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モニター環境の重要性

スタジオモニターのセールスでアマチュアクリエイターの方は専門誌のプロのエンジニアやクリエイターの方のレビューを参考にしている方も大勢いるのでは?と思います。

スタジオモニターはレコーディングスタジオの現場以外でのリファレンス再現性がないため正確な評価がし辛い所でもあります。再現性とはモニターの設置環境を完全に全てのモニターで一致させての音像や音質、音場の再現性の事です。

試聴した瞬間にテンションのあがるハイエンドのスタジオモニターがあります。音楽を制作する上でこのテンションとの出逢う瞬間はとても心地が良く、制作のモティベーションも一気にあがります。しかしハイエンドのスタジオモニターに手を出せない新人クリエイターの方も大勢いるのでは?と思います。その方々の為に今回はモニター環境整備の工夫についてコラムします。そしてこの工夫を将来的にハイエンドのモニターをGetする際のリファレンスに活かしてみて下さい。

ホームスタジオでのmixはレコーディングスタジオでのmixと意図も異なるという点を理解しておく必要があります。ホームスタジオではいかに楽曲を採用に結びつけるか、という事に終始し、レコーディングスタジオではユーザーやマーケットの嗜好を最大限考慮する必要があります。

レコーディングスタジオにおいて定番のGENELECや10Mを既にホームスタジにGetしているクリエイターもいると思います。前者は勢いエナジーが多分にあり、後者は解像度も高くレコーディングスタジオのスタンダードで共にとても優秀なモニターでありますが、ホームスタジオにおいては単体のモニター稼働よりも、複数のモニターで足りない所を補う事で最適なmixをオーガナイズする事が可能です。

前述したホームスタジオ制作のプレゼンテーション先は主にコンペ発注元のメーカーのディレクターやアーチストサイドになります。そこで彼らのモニター環境を意識したmixのセットアップが必要になります。大筋でmac - iTunesの組み合わせ(アニメ系クライアントはwindowsを好む方もいます)になります。iTunesのヘッドフォンを意識したmixがとても重要になるのと、mp3にて送付する際のHiの減衰やLowのニュアンスの変化等も考慮する必要があります。ブースト系プラグインがあると思いますのでmixを繰り返す中でPCのインナーイヤー型ヘッドフォンで繰り返し試聴しニュアンスの近いものを常にセットアップしていく必要があります。このPCとはDAW上でのリスニングでなく、mp3にバウンスした後のiTunes試聴等のPCの意です。可能であれば別PCが良いです。そしてディレクターのリスニング環境を意識したmixが必要になります。

私の環境ではRoom、Overhead 等で使用される系のEQプラグインでHiを付け足すニュアンスがiTunesの減衰をカバーするイメージを大切にしています。それぞれの宅録mix環境で違いがあると思いますので色々試してみて下さい。

PC(iTunes)モニターには3万〜クラスのPC試聴用インナーイヤーヘッドフォンが必修となります。もし低音もきっちり再現出来る高解像度の高価なスタジオモニターを所持してない場合はLowをしっかり拾うタイプのインナーイヤーヘッドフォンがバウンス音源の確認ではマストです。

ラジカセはレコーディングスタジオでも常備されており、モニターチェックでは必ず確認されるモニター環境でもありますのでホームスタジオにも必修です。民生機に一番近いニュアンスなのと、楽曲選考を複数人で行う際にセレクトされる機器でもあります。

Mid〜Highエンドのパワーモニターを所有の方、また後述するサウンドプルーフの処理により安価なモニターでも工夫のある場合は低音の解像度をパワモニに委ねても良いですが、私の場合のベースマネジメントはスタジオモニターより少し高価なPC用インナーイヤーヘッドフォンにてバウンスしたmp3にてLowのチェックを行うのが信頼性の高いルーティンになっておりレコーディングスタジオより劣るスタジオ環境をカバーしてます。

ベースマネジメントは可能な限りオーガナイズしておく必要があります。もし安価なモニターしか所有していない場合は、モニター後ろ、部屋隅、天井 etc...のサウンドプループ、防音処理が非常に重要です。市販の防音材でもいいですが、枕や布団、クッションや自作でグラスウールなど使用したものなど素材は何でもOKです。低音の違いをプルーフを設置する場所、形、素材 etc...で色々試してみて下さい。おそらく多くのクリエイターが不必要に溜まった低音を削ぎ落とした結果、Lowがスカスカなサウンドを実感出来ると思います。しかしそれが実際のmixの音なのです。このベースマネジメントの拙さをうまくオーガナイズできる事で「本物の音」を聞いた事のない、昨今の新人クリエイターの数多くの作品より何ランクも上の、違いを生み出せるmixが可能になります。


宅録モニター環境で必要なのは

 ・スタジオモニター:安価でもいいが特にスピーカ裏の防音はしっかり
 ・ラジカセ
 ・PC用インナーイヤーモニター(バウンス確認):3万以上クラス

mixでは

 ・ディレクターの試聴環境を意識したmix
 ・DAWでmp3にmixする際、減衰されるHi その他を意識する


*写真は以前使用していた私のホームスタジオです。モニターはデスクにパワーの異なるパワモニ2つ、コンポ用モニター1種類、PCモニター1種類。右サイドにラジカセ1つ、というセットアップでした。現在もこのセットアップを使用してますが主に、上述した3セットのみでmixを行ってます。安価なモニターだったとしても特性を完璧に把握し、足りない部分の解像度やニュアンスのチェックを他のモニターで補い、トータルで全ての帯域、音場、空間を理解すると、より完璧なmixをオーガナイズ出来ます。そして数多くのクリエイターがそのフェーズを通過して早くハイエンドモニターをGet出来る様になればいいな?と思います。ハイエンドの世界は音楽を更に別次元の楽しみに誘ってくれます。



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