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Week 3-4 扁桃体ハイジャック

人間が、感覚を感じたり、手足を動かしたりするのは、脳の大脳皮質です。

この、大脳皮質を被った、脳の深い部分に、左右に1つずつアーモンドの形をした、「扁桃体(Amygdala)」があります。

扁桃体(Amygdala)は、人間の感情をコントロールするセンターとされています。

この扁桃体の隣には、記憶を司る「海馬」があり、過去の記憶が感情の反応に関わっているとされています。

人間が危険を感じたり、ストレスサーからの刺激を感じると、まず、大脳皮質で視覚や聴覚などの感覚として感じ、その情報が、扁桃体に伝えられます。

扁桃体では、今感じている感覚情報と、過去の記憶を総合して、今置かれた状況が、生存にとって「有利」か「不利」なのか、自分にとって「快」なのか「不快」なのかを判断します。

これが、生存を脅かすような危機であるとか、自分にとって非常に不快な感覚だと判断すると、「恐怖」「不安」「悲しみ」などの感情が生まれるとともに、自律神経(交感神経)の興奮やストレスホルモンの分泌などの「ストレス反応」が惹起されることになります。

扁桃体

つまり、同じ出来事でも「ストレス」や「危機」と感じるかどうかは、扁桃体が左右しているのです。

この扁桃体が過剰に興奮すると、「恐怖」「不安」「悲しみ」といった感情が、必要以上に増大していき、感情や行動が抑えられない状況になってしまいます。

「カッとなって理にかなわないことをやってしまった。」「不安に耐えられず、常軌を逸した行動をとってしまった。」などという時は、扁桃体が作り出した感情で脳全体が支配された状態「扁桃体ハイジャック」と呼ばれています。(この言葉は、EQ心の知能指数で有名な、心理学者ダニエル・ゴールマンが造ったとされています。)

それでは、この扁桃体の興奮を抑えるためにはどうすれば良いのでしょうか?

ポイントは「前頭前野」、特にDLPFC(背外側前頭前野)という部分です。

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前頭前野は扁桃体の興奮を抑える働きがあるため、「前頭前野」を刺激することで、扁桃体の活動を鎮静化することができるのです。

この、前頭前野を刺激する方法として、書写、計算、料理などが知られていますが、今に注意を向ける「マインドフルネス」も、前頭前野に働きかけ、扁桃体の興奮を抑える効果があることが、科学的に示されています。

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マインドフルネスは、このようなメカニズムで、感情を安定させ、ストレス反応を低減させる効果があるのです。

<参照>
Baumeister, R.F., Bratslavsky, E., Vohs, K.D., Finkenauer, C. (2001). Bad is stronger than good. Review of General Psychology, 5, 323-370. [Article]


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