#夏休み
『夏の終わりに思い出すのは君のこと。』(7)
彼は、何故、私の名前を知っていたんだろう。
不思議に思ったが、ベンチの上を見て、すぐに察した。
スケッチブックにも、色鉛筆のケースにも、
覚えたての筆記体の英語で、名前を書いたシールが貼られていた。
アキヒロくんは、これを見て、私がテラシマ アカリだと知ったのだ。
私は何てマヌケなんだろうと、笑えてきた。
突然現れた、知らない男の子。
私は知らないけれど、彼は前から私を知っていてくれた。
そ
『夏の終わりに思い出すのは君のこと。』(4)
男の子の姿を確認すると、
私は、「アイスありがとうー!」と、彼に届くように、お腹に力を入れて声を出した。
少し先にいる彼は、その声が聞こえたらしく、手を振って応えた。
駆け足で私の元に来た彼は、
一本の木の棒を右手に持っていた。
私が、「それ、どうしたの?」と聞くと、
彼は、「これ、探してきた。使うの。」と、
ニヤリと笑った。
それは、まっすぐ細い木の枝で、30cmほどはありそうだ。
先が