半分こ世代 このまえ、結婚したばかりの女友達に会った。 「結婚半年、どんな生活?」 「お金は、全部平等にしてるよ」、と言う。 え!びっくり。 彼女は結婚生活を「割り勘」で送っているというのだ。 家賃も半分こ、食費も半分こ、光熱費も半分こ。 今の時代、なんでも平等にする家庭もあるんだ! 私は結婚したら、夫の稼ぎで生活するのが当たり前と思っている世代だから驚いた。 もしかしたら18年も婚活に失敗してきたのは、養ってほしいという私の考え方が原因だったのかもしれない。
なかなか挑戦できないでいる。 本当はやりたいことがある。 やりたいことは、まだできていないことだからやりたいこと。。 学校から社会から、やりなさいと言われたことばかりやっているうちに やりたいことがわからなくなってしまった。 動画や他人の投稿で時間をつぶしているうちに 自分の軸が本当にわからなくなってしまった。 でも、思い返してみれば、いままでで一番満たされていると感じる時は、 おじいの畑を手伝っているときだった。 土まみれになって草を抜いたり、収穫をしたり
つながりハレルヤ 電波のように見えない何かでつながっている世界。 台湾で受けた整体のおじいさんが言っていたツボとツボをつなぐ経路のように私たちはネットワークで結ばれている。 実際にSNSでもつながっているから、みんなを近くに感じられている。 魚屋でバイトをしていたうたくんは、日本食レストランを開くための修行をはじめた。 料理の話をするとき彼の目はいつも、まるで光のかけらのようで、いずれは海外にもお店を出したいとの夢を持ってがんばっている。 ジャンベのケンちゃ
ただいま、日本 最後の寄港地を後にして、オリビア号に戻る。 このほしに行き止まりはなく裏側ともつながっていた。 海の上を通ってたくさんの人と関わり合えたから、ミクロネシア連邦の憲法にあるように「海はわれわれを繋ぐものであり、引き離すものではない」と、心からそう思う。 最終日の朝、デッキではケンちゃんがビーチチェアに座ってたばこの煙を爽やかな空に向かって、フ~と長く吐きだしていた。 しばらく遠くをみて切ないメロディを口ずさみながら思いついた歌詞を紙にメモしてい
チュークと時の流れ 長く濃い旅も、ついに最後の寄港地。 船はミクロネシア連邦のひとつである、チューク諸島に到着した。 港では、青地にヤシの木がデザインされたチューク州旗が生温かな風に吹かれてはためいている。 チュークはたくさんの島々で構成されているが、もともとは一つの大きな火山島だった。 数千年の時を経て、島の大部分が海底に沈んだ中、山頂付近が残ったのが今の島々。 地球というのは大きく見ると丸っぽいのかもしれないが、深い海底から高い山々まで、本当はとてもで
甘いサモア 南太平洋の国々は、ミクロネシア、メラネシア、ポリネシアに分けられる。今回のサモアはポリネシア地域にあり、他にはイースター島、タヒチ、ニュージーランドなどが含まれる。 サモアは日付変更線の西側に位置しているから、世界で日付が変わるのが最も早い国のひとつ。 面積は東京都を少し大きくしたくらいの小さな国だけど、住んでいる人のほとんどは大柄で、私の倍くらいありそう。 サモアの人は、男も女も巻きスカートを履いている人が多い。ズボンは暑いし比較的治安が良いからな
しあわせチョコ 潮の香りに包まれた船に戻ってきて、あたりまえのように大好きな仲間たちを見てほっとした。 帰る場所があるということは大きな安心。その安心感があるからこそ、旅ができる。 この船ではじめて会った人たちばかりだけど、貴重な時間を共にしてきた全員が愛おしい。 何かひとつの大きなことを成し遂げ終えようとしている、澄んだ目をしているみんなが。 船の上ではどこで誰と会っても挨拶をしたり、会話が始まったりしていた。帰国後にはまた周りが知らない人ばかりになり、人と人の
タヒチとデジャブ 船に戻ると、日が暮れてちょうど夜が始まるところだった。 前方デッキにいるのは私だけ。 冷たい中にも、ほんの少し暖かさの混じった海風が心地良い。 空には、さっきからぼんやりとしか見えていなかった月が、分厚い雲の間から顔を出した。 どうしようもなく深い闇に月が出てくれて、やっぱりひとりじゃない、と心強く思う。 真っ暗な中、船は道もない海の上を静かに滑っていく。 どっちを向いても暗い湖のような水面を、ひたすら終焉に向かって。 月だけが希望のように高
地球のへそ(イースター島) 海にひょっこり浮かぶ島が見えてきた。 イースター島だ。 島の港へは、オリビア号の大きな船では着岸することができないから、テンダーボートに乗り換えて島に入る。 謎の島をこれからサアヤと探検するのがとても楽しみ。 テンダーボートから、すでに大きなモアイたちが見えてきた。 巨大な像が点在しているこの島は、神秘的でいかにも神々しい。 これはモアイのちからか。 島のちからだろうか。 港街にはシンプルな模様が描かれた白い教会や、観光案内所
星と身体 乾いた宇宙に青く浮かぶ地球。 地球という船に乗っていると、地球が回転しているようには全くみえない。私たちの体で何十兆もの細胞が常に振動しているとは分からない。 周りにある無数の星も、見ようとしない限り気がつかない。 今からデッキのすべての明かりを消して空を見上げる「星を見る会」が開催される。今夜が雲のない夜で良かった。 星を見る会を私のように待ち遠しく思っていた人たちが、ちらほらデッキに集まってきた。 ジャンベのケンちゃん、地図に詳しい白髭のおじいさん、
さりげないチリ 船には美容室がない。 それなのに現地の地元っぽい髪形になる勇気がなくてどの国の美容室にも行っていなかったから、髪がだいぶ伸びてきて前髪が目に入りそうになってきた。 船には美容師のパッセンジャーも乗っていて、その内のひとりが、しのちゃんだ。 彼女にお願いして今度船で髪を切ってもらう。 しのちゃんは長いパーマの髪を器用に頭のてっぺんで結い上げていて、笑うと八重歯がのぞいてとてもチャーミング。 しゃべっている途中にまばたきをするとき、長くカールしたまつ気が
光るアルゼンチン次の寄港地であるアルゼンチンのウシュアイアに着くまでに、船の上からカラフルな街を何度も見た。 南半球では南に行く程寒くなるから、この辺りではジャケットを着ないとデッキに出られないほどだ。 アルゼンチンの東側は、お菓子の家が連なっているような街並みで、冷たい風で寒そうな分、人々が温かそう。 自分の町をパステルカラーで塗ることにしたアルゼンチンの人たちを想うと、眺めているだけでほっこりしてくる。 船は静かに早朝のアルゼンチンに着いた。 私はデッキから見て
本能ダンスこの先は、アフリカ大陸からアメリカ大陸に向かって大西洋を横断していく。 甲板に出てひたすら青ばかりの世界を見つめていると、光る何かが海の表面を高速で飛行している。 「トビウオだ!」 誰かが叫んで、その正体がトビウオなのだと知った。 一匹のトビウオがぴょんと海から出てきて、三十メートルくらい羽をパタパタさせて飛んでからまた水に潜っていく。 トビウオたちがうろこを反射させながら飛んでいる様子を飽きずにずっと見ていた。 船には、様々なことを得意とするパッセンジャ
南アフリカ共和国は想像以上 水平線からお日様が昇って間もない頃、次の寄港地、南アフリカ共和国のケープタウンに到着した。 ゆっくりと船が着岸する間、大地のリズムを刻むジャンベの音に迎えてもらった。 この広いアフリカ大陸は、太鼓の音が本当によく似合う。ジャンベ隊の大人たちの横で、子どもたちが楽しそうに踊っている。日本の幼稚園などでよくある型にはまった動きではなく、本当にいきいきとしていて、魂からの喜びが伝わってくる。 私は港に降り立ち、素敵な踊りを見せてくれた子どもたち
恋人バオバブ(マダガスカル島) 船は早朝、マダガスカル島の近くまでやってきた。この大きな船では遠浅で美しいノシベという島までたどり着くことができない。 小さめのテンダーボートに乗り換えて、ようやく島に足を踏み入れることができる。 そしてバオバブ並木を見に行くには、さらに飛行機とタクシーに乗って移動しなくてはならない。 今回もサアヤと目的地を目指す。 空港で飛行機を待つ間、人々をなんとなく観察しているとサアヤが言った。 「やっぱりアフリカ大陸に近いだけあって、国民もい
ケニアを感じろ何日くらい船に乗っていただろう。 相変わらず辺りは見渡す限り海。 しかしさっきからカモメが周りに増えてきたということは、港が近いということなのかもしれない。そう考えていると、甲板で誰かが叫んだ。 「大陸だ!」 それを聞き、目を凝らして遠くを見やる。 本当だ。 青の世界にようやく、ひとかたまりの土色が加わった。 アフリカ大陸だ。 船のスピードが、だんだんとゆっくりになってゆく。 今まさに、太陽に照らされたケニアの港に向かっている。 船が港ぎりぎりまで近