おい、お前が噂の『ですます長』なのか」 B「そうです。私は『大日本ですます協議委員…

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1月28日に世界のどこかで行われていたかもしれない会話

A「問題。エスカレーターの中に隠れている食べ物ってなーんだ?」 B「そんなの簡単。『カレー…

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【掌編】『移住先のご提案』

地球の皆様、ご機嫌いかがでしょうか。 地球は現在冬ですね。そんな寒いところに住んでいないで、早く私たちの惑星においでなさい。地球が使い物にならなくなってからでは遅いのですよ。 さて、今回は皆様に、我々の惑星にあるステキな移住先についてご案内します。現在、我々の惑星には、2つの人工的な島が造られています。 1つ目は『イーヒ島』。この島では、誰かを困らせたり傷つけたりしないのも、困っている人を助けるのも、当たり前。なぜならこの島には、GPL(good person's law)