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就職活動という「プロクルステスの寝台」
ギリシア神話に、「プロクルステスの寝台」というものが出てくる。プロクルステスというのはある追い剥ぎのあだ名である。彼は大小2つの寝台を用意し、大きい人間を小さい方に寝かせてははみ出した部分を切り落とし、小さい人間を大きい方に寝かせては足りない分を引き延ばしていたという。じつに示唆的な説話ではないか。
映画『狂い咲きサンダーロード』の主人公・仁(じん)は、この説話の犠牲者を体現するような人物だ
SS「蔵書家の皮肉」
彼は蔵書家であった。彼が蒐集の対象とするのは主として文学作品であったが、それは彼の生来の文学青年的気質によるものであった。すなわち、彼は既存の道徳に盲従せず、社会の趨勢に対しては常に批判的視座に立ち、少数者に対しては共感と当事者意識を有していたのだった。「道」というものを理解せず、その脇の森を横切るギリアーク人に彼は共感していた。小市民的生活をよしとせず、結婚もせず、家も持たず、木造アパートの六
もっとみるSS「偏りフォビア」
時は20XX年、兼ねてより世間に蔓延していた、「偏り」を恐れる傾向であるところのいわゆる「偏りフォビア」が病気として認定された。この病気は「バイアスフォビア」と名付けられ、何らかの「偏り」を有する者に対する過度な攻撃性をその特徴としてもつ。特に2010年代後半に生まれた者たちを境に目立った症例が確認されるようになり、患者数は年々増え続けていた。
「バイアスフォビア」を発症するのは主に10代の若
Aller Anfang ist schwer.
タイトルに引いたのは、「何事も初めはむずかしい」というドイツ語の諺である。詳しくは忘れたが、確かアリストテレスも同じようなことを言っていたような気がする。何が言いたいかと言うと、記念すべき記事第1号に何を書けばいいかわからんということだ。
ぼくはこのテの媒体を使うのは初めてだ。Twitterはやるけれども、HPやブログを作ったことはないし、掲示板に書き込んだこともない。つまるところ、インター