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疲れも不眠も憂鬱も停滞もSNS中毒も吹き飛ばす合法ドーピングの話

絶好調じゃなくても毎日は慌ただしくて疲れは溜まる

こんな日常をおくる現代人に伝えたい、心身の不調を15分で改善できるミラクルドーピングのお話です。

・毎日タスクが山積みで脳内CPUがパンパン
・自分のこと以外に家族や部下やチームやクライアントのことも考え続けて脳疲労が溜まっていく
・起きている間は常に脳がフル稼働
・平日の疲労感は週末だけじゃ回復できない
・ルーティンでいっぱいいっぱいで余白がない
・最近アイデアが出づらくなった
・ぐっすり眠った気がしない
・肩も腰もバキバキ
・インスタやツイッターをずっと開いている
・YoutubeやNetflixを見続けちゃう

これらの不調を、明日からたった15分でそのすべてを解消できる方法があります。

 

疲れていないはずでもなんだか疲れているし、海外は行けないし

すこし前まで、なんとなく低空飛行な状態が日常のデフォルトでした。毎日、頭もからだもそれなりにつかって生活していると、生活の澱みたいなものが何層にも溜まっていることにふと気づく時ってありませんか?

1日24時間のうち、意識がある17時間には意思決定を何百回と繰り返して脳はくたくた、からだは物理的に動かしていなくても、だからこそ肩や腰やむくみにつきまとわれて、いったい何に疲れているのかさえわからなくなってくるような状態が日常になっている感。

1日の終わりにそれらの疲れをしっかり解消して睡眠でリセットできればなによりだけど、睡眠時間も思うように確保できなかったり、自分のペースで生活できなかったりと、そう簡単にはいかず。

生活に楽しみをと、クラフトビールをポンッと開ける、ハーゲンダッツを食べる、お風呂にバスソルトを入れてゆっくり浸かる、ルームフレグランスで部屋を満たす、キャンドルを灯す、マッサージに行く、自転車に乗る、など、日常でできる滋養の方法をいくつも持ってはいるんです。それがおとなのいいところだし、楽しんでもいます。

だけどそれも、ルーティンになってしまうと、高揚はやがて日常になってしまうというジレンマも一方ではあり。だから人は新しさを求め続けるんだなあとつくづく思います。

思い立ったらバンコクの雑踏やハワイのサンセットに飛び込めた時代はよかったんです。先の計画が心を潤し、気力を生み、目の前の現実も乗り越えられました。

でも今はそれが叶わない時世。

時間とともに閉塞感も増していく、そんなうれしくない比例を打ち破る何らかの方法を、切実に求めていました。

 

そして出会った無双術

海外にも行けず、機会を失ったファッションやコスメをはじめとする消費にもどんどん興味がなくなり、でも運動にはどうしてもハマれない、そんな時に軽い気持ちで始めたのがサウナでした。

さほどサウナに興味がなかったし、ランニングも筋トレもいろいろ3日坊主なのに、今や週6でせっせとルンルンで通わずにはいられない新米サウナーに。そしてそんなサウナの恐ろしい魔力を布教せずにいられない、、

もともと温泉は好きだけど、サウナにはほとんど興味がありませんでした。「温泉のついでにせっかくだから入ってみるか、今は新しいことをやる機会も自由も減ったし」とほんの暇つぶし気分でサウナを試すようになったのが1年ほど前のこと。

そうなったら最後、それが沼への一歩だとも知らずに、今やととのうことに1日の思考を費やしていると言っても過言ではないほどに、狂気のサウナーになってしまいました。

週6サウナ(毎回3セット)では飽き足らず、旅先では必ずサウナ&お風呂を夕方・夜・朝と最低3回は堪能。近頃ではサウナの有無で宿どころか旅先を探すほどに(自分でも戸惑いしかない)。


サウナ、べつに好きじゃなかった

とはいえ、サウナという選択肢を最初から積極的に取り入れたわけではありませんでした。

長らく住んでいたところにサウナが付帯していて、気が向いた時にふらっと入って汗をかいた気になったりはしていたものの、暑いし苦しいし特段好きでもなく。

「暑いのはいや、汗をかくのもいや」という理由で夏がそんなに好きになれないのに、ましてや自ら体温の2倍以上の灼熱に身を投じるなんて、理解ができなかった側です。

そもそも、ぼーっとする、ということができない問題が大きかった。

温泉につかっても、海を眺めても、プールサイドで寝そべっていても、テラスで風を感じていても、夕焼けに染まっても、ぼーっとするということがどうにもできない。

ぼーっとするってどういう状態なんでしょうか……?

頭をからっぽにする、何も考えない、という時間が存在したことがなくて、ずっと、頭のなかで常に何かしらを考え続けているタイプです。無意識のうちに。

考え続けているから常にエネルギー不足で、1日のおわりには体力も気力も消耗してへろへろになる、ということがしばしばあるほど。

おかげで胃が強くない(常に考え続けてしまうタイプの人は、胃の消化につかうべきエネルギーも脳で消費してしまうために胃の消化にまで行き届かない傾向にあるらしい)という悲しい副産物もあるほど、頭を酷使してからだにも負担をかけています。

ぼーっとできないわからだには常に負担がかかっているわで、入浴もサウナも長らく苦手でした。ジップロックにスマホを入れて持ち込むという技を発明してからは、家のお風呂に長く入れるようになったけれど、それはあくまでスマホありき。スマホや本がないと、入浴は時間を持て余す作業で苦痛でした。

ただ、スマホを持ち込んでの入浴は、長風呂になりがち。Netflixを再生した日には気がつくと数十分浸かっていて、うっかりのぼせがち。のぼせたからだを冷やそうと、シャワーの温度をいけるところまで冷たくして頭からかぶり続けると、それはもう気持ちよくて。

これに味をしめてからは、温冷交互浴を無限ループするようになりました。

この無限ループにハマってから、「もしやサウナってこの気持ちよさがもっと強いのでは?」と思うように。灼熱に飛び込んでみたい衝動に、初めて駆られたのです。

サウナの良さをとつとつと念仏のように説いてくる夫にも多分に影響され、旅先の宿にサウナがあるかどうかをチェックする程度には気になるように。

とはいえ、宿にサウナがあれば入る、ごくたまに行くスーパー銭湯でサウナにも寄る、そんな程度だったんです。

 

サウナ沼への招待状を受け取ってしまった

そんななか、本当の意味でのサウナデビューを意図せず飾ってしまいます。

その場所は、『おちあいろう』。

『おちあいろう』は静岡県・中伊豆にある高級旅館で、2019年にサウナを全面リニューアルして話題に。年に一度サウナを評価する「サウナシュラン」でも、2019年は5位、最新の2020年では7位にランクインしています。

この『おちあいろう』のサウナ体験が、それはもう劇的で衝撃で。

エンターテインメントにおけるこれ以上の快感を、ほかに知らない。と言い切れるほどになってしまいました。

お寿司や焼き肉を食べた時の高揚や、無心で歩を進めて到達した山頂での解放感や、ベネチアのリアルト橋から目にした運河のあまりの美しさへの呆然や、そういう感動のさまざまな種類を包括している感覚。

サウナはすべてを持っている。

高揚も、呆然も、感動も。それらによるイノベーションまでもを起こす力があります。

『おちあいろう』はサウナー(サウナ愛好家)も絶賛する実力派。そんなところで実質デビューしてしまったものだから、サウナに対する期待値が思いがけずに上がってしまい、その後サウナに小うるさくなってしまったことはすこし後悔があります。

それでも、これほどサウナにハマれたのはまちがいなく『おちあいろう』のおかげなので、やっぱり『おちあいろう』がデビューの地でよかったな、と思わずにはいられません。(『おちあいろう』の良さは後述します!)

 

いざ行かん、サウナへ

『おちあいろう』を経てさまざまなサウナに行くなかで、良いサウナ残念なサウナ、安定した良いサウナ体験の生み出し方がわかってきました(そりゃ旅先でも必ず3セットして、週6も通えば、ね)。

世の中のすべての人にサウナドーピングを布教したいのですが、なかでも特に以下の2通りの人に力説したい。

ちょっとサウナに興味はあるけど……な人
「サウナブームだけど、いったい何がそんなにいいの?」
「サウナねえ、、入ったことあるけど暑いし苦しいし良さがわかんなかったなあ」
「サウナにトライしてみたい、やるからにはサウナの良さを体験したい」

現在こんな状態の人
・その日の疲れはその日のうちにとりたい(とらないと明日が、、、)
・「あれまずかったかなあ」などくよくよしがち
・企画や提案などに携わり常時アイデア求む
・自分のことも他人のことも考えるマネジメント職や中間管理職
・多方面に神経をつかう調整業務に従事
・頭フル回転で脳疲労が強い
・特に趣味がなく息抜きしづらい
・日常や人生への絶望がうっすらありがち

まさしくすこし前の自分そのものなのですが、どれもサウナが解決してくれて、今やサウナなしの人生には戻れません。

サウナのいろはを知らなかった自分を思い出して、ここからサウナ体験の取説をまとめていきます。せっかくなら、最大限の効果をば。


サウナって結局なにがすごいの?

具体的な方法に入る前に、サウナの良さを言語化してみます。

サウナは最高の生まれ変わり方法だと実感しているのですが、「日常に組み込めて」「必要分数や持ち物などのハードルが低くルーティンにしやすく」「高揚と回復を同時にもたらせる」という3点を備えている点で、ほかのアクティビティと比較して“最高”と評しています。

そもそものサウナの効果としては、体温上昇や血管の収縮運動を意図的に起こすことで、疲れ、不眠、憂鬱、肩こりや腰痛などフィジカルな未病状態を改善し、高揚状態をもたらすことで気落ちやSNS中毒などメンタルの問題も解消するポテンシャルがあります。

“生まれ変わり”といっては大げさに聞こえますが、なぜ生まれ変われるかというと、リフレッシュとリラックスはもちろんのこと、ポジティブやインスピレーションを必ず得られて、清々しく前向きな状態をつくりだせるから。

なにがすごいって、「必ず」良い状態になれること。「必ず」って。プロ野球の首位打者でも打率3割なのに、サウナは10割なんです。百発百中。バッターボックスに立てば、必ずホームラン。

「必ず」と保証できること、すごくないですか?嫌なことがあっても、いまいち調子が出なくても、仕事で冴えなくても、クライアントにむかついても、すべてにいらいらしても、人生に絶望しても、どんな日でもサウナ後には必ず前を向けるんです。こんな方法があるなら、新卒の時に教えてほしかった。マニュアルに書いておいてほしい。

言うなれば、サウナはマリオのスター状態をたった10分で毎日人工的につくりだせるともいえます。こんなドーピング、あります?しかもだれにでも門戸が開かれている合法な方法。ほかにはちょっと見当たりません。

加えて何がよいって、からだはほぼ動かさない(から物理的には疲れない)のに、まるで運動後のような爽快感があるんです。

基本的に、料理するでも食べるでも運動するでも、からだを動かすって物理的にエネルギーを消費して負荷になりますよね。確実に疲れます。だから脳が疲れている時にさらにからだを動かすって、その決断も脳に負担かけるしからだが疲れる未来が見えているから、億劫さが半端ない。(運動が日常の場合は爽快さを想起して動けると思うのですが、運動日課組にはハードルが高い、、)

でもサウナは、物理的な筋肉疲労を起こさずに、運動後の気持ちよさだけを味わえるという、まさにチート。

しかもからだも頭も、両方にその気持ちよさが訪れます。からだはさっぱりして軽く、頭はすっきりしてポジティブになり、心身共に倦怠感や停滞感が吹き飛びます。

運動でも同じような効果はもちろんあるけれど、運動って「さあやるぞ」ってなるまでの億劫さが尋常じゃないんですよね、、そしてそれが継続を妨げる最大の敵になっている。

でもサウナには、お風呂とか片付けの前によくある“やらなくちゃいけないのに一向に気が進まない”がないんですよ。

なぜなら、気持ちよくなることが約束されているから。

むしろ楽しみでしかたなくて、「さあ今日は何時にサウナに行こう」ってずっとワクワクしていられます。

そしてサウナ後のビールにごはんがもう、めちゃくちゃおいしい。。

感覚が鋭敏になり胃腸も活発になるので、とにかくすべてがおいしく感じます。汗で塩分が失われているので、塩味が沁みること沁みること。カレーやラーメンや揚げ物が、最上級のごちそうに。

脳もからだも疲れがとれて、おまけにごはんまでおいしくなるとは、サウナすごすぎません?

物理的にも精神的にも崖っぷちで激務に追い詰められていた時代の自分に教えてあげたい。もっと早く布教されたかった。

そう思ったゆえに、このnoteを書かなくてはという使命感に至りました。サウナを知る人生と知らない人生とでは、地主かどうじゃないかぐらい違いすぎる。

それでは、せっかくなら最大限の効果を得たいという強欲思考が導き出した、サウナの効果を得られる論理的な利用方法や良いサウナの見分け方へ。

 

■サウナの効能

「お風呂があればいいじゃないか」「お風呂の気持ちよさとどうちがうの?」とは私も長らく疑問に思っていました。

湯船は重力から解放してくれるし、息苦しくないし、半身浴でも肩まで浸かっても足だけ入っても自由だし、長い時間ゆるやかにやさしい時間をくれる。お風呂で充分じゃないか、と思ってきたから、サウナに食指が動かなかったというのも多分にあります。

今、入浴もサウナもどちらも好むようになったゆえに、そのちがいを身を以て理解しました。

この2つは効能が異なります。

入浴はからだの深部からじんわりと全体を温めるもの、サウナは一連の流れでリフレッシュするもの。サウナではリフレッシュの副次効果として、ポジティブ/アイデア/気力が湧いてくるというスター状態付き。

入浴はリラックス、サウナはリフレッシュ、というのが私の感覚です。

どちらが良いというより、効能がちがうから併用すると良い、と思っています。入浴だけ、サウナだけ、の日もあるしあってよい、時間と体力と気力に余裕があれば両方楽しむとよいよね、という二神教徒です。

サウナに入ると、とにかくアイデアやインスピレーションがばんばん湧いてきます。そしてそのどれもが実現可能であるかのように感じられる、無条件の自信を伴い、「よしやってみよう」というポジティブさまで同時にやってきてくれます。これが、マリオのスター状態と例える所以。

人は極限状態に置かれると死にたいと思わないと言いますが、サウナもまさに。自然界では到達しない温度90℃の極限状態なので、生命力が増幅されます。気落ちしていても、くよくよしていても、なげやりになっていても、サウナに入るとあら不思議、そんなもやもやはなくなります。

そして外気浴ではいつの間にか前向きになっているという、百発百中のループ。

この気分の変化、今でも毎度驚きます。自分にも世の中にも寛容になれて、細かいことは気にせず楽しく過ごそうという気持ちに努力せずに到達できる。こんな楽な方法はこれまで出会えていません。

(寛容さと前向きさをリマインドしてくれるという点では海外の旅と近しいものがあります。旅とちがってサウナは、準備や計画も不要でハプニングがなく、1,000円程度で毎日この感覚になれるという点でもはや神。)

効能を謳うなら副作用も挙げないとと考えてみたのですが、肌や髪の弱い人はもしかしたらダメージがあるかもしれないです。

私はどちらもめっぽう強い&しっかり対策をして入っているので、むしろ肌はくすみが抜けて透明感が出たと家族に言われるぐらい目に見えて良い方にいっているし、髪も傷まないようにサウナハット必須、且つトリートメントをインバス・アウトバスの両方でしっかりするようにしたことで前よりつるさらに。

デメリットというと、中毒性が高いため、からだにかかる負担が大きくなるリスクもあります。「もっと熱いサウナ」「もっと冷たい水風呂」「もっと寒い外気浴」「もっと長いととのいタイム」と、ハマればハマるほど欲深くなっていきます。80℃のサウナに5分と入っていられなかったのに、今や90℃に15分入っていられるようになるんです、、人間のからだの適応力はすさまじい。でも物理的な負担がからだにかかることは確かなので、ほどほどにしないと危険です。

 

■サウナの入り方

サウナ実践編です。

サウナは、とりあえず入ればいい、というものではないんです。感覚で楽しむのももちろんあり(サウナの本場・フィンランドの人は、サウナの分数やととのうかどうかはいちいち気にしていないとのこと)だけど、本来のサウナの効果をしっかり得るためには、基本を押さえておきたいところ。やみくもに飛び込むと、文字通りやけどします。

堅苦しく考える必要もないし、ルールでもないけど、心地よいサウナ体験のために知っておくと得する&苦しくないサウナの入り方は以下。

前段)まずお風呂に入る
いきなり高温のサウナに入ると、からだへの負担も大きい。ウォーミングアップとしてお風呂に入り、かるくからだを温める。1〜2分ほどでよい。
1. サウナに入る
タオルで水分を拭き取ってから入る(理由は後述)。私の場合は、ドライサウナ90℃だと5〜15分。出るかどうか決める目安は脈拍、120〜130(平常時の1.5〜2倍以下)になったら出る。とはいえ毎度、体調と相談。「今日ちょっとしんどいな」って時は3分で出るし、からだも頭も疲れていない時は12〜15分入っていることも。人によって苦しさも向き不向きもちがうから、なにより無理しないことが大切!座る場所によっても体感温度が変わる。熱源に近いほど、座面が高い場所ほど、熱い。
2. ぬるめのシャワーで汗を流す
ぬるめのシャワーの時もあれば、水風呂の水を桶でバシャーっといくこともある。好みだけど、水風呂から直接水派だったのがぬるめシャワー派になった。「水は水風呂に入った時に感じるのが醍醐味」というサウナーの言葉を聞いてから派閥変更。水をかける時は、まず足から。いきなり肩からかけると心臓への負担が大きい。サウナから水風呂にどぼんしたい気持ちもめちゃくちゃわかるけど、マナーとして汗は流す。
3. 水風呂に入る
入ったらじっとしている、これ絶対。じっとしていると肌の表面に膜ができて(通称「はごろも」)、やがて冷たさを感じなくなる(これが第1気持ち良いポイント)。そして息が冷たくなる(第2気持ち良いポイント)。息が冷たくなったら出る。40〜90秒ほど。水風呂が20℃の場合、ドライサウナ90℃に5分入ったら水風呂40秒、8分で60秒、10分で75秒、12分で90秒が私の今の最適解。
4. 屋外で休む
外の空気に触れて休むことを外気浴という。外気温20℃前後なら、10〜15分ほど。足先がほんのり冷たくなってきたら引き上げる。

この1〜4の流れを1セットといいます。サウナ識者によると、朝は1セットで頭をフレッシュに(朝から数セットすると体力を消耗してしまう)、夜は2〜3セットがよいとされます。私も朝は、どんなに元気でも1セットで切り上げている(後ろ髪をひかれても!)。

私の基本ルーティンは、サウナ1セットに入浴を加えるパターン。外気浴(ととのいタイム)が気持ちよすぎてつい長く休んでしまいがちなのですが、からだはみるみる冷えます。冷えたらお風呂にどぼん、これで解決。

ちなみに、ぼーっとできない(から入浴できない)問題は根本的に解決には至ってないのですが、サウナには絶対にスマホを持ち込めないので、頭のなかを無にする練習タイムに充てています。瞑想や座禅もできないタイプなので初の試み。無にする方法がわからないので、天井も床も壁もすべてが一面真っ白な部屋を想像しています。考えごとをしない強制シャットダウンタイム、よいものです。

サウナ&お風呂での時間は物理的にスマホと切り離されるため、SNSも動画も見ない隔絶タイムに。サウナでハッピーになると、SNSも動画もない時間を心地よいと脳が認識するため、それらに割く時間が減っていきます(個人の体験)。「動画だらだら見るよりサウナ行こ」となるのも事実。

   

■「ととのう」とは

サウナ好きの口から必ずもれる言葉、「ととのった」「ととのいたい」。

果たしてどんな状態を指すのかというと、意外にも理論的な説明があります。「ととのう」とは、からだの状態でいえば、血中にアドレナリンが残っているのに自律神経は副交感神経が優位というめずらしい状態を指します。

脳はどうなっているかというと、リラックスした時に出る脳波であるアルファ波が正常化してストレスを抑えると同時に、ベータ波も活性化し覚醒した状態に。

これゆえ、脳の疲労がとれてすっきりしながら、発想力や集中力が高まる、という状態がつくりだされるのです。リラックスしつつも意識は敏感で覚醒するという、稀有な状態。

この状態を故意につくりだせるほかに類を見ない装置が、サウナなのです。

サウナーのなかでも「ととのう」の感覚や描写が異なるので、自分自身で体感するまではどんな状態か想像しづらいかもしれません。私にとっては上述したような、高揚・恍惚・呆然が同時に訪れる瞬間。人によって感覚もそれぞれちがって、さまざまな表現がされていますが、言語化されている通りに感じなくとも、「あ〜〜しあわせ〜〜」って思えればそれでよい!と思います!

私は何事も論理的に理解して体験したいタイプで、サウナ識者が書いた「ととのうとは」をかなり読み漁ったのだけど、結局どれもわかるようでわかりませんでした。

体験して初めて、「こういうことか〜」とわかったし、それが人の表現と一致しないこともありました。自分だけの「生きててよかった〜〜」があればそれでいいと思うように。これもサウナがもたらすおおらかさかもしれない。

ちなみに、ととのいタイムは2分間ほどと短いです!貴重な貴重な2分なので、速やかにととのい状態にして大切にするべし。

 

■ととのうためのTips

「じゃあどうしたらととのえるの?」「貴重な2分を漏れなく無駄なく体感するコツってある?」という問いに答えていきます。

いわゆる「ととのう」体験をするには、正しい入り方が必須。加えて、いくつかのぜったいに押さえなくてはならないコツがあります。

やみくもにサウナや水風呂を試しても、「そうそうこの瞬間〜!くぅぅぅ!」という恍惚は訪れません。これが、知識なしで体験してみて「いまいちだった、、」となってしまう落とし穴なんです。私も落とし穴にはまって、「サウナ、言うほどでもなくない……?」と勝手にかっがりして、数年を無駄にしたくちです。そうなってほしくない。

そう、恍惚はむやみやたらには訪れないのです。待っているだけではだめ、ということを、サウナ術を知ってから知りました。

サウナを利用する人を毎日たくさん見ていますが、ととのうをはじめとした最高のサウナ体験を叶える入り方をしていない人が99%。もったいないな〜〜という老婆心から、ここにTipsを。

・サウナ前にタオルで水気を拭く
肌に水気が残っていると、その水分が蒸発する時に肌の水分も奪ってしまうため、肌が乾燥する。肌の表面に水分がない方が、しっかりと汗をかける。
・サウナ中は体育座りかあぐら
頭と足で温度差をつくらないためには、なるべく足を近づけた方がよい。全体が均一に温まる。
・サウナ中はタオルや帽子で顔や頭を覆う
私はサウナハットで頭を、水に濡らしたタオルで鼻と口を覆っている。目だけが出ているブルカ状態。頭・顔ともに乾燥防止になるし、呼吸がしやすい。タオルがあると、背中にあてればよりかかれて楽な姿勢で過ごせる。1枚のタオルで背中にあてつつ口にももってこれる。
・サウナ後のシャワーはぬるめ
熱いシャワーも水シャワーも避けた方がよい、なぜならヒートショックの原因になるため。
・水風呂に入りすぎない
水風呂でじっとしていると、羽衣(はごろも)といわれる薄い膜が皮膚の表面を覆い、それによって水の冷たさを感じなくなる現象が起こる。これがふしぎな感覚で、ついついそのまま味わい続けてしまう。冷たさを感じないから、長く入れてしまうのだ。ところがこれは体の芯まで冷えてしまい、寒暖差で風邪をひくパターンなので要注意。水風呂は、名残惜しいぐらいで出るのがいちばん。私は鼻呼吸をして気道と肺がスースーして冷たさを感じるようになったタイミングで出る。水風呂に入った瞬間からカウントして、90℃のサウナ8分に対し、水温20℃で60秒が今のところの最適解。(90秒入るとからだへの負担が大きく、外気浴の時に視界がぐるぐるした。)
・水風呂後・外気浴前にタオルで水気を拭く
水滴が残っていると、水滴が冷めることでからだの表面の温度が急激に下がり、からだが冷えてしまいやすい。
・水風呂後は最短距離で外気浴へ
ととのいタイムはわずか2分ほど。水風呂を出た瞬間から始まるので、タオルで水気を拭きながら速やかに横になる。
・外気浴はからだをフラットに
横になるのが理想。リクライニングチェアに仰向けに寝られるのがベスト。横になれなくとも、イスにリラックスして座ることでも効果あり。
・外気浴は寒さを感じる前に切り上げる
全身で感じる風が気持ちよすぎて、恍惚とするあまり、ついうとうとしがち。でも、鳥肌が立ったりぶるっと震えたりするまで外にいるのはだめ。からだが冷えすぎてしまう。
・からだが冷えたなと感じたらお風呂へ
水風呂や外気浴は最高に気持ちいいけど、思っているよりからだが冷えることも。特に冬になって外が寒いとなおのこと、からだの熱が冷めるスピードは早い。肌寒さを感じたら、お風呂で温まる。

特に重要なポイントは「サウナ前と外気浴前にタオルで水分を拭き取る」「水風呂に入りすぎない」「外気浴はからだをフラットに」です。

最初のうちはこの3点を意識するだけで、サウナ体験が格段に向上します。

 

■ととのえる施設の見分け方

ととのう体験こそサウナの本質。

ととのうサウナ体験を安定して得るには、「入り方」と「環境」、どちらも重要です。

正しい入り方をしていれば必ずととのうわけでもなく、最適な環境が備わっているからといって必ずととのうわけではない……そこがサウナの奥深いところ。「入り方」と「環境」、両方の諸条件を満たせば満たすほど、ととのい率は高くなります。

私が求める理想のサウナ施設、ポイントは以下。

・外気浴スペースがあるか
これ、サウナの基本のきなのに、都内ではスペースの都合上満たせていないことが多い。銭湯は露天風呂もないところが多く、入浴中に外気を感じられる場所がそもそもないところが多い。外気浴、サウナの最重要ポイントなので、外気浴ができるかどうかを最優先に選ぶといっても過言ではない。
・外気浴で風を感じられるか
外で風を感じられるか。この1文には、ポイントが2つある。「外」と「風」。サウナ体験の鍵を握るのは、実はサウナでも水風呂でもなく、外気浴なのだ。これは私も実際に通うまで半信半疑だった。なんなら「外気浴だなんてそれっぽいワードまでつくられちゃって」と思うほどに、すこしばかにしていたところすらある。ところが今なら言える、サウナは外気浴がその体験の成否を分ける。外で風を感じられる施設は、都内だと圧倒的に限られる。まず屋外スペースを備えてあることが稀で、屋外に出られるようになっていても風が通らないことが実に多い。入浴中の姿が外から見えないようにという配慮から、露天風呂や屋外スペースは高い壁や間仕切りが設けられているのが常で、そうすると風が通り抜けない。都会ではない温泉地の露天風呂が格別に気持ちいいのは、目隠しもなく開放的で、風が縦横無尽に駆け抜けられるから。
・外気浴で横になれるか
外気浴スペースには、ビーチやプールサイドに置いてあるような白いプラスチックの椅子が設置されていることが多い。ただ、外気浴で最大限のととのいを感じるためには、全身を脱力させた状態が望ましい。リクライニングの角度が120°ぐらいで目線の先に空が広がるような姿勢をとれるリクライニングチェアがあると最高。
・水風呂があるか
やはり全身を水に包まれる水風呂の存在は、プライオリティTop1、2を争う。できれば水風呂がある施設がベター。ただし都内では、サウナ専門施設でも水風呂がないところも多く、そういう場合は水シャワーが設置されている。水シャワーの場合、温度や形状にこだわりがあるところは、水の重要性を理解していることが多い。
・水風呂の温度
最適な水温は、17℃といわれている。グルシンといって10℃未満の水風呂を謳う施設もあるけれど、サウナで充分に温まったと確信しても泣きたくなるほどに劇薬。心臓麻痺注意報。「温まったなー!これ以上もう入っていられないなー!」というぐらいサウナに入っても、水温20℃で適度な冷たさを感じられる。17℃だとひんやり極上。
・ロウリュがあるか
ロウリュとは、熱せられた石に水をかけて蒸気を発生させること。サウナの本場、フィンランド式の入浴方法。ロウリュをすると蒸気により湿度や体感温度が上がる。これはサウナ単体で考えた時に真っ先に好ましいポイントとして挙げるところではある。が、サウナ専門やサウナに注力した施設以外ではほぼお目にかかれないのが実情。ロウリュの有無をポイントにすると、気軽なふらっとサウナのハードルは格段に上がってしまう。サウナ目的で遠出する際はロウリュがあるかどうかをポイントにするのは大いにあり(というかむしろマスト)だが、日常では優先度を下げてもととのうことはできる。
・サウナ内のテレビの有無
郊外の大型施設やスポーツジムのサウナには、たいていテレビがセットされている。音も流れていると、静寂とは言い難い。私は暑い密室で目をつぶって静かにじっとする座禅スタイルを好むので、テレビがあるサウナはととのいクオリティーの期待値を下げる。無音もしくはかすかな音量のクラシック音楽(且つスローテンポだとなおよし)が、瞑想に近い感覚になれて好き。
・サウナと水風呂の間にシャワーがあるか
サウナの後、ぬるめのシャワーで汗を流す。このシャワーは汗を流すだけでなく、サウナと水風呂をゆるやかにつなげる緩衝材の役目も果たす。衛生的にもからだへの負担軽減のためにも必要な動作である。サウナを出てからシャワーを抜けて水風呂へ、その移動が10歩程度におさまるとベスト。ホテルだと、意外とサウナと水風呂の間にシャワーがなく、入口や洗い場までシャワーのために遠出しなければいけない構造のところもしばしば見かける。マニアックな点だが、満たしているとポイントが高い。

正直、これらをすべて満たす施設は、特に都内ではなかなかありません。ただ、どれかを満たしていないからといって良いサウナ体験ができないというわけではなく、あくまで上記は理想の羅列。行ったサウナで揃っていたら「お、ここは気合いが入っているね」と思うぐらいの感覚でとらえてもらえれば。

私が実質サウナにハマったきっかけとなった『おちあいろう』は、全部を満たしていました。それもそのはず、“ととのえ親方”と呼ばれるプロサウナー・松尾大氏が監修しているため。サウナ体験を知り尽くした人が手掛けたサウナは、導線や細部に至るまで心配りが感じられました。

 

さあ、疲れも不眠も憂鬱も停滞もSNS中毒も吹き飛ばそう

自分の覚え書きも兼ねていろいろと書いてきましたが、サウナ未経験の人も、ととのい未体験の人も、食わず嫌いの人も、「サウナ良いとこ一度はおいで」です。

ただし、飲酒後、妊娠中、高血圧や心臓に持病のある場合など、サウナが適さないケースもあるので、事前に自分の状態を確認してからどうぞ。

そしてサウナは中毒性が高いので、一度サウナへのドアを開けたら最後、ハマってしまうかもしれません。

そしたら日本全国、果てはフィンランドやエストニアまで、世界のサウナを巡りましょう。私も人生で初めて、サウナを目的とした旅を決行します!

(日本だけでも、北海道から沖縄まで多彩なハイクオリティサウナがあるので、旅先選びもまた楽しい)

サウナ好きの方、おすすめサウナの情報をぜひ教えてください!

 

サウナを深く知りたい方へ

「もっと科学的に知りたい」「日本全国のサウナーおすすめ施設を知りたい」という方へ、参考になる書籍やサイトを置いておきます。

サウナ雑誌はここ数年で出版されたものはほぼ目を通しましたが、圧倒的にわかりやすかったのがこの2冊。この2冊があれば、知識から施設まで網羅できます。

上記のムックにも登場する医者でサウナーの著者が、サウナを解説している本。

使っているサウナハット。白樺の繊維を織り込んだ生地でできた今治タオル地の帽子で、厚手だからしっかり頭皮と髪を保護してくれるし、厚手なのに絞りやすい。厚手ゆえ少々乾きにくいのが気になるけど、洗濯できるので衛生面も心配なし。

サウナハットはさまざまな種類がありますが、タオル地で洗濯できるものがよいです。汗含め濡れた状態の時間が長いので、洗濯できないのは致命的。

毎年発表されているサウナの全国ランキング。アーカイブもあります。

サウナの施設概要やクチコミがまとまっているサイト。


サウナの世界は奥が深く、同じサウナに行ってもその日の気温や室温、水風呂の温度や風の有無などによって、同じサウナ体験は2回と訪れません。だからこそ、お気に入りのサウナに通ってベストととのいの条件を研究するもよし、日本全国のサウナを試してフィーリングが合う施設を探すもよし、どんな選び方もどんな入り方もオールOK。

日常のルーティンとして組み込むと、疲れ・不眠・憂鬱・停滞・SNS漬けと疎遠になれる合法ドーピング、サウナ。だまされたと思ってぜひ気軽に試してみてください〜〜。一度ではその良さを体感できなくても、数回繰り返していくとからだも慣れて効果効能を感じられます。

「思いわずらうことなく愉しく生きよ」という江國香織の小説タイトルが好きなのですが、まさにその状態にいつでもなれる、それがサウナです。


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