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Op.14 進化


Sonntag, Oktober 28


3年ぶりの幕張メッセ。

大学1年生の夏、朝から晩まで“クラシックではない音楽”に塗れた一日を過ごした。暑くて暑くて、いくら水分を摂っても足りないくらい暑くて、でもそれ以上に楽しくて楽しくて、とにかく夢中で。あの初めての体験は、今の私を構成する中で、ほんの僅かでも絶対に要素となっている、そんな気がする。

前日の夜にドイツから帰国したのに、よく6時に起きて海浜幕張まで行ったなあ。
一緒に行った親友は飲みで朝帰りだったなあ。
ふたりとも睡眠不足で、モッシュに全力で巻き込まれに行ったし、よく喋るくせに滑舌悪いし、大したことないのに死ぬほど笑ってたし、かと思えば突然電池が切れて遥か向こうにいるアーティストを座席から眺めてみたり。でも、終わりが近づくにつれてお疲れハイを本領発揮して。帰り道で見た花火を見て、思わずうるっときてしまったのも覚えている。

あの日は、これでもかと言うほど、「夏」だった。




ふらっと行く気分でいたのに、なぜか数日前から楽しみで仕方なくなった今回のライブ。

ライブ慣れしてない私を誘ってくれたことにびっくりしたけど、結果もんのすごく楽しかった。ただ楽しいだけじゃなくて、(ああ、来て良かった。本当に良かった)って何度も何度も噛み締めた。


同じ電車に乗るはずだったのに間違えて早く行っちゃったから新木場で合流。

10時過ぎに海浜幕張に着いて、人の流れに乗って会場まで向かったけど。物販の場所も把握できたけど。
あの、物販の列って、列の最後尾って、どこ?
行列を辿って最後尾を探す。
会場からコの字を描いてマリンスタジアム傍まで行って、ようやく列のしっぽを見つけられた。
「まあ、2,3時間のうちに買えるよね」なんて呑気なことを言っていたら、続々と売り切れが出ているという情報が。
お目当てのTシャツは買えなかったけど、その分でかわいーいパーカーをゲットして、お揃いの写真も撮れた。満足。

開場前のお手洗いの列は40分ほど待った。アトラクション並み。なんで、女子トイレって、どこに行ってもあんなに並ぶの?

自分たちの整理番号が呼ばれるまで会場前で待機。会場から漏れるピンクのライト。(あ〜〜すぐそこにあるのに未知なあの空間こそ私のここ数日間のうずうずの対象なんだ!)って、心の内で、ひとりで舞い上がった。

いざ、バンドを付けて会場入り。
ピンクに染まったこの空間は、もうじき二万の人で埋め尽くされる。そう思うと、たったひとりで、二万人全員が自分を観に来てくれたこの場所で、自分らしく在ることができるうちの最高のパフォーマンスをする精神的な強さをも尊く思えてしまった。こういうことを考えてしまうのは、職業病なのだろうか。

開演時刻になり、心の準備をし始めるファン。空気がさっと変わる、あの瞬間が私は好きだ。
まずはバンドメンバーが登場。4万の数の手が生む拍手の迫力に身体まで浮きそうだった。

そして、最後に現れたのが、米津玄師さん。どうしても呼び捨てにできない、米津玄師さん。夢みたいだ。ライブ中何回思ったか分からない。夢みたいな、事実と現実がそこには在った。


LOSER
砂の惑星
飛燕
メランコリーキッチン
春雷
アイネクライネ
amen
Paper Flower
Undercover
爱丽丝
ピースサイン
TEENAGE RIOT
orion
打上花火
Flamingo
Lemon

-アンコール-
ごめんね
クランベリーとパンケーキ
灰色と青


なんて美しいセトリ!
LOSERで冒頭から盛り上げっぱなしで、春雷まで昂揚感でどうにかなりそうだった。

溜めに溜めた先のアイネクライネは、初っ端のワンフレーズ聴いただけで目に汗。
「あたしあなたに会えて本当に嬉しいのに
当たり前のようにそれらすべてが悲しいんだ」
アカペラから始まるのってずるいよなあ。
音楽と言葉って、融け合うとこんなにダイレクトに入ってくるものなんだなあ。

2万人を相手に
“こういう美しい空間を、またどこかのタイミングで、一緒に..作ろうね!” ってひょいっと出した手にまで魅せられてしまったよ。

ライブでいちばん響いた言葉。
“変化すること、遠くにいくことを、自分は美しいことだと思っているから”
ああ、そうだよな。近くに感じていた存在がいつのまにか遠のいていて、悲しくなったり悔しくなったりすることが私もあるけれど、あれは羨望以上の憧れであって、私が顔をまっすぐ上に向けて、見上げて前を向ける理由になってるんだ。そして、祖父が亡くなったことも悪いことばかりではないのかもしれない。

米津さんが「美しいと思っている」ことを、私も噛み締めて生きていきたい。“米津玄師”というアーティストを、ひとりの人間として憧れるきっかけになったライブでした。

本当に、あっっっという間の2時間だった。
素敵な感得をありがとうございました!

また、変わり続ける憧れの人の姿を観に行きたい。今の私ではない私として。



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