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突発性【初】ひとり旅の教訓

人生初のひとり旅――それは出産予定日の都合から、突然に……。もちろん、私の予定日ではありません。

シアトル在住の元ルームメイト ブムレイの予定日。ニューヨークに戻る道すがら、前々から誘われていた彼女の家に寄っていこうかな、と連絡してみたところ発覚しました。

私「6月中で都合のいい日程はある?」
B 「6月7日、大学院の卒業式あたりから来られる? 赤ちゃんの予定日が6月21日で、それまでヒマなの。あれっ? 言ってなかったっけ?? 」

ええ〜っ?! 聞いてません。初めての赤ちゃんが生まれることすら知らないから〜!

うちの娘も予定日より2週間ほど早く孫を産むことになったし。私は即座に「残念だけど行けないよ、負担なく無事に産んでほしいから」と返信。ブムレイは「何でっ?! 来てよ来てよ〜」と聞き分けなしでしたが……。

てなわけで、「シアトル行きの代わりに何か」と企画したのが、京都でした。理由は、修学旅行以外に仕事で3回は行っているのに、ろくに楽しんだことがないから。

あと、NYにいると、やたら和風のものに惹かれるんですね。京都のガイドブックなんか見ればキラキラの極地で、「Kyoto、すげ〜!!」

何の偶然か、なんとなく決めたホテル滞在日の前日、東京で売り切れていたライブが大阪では空きがあり……

この旅でまず悟ったのは、「人生、先を考えて精進するよりも、目先の喜びに飛びつくべき」。

NYで油断して2キロ太ったので、「旅行までに」のダイエットは成功。久々のジャパン・グルメにも目をつぶり続けた結果でした。それなのに……。

肝心の関西食い倒れ本番に調子を崩して、まさに食い→倒れ。こんなことなら、欲のままに食べておくべきだった……。我慢は禁物、明日の保証はないのだから。

ひいては「人生にチャンスは数々あれど、自分のキャパと時間は限られている」と痛感。

祖母が大阪人だったからか、関西の食べ物は何を見てもそそられます。けど今回、その大半は見送るしかなく、母(大阪人ハーフ)がたまに自分のために煮ていた「牛すじだけはマスト」↑と苦渋の判断。

更に悟ったのは、「誰しも、せっかくの好条件を活かしきれてないことはある」ということ。ワイン好き・コーヒー好きの私が、ラウンジの飲み放題をほとんど利用できなかったのがひとつ。

それと、今回のホテルは京都中心部に位置し、阪急電車と地下鉄烏丸線の駅近。

なのに、阪急電車は大阪・梅田から直通なのも知らなくて、わざわざ新大阪→大阪→京都→四条と周って着きました。いずれも大した距離ではなかったとはいえ、貴重な旅時間の損失。

人生、こんなことあるある! 「自分なんか境遇が悪いから、何をするにも苦労はあるだろう」と決めてかかりがちですが、どうだか。どうせなら「自分は恵まれているから、何事もスイスイ」と決めこめば、その通りの道が見えるはず。

ほら、関係者が妊娠したとたんに街中で妊婦さんが目につきだした……という、アレです。

個人的に、誰でも知ってる世界遺産なんかよりも、こちら怪しげな二条陣屋さん(重要文化財)のほうが面白かったです。 

豪商宿の現存の入り口

築170年。元は大名も泊まった宿で、近隣の裁判所判事への賄賂の受け渡し場にもなり、大儲け。ついに金貸し業も始めました。

小判を模った金貸業の看板

裁判に負けた人などの恨みからの急襲に備えて、2階は宿屋主人の隠れ場所に。主人直系の子孫のかたが、隠し階段などしくみ満載の屋内を自らガイドしてくださいます。

高貴な人の宿泊に不可欠な鬼門の説明

詳しくはネタバレになるので、ご興味あれば現地にて!(要予約、¥1000)  観光に限らず、一般に有名かどうかよりも、自分の気が向くままに選ぶのが一番と学びました。

インスタ映えで有名なゼリーポンチは、お味もgood。黒い制服のウェイトレスさんも、キュートで優しかったです。

入り待ちの方々。私は開店後すぐで待たずに入れました。

祇園での着物撮影は、有名な場所ではカメラ禁止。なので、八坂神社などはスマホ自撮りで。

なんちゃって京女

初のひとり旅は、「普段はかなり人に気を遣ってるんだな」と気づいた旅でした。未婚の女性が独り身の良さを強調するのは、決して痩せ我慢とかではないよう。

人生も、他人に構わずやれたらさぞのびのびするだろう……と思ってました、この日↓までは。 

出発のほんの3日前、歳上の友人に電話したら「アラいいわね、行きたい!」。あの〜、べつに誘ってないんですけど……。(ツインルームだから、乱入もまあいいか……)

旅も3日目、人恋しくなってきたところだったので、ホテル近くの京風居酒屋さんでの一夜は悪くなかったです。

話に夢中で、傑作おばんざいの写真はこれだけ 

独りの良さは、じっくり味わえる点。美味しいと評判のホテル朝食バイキング、友人が合流した2日目は味をさっぱり覚えてません。 

おばんざいの和食の他、新進堂さんのパンの洋食も

でも、人なつこい友人のおかげで、ブランド卵の目玉焼きを焼くスタッフさんとも仲良くなれて、最後まで滞在を楽しむことができました。

それに京都御苑は、だだっ広い上に猛暑。友人と一緒でなければ、京都御所に行き着く前にギブアップしてたと思います。バカ話をしたりかき氷で憂さ晴らししながらだから、耐えられた……。

本当は銀閣寺だけに行く予定でしたが、交通が便利じゃなさそうなので安易にツアーに。「正解」と家族にも褒められました。3箇所の参観料も込みで¥6000はお値打ち。

何事も、良いサービスに頼ったり誰かの力を借りるのは、逃げではなく自助の知恵ですね。

しかも、通りかかる有名寺院・京都三大門や京大などの名所を次々と解説していただき、大満足。可愛いガイドさん始めスタッフさん全員がにこやかで手際がよく、思いがけず楽しい旅になりました。

「おこしやす」をもじった?「おこしバス」、車体も可愛い!

最終日ラストは、さすがに疲れが出た中、最後まで欲張ってよかった! 京都グルメはもう、次元が違います。

漬け野菜三種盛り。それぞれ凝った味付け。

カウンター席には、私の他に女性お一人様がふたり。皆さま、私同様にじっくりと味わうひとときを楽しんでおられる様子でした。

少ししか食べられないくせに、直前になんとかお願いした予約は2人席。私の後に来たお客様が何組か断られていたので、全く迷惑な客です。

私だったら「2度と来るな」と言いたいところを、「また来てくださいね」とは、京都のかた、優し〜い!

旅の終わりはたまらなく寂しかったけれど、「帰る場所があってこそのひとり旅」。明けて昨夜は、この旅行中だった夫の誕生日を祝うために、近居の娘も来ました。(孫のお迎えはパパが行けるそうなので……)

お疲れ気味の私のため、家飲みで。私の京都みやげ、抹茶ビールでまずは乾杯!

娘が勤め帰りに調達した伊勢丹デリと、夫作のカプレーゼなど

ひとりもいいけど、みんなと一緒もいい……こういう優柔不断な私だから、人生思い通りにいかないのかなぁ……。

それにしては、今回飲食したものどれもが、度を超えて美味しかったです。「あれも、これも、食べ損ねたぁ〜!」なんて嘆いても、仕方ないですしね。

人生もたぶん同じ。この世はワクワクすることや可能性で溢れているけれど、その都度選択した「たったひとつ」の中でやるしかありません。そんなひとつひとつを大切に思えるかどうか、でしょう。

大阪も京都も、キーボードを弾いていたバンドのライブ・ツアーや、外タレのコンサート・ツアーのアテンダントとしては何度も行っています。仕事での滞在もやりがいはあり、生き生きできました。

なんといっても、旅費や飲食代が無料タダ。ただし、全ては「他人のため」。トクするばかりなんていう、うまい話はないですね。

哲学者A・P・ゴージーに言わせれば、「生まれずに生きることと同じぐらい不可能だ」。

以前の私は、他人にくっついていくことを疑問に感じませんでした。スタッフ同士での打ち上げみたいな半分プライベートでも、誰かの選んだお店へ。家族との場合も同じ。

対バンのメンバーから「大阪ではお好み焼きが名物」と聞いて「食べた〜い」とマネージャーに言ったら、「そういうことはもっと早く言って」と嫌味を言われて……。(結局、他のお店をキャンセルしてお好み焼き屋さんに連れていってくれましたが)

それが今はアメリカナイズされたのか、自分の行きたいところをさっと選べるようになりました。旅行当日まで「着物撮影」以外は何も決めてなかった【初】にしては、素敵な5日間になったと感無量です。

それもこれも、旅で関わった皆さまのおかげ(交通・宿泊・飲食etc.)。以前の私はクライアントやアーティストに持ち上げられて、「ツアー成功は全部私のおかげ」と思ってました。

演奏も凄腕ではないし、旅程なんてツアー会社に丸投げで、私が組んだわけでもないのにね……。相当イヤな奴でした。  

というわけで、旅での学びを長々とお読みいただき、ありがとうございました。京都では紫式部のお墓の前も通りかかったので、これにあやかって文才が上がってましたでしょうか。(お参りもしてないのに、相変わらずイヤな奴?!)

冒頭の写真は滞在したホテルインターゲート京都四条新町。その他飲食店等の名称は各つぶやきのタグに記載。