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好きnote 43 「アンガマ」

皆さんアンガマという行事をご存知だろうか? 数多ある祭の中で私が1番好きな祭というか行事、それがアンガマ。西表島に住んだ時に初めてその存在を知った。アンガマとは八重山独特のお盆の行事で、簡単に説明すると、グソー(あの世)からウシュマイとンミー(西表島はアッパー)という祖先の霊とファーマー(花子とも言う)という子孫の霊が公民館や依頼を受けたお家に供養に回る行事。各村の青年部が内地でいうお坊さんの役割をする。

沖縄の行事は基本的に旧暦で行われていて、今年は8月28日29日30日が旧暦のお盆。今まさに八重山ではアンガマの最中。

内地だったらオガラを燃やして迎え火して、仏壇にお供えしたりお坊さんにお経あげてもらったりお墓参りに行ったりして送り火で先祖の霊を送るがスタンダード。しかしアンガマはアンガマ行列で祖先の霊が子孫の霊を引き連れて訪れ、ウシュマイとンミーが仏壇のある部屋へ通され線香をあげてうーとーとー(手を合わせてご挨拶すること)する。

うーとーとー

うーとーとーが終わると地方(じかた)が三線を弾き歌い、まずはウシュマイとンミーが踊り、その後に子孫の霊のファーマーが踊る。その家の家人は精霊たちをご馳走やお酒でもてなす。西表島はなかったが石垣島では、あの世から来たウシュマイとンミーにあの世のことを尋ねる問答もある。

私が1番面白く感じたのは、アンガマ行列に参加している間は地声禁止で裏声で話さないといけないこと。アンガマをしている間は人間ではない精霊なので、自分が誰かわかってはいけないからという理由で。サングラスをかけたり変装したりするのも正体を隠す為なのだ。石垣島の青年会はみんなしっかり着物を着たりしているが、私がいた頃の西表島はゆるくて、基本はみんな着物だけど着物がなかったので私はワンピースで参加した。

ファーマーたち(石垣島)
伝統芸能を披露(石垣島)

アンガマの3日間は、毎晩たくさん飲んで食べて歌い踊る。最後はもちろんカチャーシーで、その家のご家族とウシュマイ、ンミー、ファーマー入り乱れて踊る。めちゃくちゃ楽しいけど、アンガマとは一体何なんだ? と集落の方にお伺いしたところ、「今生きてる家族も、亡くなった家族も、これから生まれる子孫も、みんな仲良く歌い踊ることが供養になるさね。今生きてる家族が仲良くすることが、ご先祖様にとっては1番の供養だからよ」と教えてくれた。

「それはすごくいいなぁ! 仲良く生きることが供養になるなんて」と思った。内地での供養は、言い方は悪いがお坊さんの稼ぎ時みたいな感じで終わってしまう。アンガマはアンガマを呼べないお家があっても、公民館やホテル・民宿や保育園で行われたりするので見学や体験ができて誰でも楽しめる。石垣島に住んでた頃はアンガマが好きすぎて、八重山毎日新聞に載ってるアンガマが回るコースを調べてアンガマを観て回った。

保育園にやってきたアンガマ行列
マイアンガマスクラップ
ホテルミヤヒラでのアンガマ

アイドルの追っかけみたいにアンガマを追っかけた。「あー、またアンガマ観たいなぁ…」と思い出していたら、新暦お盆は台風でお墓参りに行けなかったのを思い出し、思い立ってお墓参りに行って来た。

お墓の敷地に生えた草むしりをして、お墓を綺麗に掃除して花を供えた。アンガマみたいに歌い踊りはしないけど、今を生きる家族が仲良く過ごしてご供養できるように手を合わせて帰った。

最後にアンガマの思い出をひとつ。

西表島の干立青年部でアンガマの練習をしていた時に、TV東京の旅行番組のロケに来ていた柄本明と石倉三郎が公民館にやって来た。公民館で行事の練習をする島の若者たちと話すという流れだった。公民館で青年部長がアンガマの説明をして、アンガマの練習を見せて、ふたりにも少し体験してもらい、最後はやっぱりカチャーシー。その一部終始が撮影されていた。

後日その番組で撮影されたお店にはビデオテープが送られてきたらしく、上原港近くのスーパーに行った際、スーパーの店長から「ネーネー、TV出てたね」と言われた。西表島はTV東京は映らないから私は見ていない。練習シーンにちょっと映ってたのかな? と思い「公民館の練習の見学で柄本さんたちが来てたから、ちょっと映ったんじゃないですかね」と答えると、「うううん、そんなもんじゃなかったよ。柄本明! 石倉三郎! ネーネー! みたいな感じでアップで映ってたさ」と言われた。

どんなんだよっ!!!

結局私はその番組を見れず終いで確認できてないアンガママジック。今でもたまに柄本明を見ると一緒にカチャーシー踊ったなぁと思い出してしまう。


※長いですが、これが1番わかりやすいアンガマの一部終始。

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