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怒りや悲しみと、長引く痛みとの深い関係

怒りや悲しみなどの感情と慢性疼痛には
深い関連性があると考えられています。
この関連性は、心理学的・生理学的な視点から
説明することができます。

以下で、その視点から説明します。

1. ストレス反応と身体の関係

怒りや悲しみなどの強い感情は、
身体にストレス反応を引き起こします。
ストレス反応では、体内でコルチゾールなどの
ストレスホルモンが分泌され、交感神経が活性化されます。

このようなストレス反応が持続すると、
身体が常に「戦うか逃げるか」のモードに入り、
筋肉が緊張し続け、血流が悪くなります。
これにより、身体の痛みを増幅させ、慢性疼痛を引き起こす
リスクが高まります。

2. 感情と痛みの神経回路の重複

怒りや悲しみなどの感情と痛みを感じる神経回路には
重複があることが知られています。
脳の扁桃体や前頭前野といった部位は、
感情と痛みの両方に関与しています。
感情的な苦痛が強まると、これらの部位が過剰に活性化し、
身体的な痛みの感覚が強まることがあります。

3. 心理的要因による痛みの増幅

慢性疼痛患者の多くは、抑うつ、不安、怒りなどの心理的要因が
痛みの経験を悪化させることが研究によって示されています。
例えば、抑うつ状態では、痛みに対する耐性が低下し、
痛みがより強く感じられることがあります。
抑うつの底には、怒りが潜んでいることがあります。
また、怒りは交感神経系を刺激し、
身体の痛みを増幅する可能性があります。

4. 「痛みの悪循環」

怒りや悲しみを感じることでストレスが増し、
それが疼痛を悪化させると、さらに感情的な苦痛が増し、
これがさらに痛みを増強するという「痛みの悪循環」に
陥ることがあります。
慢性疼痛患者の多くが、このような悪循環の中で
苦しんでいることが指摘されています。

5. 心身一体のアプローチが重要

このような理由から、慢性疼痛の治療には、
身体的な治療だけでなく、心理的な治療が重要とされています。
認知行動療法(CBT)やマインドフルネス、
感情調整のための心理療法などが、
慢性疼痛の緩和に効果的であることが多くの研究で
示されています。
心と体の関係を理解し、感情的なストレスを適切に管理することで、
疼痛の管理がより効果的になります。

まとめ

怒りや悲しみなどの感情と慢性疼痛には、
ストレス反応や神経回路の重複、
心理的要因などを通じて深い関連性があります。
これらの感情を適切に管理し、
心身のバランスを整えることが、
慢性疼痛の緩和に繋がる可能性が高いと考えられます。

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