見出し画像

通院・服薬だけが治療ではない~筆者の実体験~

先日『健康になる方法は星の数ほどある』という記事を書きました。お医者さんに診察してもらったり、処方箋を書いてもらったりすることだけが私たちの不調や痛みを解決する唯一で最善の方法ではない、という内容でした。これについて筆者の実体験を、今回は書いてみます。少し重い内容になってしまうかもしれないので、感情などが誘発されそうな方はお気をつけください。なるべくライトになるように頑張ります(^ v ~)☆ え

【23歳の女子大生に異変が…】

時は遡り2016年9月… 筆者がアメリカへの約1年間の留学を経て日本に帰国し、2ヶ月ほど経った頃でした。年末の学士論文の提出を控え、毎日論文の執筆に忙しくしていた時期です。ある日突然、「あれ、眠れない。」夜の就寝時、布団の中でまったく眠りにつくことができません。そのまま朝を迎え、当然日中は疲労感たっぷりで活動します。「な〜んかたまたま眠れなかったな〜」とその時は気に留めませんでしたが、そんなことが続いて夜は布団に入るのに一切眠れず、日中の活動時間に何時間も眠ってしまうという昼夜逆転の毎日が、あっという間に定着してしまいました。そのうち理由もなく急に、電車の中やカフェなどの公共の場で涙がボロボロ目から流れ落ちてくる、という謎の現象が筆者の身に起き始めます。毎日のように、ときに日に何度もです。筆者は混乱し始めます。さらに、赤ん坊の頃から食べることが大好きで食に対する執着が人一倍の筆者ですが、いつの間にか食に対する興味を失い始めます。空腹を感じないというわけではありませんが、食欲がわかないというか、食事をすることさえ煩わしく感じるのでした。とりあえず空腹を満たすため、仕方なくそこらへんにあるものを少々口に入れる…みたいな日々が続き、体重が激減。家族も心配し始めましたし、なにより自分自身の変化に自分が一番困惑していました。「なんやこれ?何が起きている…?」

読んでくださっている皆さんはもうお気づきだと思いますが、まぁ〜典型的な「うつ症状」ですね。当時はまさか自分がうつになるなんて想像すら出来ておらず、なんなら自分のことを「うつになる可能性から一番遠いところにいる人種」とすら思っていましたから(汗)、自分の身に次から次へと起こる怪奇現象(笑)に衝撃を受けていると同時に、「自分がうつになっている可能性」そして「精神科の戸を叩かなければならない状況」を受け入れることができませんでした。しかしもう既に通常の日常生活を送ることが出来ない状態でしたし、その上なんといっても年末に論文を提出しないことには大学を無事に卒業することが出来ません。他に選択肢がない状況に置かれていた私は、精神科を受診することにしました。

【はじめての】

意を決した私が近所にある精神科を訪ねると、そこには当時の私にとっては驚きの光景が広がっていました。ものすごーーーーく、混んでいたんです。受診するまでにかなりの時間を待っていましたが、ひっきりなしに患者さんが現れては受診して帰っていきます。「こんなに多くの人々が精神科に通院しているの…?こんなにたくさんの人が心を病んでいるの…?」無知な23歳の筆者は、そんな風に衝撃に思ったのを、今でも覚えています。さて、自分の順番が来ました。ものすごく緊張しながら診察室に入り、上記の「怪奇現象」について一生懸命に説明する筆者にお医者さんはサラッと言いました。医師:「はい、うつですねー^_^」 筆者:「ん(・v・)…?」 医師:「お薬出しておきますねーー。無くなる前にまた来てねー。ではまた〜。はい次の人〜!」筆者:「ん(・v・)…???」

…え? ものすごく大きな抵抗感と緊張を感じながら精神科を受診した筆者でしたが、非常にあっさりと「あなたはうつでーす」と認定され、ごくごく当たり前のように数種類の薬を処方されてしまいました。なんだか拍子抜けしたと同時に、「あれれ、睡眠薬や抗うつ剤をいくつも飲みながら日々を暮らしていくのって、世間じゃケッコー普通のことなのかも」と考えるようになってしまいました。「みんなやってる」って。…そうして睡眠薬を含む複数の精神安定剤の服薬を開始した筆者は、夜は十分に眠り、日中は怪奇現象(またの名をうつ症状)なしに活動するということが可能になりました。おかげで無事に論文を提出し、春には大学を卒業できた筆者ですが、だんだんとその状況に恐ろしさを感じていました。そう、処方されていた精神科の薬に依存し始めていたのです。

【依存】

処方されていた精神科の薬を飲み始めてすぐの頃から、実は自覚していました。「薬が無いと生きていけない」自分自身に。それでも、「ケッコーみんな普通に精神科の薬飲んでいるっぽいし、まぁ自分はいつでも服薬をやめられるだろう」と高を括っているところもありました。それに現実的な問題として、あの状況で服薬なしに3ヶ月で論文を完成させて大学を卒業する、というのは不可能だったと思いますから、服薬は避けられなかったでしょう。そんな中、「もしかしてこれからもずっと、一生薬を飲み続けて生きていかなくてはならないのだろうか…?」と考えたときには、ふいに怖くなりました。無事に大学を卒業するその時点でもう既に、薬をひとときも手放すことができない状態にあったからです。いつうつ状態がおそってくるのか不安ですから、お守りのような感じで常に薬を肌身離さず持ち歩いていました。さらに、薬の作用自体にも依存している状態でした。強力な抗うつの薬を飲むとすぐに、地上から数センチ浮いているような感覚になって(個人の感想です)、「幸せ状態」が続きます。なぜ幸せかというと、頭で色々なことが考えられなくなるのです。思考が停止させられて、「うふふ、あはは」のお花畑世界へと旅立ちます。

それまで筆者は自死を選ぶ人々の気持ちが1ミリも理解できず、自死した方々を責めるような気持ちさえ持っていました。しかしこの経験をとおして初めて、自死を選ぶ人の気持ちを理解するようになります。上記のお薬が効いていない精神状態のときには、「ただただ消えてしまいたい」という消失したいという欲望だけを感じるようになっていました。「死にたい」という気持ちとはまた微妙に違うのですが、あぁ、きっとこの消失欲がどんどん大きくなっていった先に、「死にたい」という気持ちがあり、自死を選ぶということがあるのだろうな、ということを当時は感じていました。このまま進むとどこかのタイミングで自分は死んでしまうのだろう、という悟りのようなものがありました。冒頭で書いた症状のひとつとしての食欲の喪失は、消失してしまいたいと思っている自分には食事をする意味が感じられないし、資格もない。という意識が実際の症状として現れたのだろうと思います。

【誰にでも起こりうることだけれど】

そもそも当時うつになった原因は自分ではっきりわかっているだけでも複数あります。アメリカ生活から日本社会にもどってきた時に自分の心がうまく対応出来なかったことや、パートナーとの別離、数年にわたる家族内の不和、大学卒業後の進路や将来に対する漠然とした不安などなど… うつになる時って、「これが原因でうつになっちゃいましたね」っていうものがはっきりしているわけではなくて、自分でもわからないところで色々な要因が少しずつ蓄積されて、いつかうつ症状として現れます。症状として現れるきっかけになるショックな出来事などはあると思いますが、どちらかといえば日々のストレスの積み重ねや幼少から持ち続けてきた考え方の癖などが複雑に絡み合って、長い時間をかけてうつの種はむくむくと成長します。ですからうつって誰にでも起きうることで、なにか非常に特別なことではないんですね。症状の大小も人それぞれグラデーションがあって、「なんかちょい憂鬱だわ〜」で済む人もいれば、服薬や入院が必要だったり、死を選んでしまう人もいるわけです。さらに言えば、うつには「完治する」ってありません。だから症状のグラデーションはひとりの人の中にも存在して、昨日は消えてしまいたいくらい落ちていても今日は全然平気だったり、一時期は入院が必要だったけどここ数年は特に大きなうつの症状なく暮らせていたり… 

こんな風に、ハッキリしないものなんです、うつって。だからこそ、精神科を受診して「うつ病」という診断を受けるかどうか、そして精神科の処方を受けるかどうか、これは慎重に考える必要があると筆者は考えます。うつというのは誰にでも起こりうる症状ではありますが、うつ病のための薬を処方されることが誰にでも当たり前に行われるべきだとは思いません。うつ病に処方される薬によって助けられる命や生活はあるでしょうし、かくいう筆者も当時服用していた薬なしでは予定通りの大学卒業は確実に不可能でした。それどころかうつの症状によって深刻な事態にまで発展していたかもしれません。大事なのはその人が置かれた状況とタイミングです。筆者の場合もし論文提出期限までにもっと余裕のあるタイミングだったら…またはその時点での卒業は諦めてもう一年ゆっくりと療養しながら論文を完成させるという選択肢が可能であったなら… その場合精神科で処方される薬を服用する以外の治療法を模索することが出来て、その結果薬に依存することはなかったのだろうなとは思います。しかし当時の筆者には服薬が必要に感じられたのも事実であり、同様にうつ病のための薬を切実に必要としている人も一定数いるでしょう。

【周囲のサポート+客観性】

筆者の場合、幸いにも無事に大学を卒業出来たことやそれに伴って家族との関係性が少し改善されたことが、自分の精神状態の安定にかなり寄与してくれたおかげで、うつ状態のときにみられる精神的な落ち込みの度合いがだんだんと軽くなってきているようでした。その結果、「うつ状態の自分の精神状態もこわいけど、薬が効いている状態の自分はもっとこわいな…」と思えるようになり、「服薬をやめたいかも…」とさえ考えられるようになったのは、本当に幸運なことだったと思います。さらに、母親や恩師が「今は仕方ないかもしれないけれど、なるべく早く薬はやめなさい」と口すっぱく私に言い続けてくれたことも、服薬について改めて疑問をもつことができた大きな要因だと思います。

病院で薬を処方してもらうことは「みんなやっている」ことだから。「普通」のことだから。というマインドがいつしか、あたかもそれしか選択肢がないと思い込んでしまうような状態を作ってしまうと、取り返しのつかない状況を生む可能性があります。状況やタイミングによっては通院と服薬が必要なケースがあるのはもちろんですが、自分のケースを長期的な視野で見た時に通院と服薬だけが最善の方法であるかどうか、客観的に判断する必要があります。そのためには第三者の助言やその他の情報にオープンであることも、判断の重要なポイントですね。筆者の場合上記のように心配してくれる他者が身近に存在してくれていたことは、本当にラッキーでした。

【自分の健康に責任をもつ】

結果、筆者は無事に薬断ちに成功!!時間をかけて、少しずつ服用する薬の量を減らしていったのです。それだけでなく、同時平行的に服薬以外の選択肢を色々と試し始めました。筆者が主に実践していたのは:鍼灸治療漢方薬ヨガマインドフルネス実践、の4つです。どれもうつになる前から経験はありましたが、精神科の薬を完全に辞めるため、本格的に日常の中に取り入れての実践を始めることにしたのです。鍼灸治療と漢方薬は母の強い勧めもありスムーズに始めることができました。ヨガとマインドフルネス実践についても信頼できる指導者の方々やコミュニティと出会うことが出来たこと、そして自分自身が自分の健康に対して積極的な姿勢になれたことが、心身の回復を促進させたと思います。それぞれに関しての詳しい説明はまたの機会にするとして、どの方法にも共通するのは、中・長期的な継続によって効果が感じられるということです。西洋医学の治療および薬はある程度の即効性はあるかもしれませんが、残念ながら根本的な解決にはならない応急処置的なものがほとんどで、依存や副作用を引き起こすことが多いのが事実です。それに対して上記のような西洋医学以外の健康法は効果を得るのに多少の時間はかかるけれど、その人の体質や習慣を変えることで根本からの解決を目指し、しかも副作用などが伴わないものがほとんどです。筆者には上記4つの実践が非常に相性が良かったのですが、それぞれの人に合う健康法を各自で見つける必要があります。全員に当てはまる正解はありませんし、西洋医学が不正解ということでもありません。その時の自分に合った方法というのは、絶えず変化していくのだと筆者は考えます。

こうしてついに、筆者は初めての服用から約1年ほどかけて、精神科で処方された薬を全く服用しなくなり、さらにはお守りのように常に薬を持ち歩くことも辞めることができました。そのまた1年後にはどうしても捨てる勇気がなく自宅に置いておいた薬もゴミ箱に捨て、サヨナラをすることができました。薬に対する精神的な依存からも脱出することができたのです!それ以来うつ病のための処方を必要としたことは今までありません。もちろん気分がどうしようもないほど落ち込んだり、「あ、この感じ知ってる…うつになった時と似てる…」と感じることも今までに何度もありました。けれども、「もうあそこまでは落ちない」というなにか自信のようなものを感じることができるのです。その理由は、周りのサポートを受けながらも他でもない自分自身で自分に合う健康法や治療法を試しては見つけ、それを継続して実践することで、自らの健康に対しての責任を感じることができた…という揺るがない実体験があるからです。この「自己の健康に対する自発的な姿勢」が、医師の診断と処方を受けるだけの受動的な治療と大きく違っているところなのです。


【今まさにつらい人へ】

さて、かなり長くなりましたが筆者の実体験から、通院や服薬だけがベストな治療ではないのですよ〜、ということについて書きました。この体験記(?)が必要な人に届いてくれれば嬉しいな…とコソコソと祈っております。今だから笑って話せることですが、当時の筆者にとっては生きた心地のしない、つらいつらい日々でした。こんなに平穏な日々がまた過ごせるようになるなんて、到底想像出来なかったものです。諦めずにサポートしてくれた周囲の人々に感謝すると同時に、諦めなかった自分自身もほめてあげたいですね。だから今がつらいと感じている人、それでもそこで生きている自分自身をまずねぎらってあげてください。そしてそんな人が周りにいるよという方も、おせっかいを続けてください。いろんな人が、いろんな方法で、それぞれの健康を目指しているということ、たくさんの可能性があるということを、教えてあげてください。諦めたって良いんです、つらいですから。ただ、選択肢は星の数ほどあるって知っているだけで、何かが少しだけ変わるかもしれない…そんな風に願っています^_^


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?