見出し画像

空手の大会で優勝した息子に、取材ライターの母がインタビューしてみた

週末は、子どもらの空手大会。

小2次男にとっては初めての公式戦。
小6長男は、小学生として迎える最後の大会です。

早起きしておにぎりを山ほど作り、いざ武道館へ。

次男は初戦で負けてしまいましたが、互角の相手と延長戦に持ち込む大健闘でした。

長男は前回の大会で力を発揮できず不本意な結果だったので、「まず楽しもう。一勝でもできればラッキーだね」とのんびり話していたのですが、ストレートに勝ち上がり、あっという間に決勝戦。

息子は身長173cm。
小学生にしてはかなり大きいのですが、決勝戦の相手は息子を上回る高身長で、技のキレも抜群です。
お互いの手足があまりに速く激しく動くので、何が起こっていてどちらが優勢なのか、素人には全然わかりません。
隣で応援している次男が「お兄ちゃんの技が決まったよ!」などと教えてくれます。

私は観客席にPCを持ち込み、観戦の合間にのんびり原稿など書いていたのですが、途中からそれどころではなくなり、2階から転がり落ちそうになりつつ子どもの名前を叫んでいました。
セコンドとして付き添う夫もボルテージが上がり、コート脇で声を限りに叫んでいます。

息つく間もない1分半が終わり、肩で息をする2人が並んでコートに立って、審判の判定を待ちます。
相手が勝てば上がるのは白い旗。
息子が勝てば赤い旗です。

3人の審判がそろって赤を掲げ、小学6年生男子部門での息子の優勝が決まりました。

次男と手を合わせて喜び、階段を駆け降りて長男のもとへ。
もう背伸びしないと届かなくなった肩を抱きしめました。
長男は目を潤ませて、本当にうれしそうです。

息子らが尊敬してやまない師範をはじめ、お世話になっている先生方、先輩やお友達、後輩たちに祝福してもらっている姿を見ながら、かさねがさね、うちの子たちは道場に育ててもらっているなあと思いました。
親にできるのはもう、アシ(送迎)とメシを提供するくらいで、大切なことはみんな道場の皆さんから学んできます。
結果もさることながら、少年時代をもうひとつの家庭みたいな場所で過ごせているのは、かけがえのない経験と思うのです。

帰宅してから、試合中の感覚を息子にインタビューしてみました。

   🎵

私:すごいスピードで全力で殴り合っているけど、痛くないの?

息子:試合が始まると、痛いっていう感覚はなくなる。
殴り合ってるっていうか、言葉を使わないでコミュニケーションしてる感覚なんだよ。
最初の一発で、「こんにちは。あなたはどんな人ですか」って質問する。
相手から「僕はこんな人です」って次の一発で返事がくる。
「わあ、そうなんだ!」ってめちゃくちゃうれしくなって、楽しくて、時間の流れる速さが急にゆっくりになる。

私:相手から返事が来たら、次にどんな技を出すか、高速で考えるの?

息子:試合中は、あんまり何も考えてないかな。
相手の動きがゆっくりに見えるから、それに合わせて、体が覚えてる技を出す。
稽古してない技は使えないけど、体が勝手に動くよ。

私:お父さんがコート脇で叫ぶ声、聞こえてた?

息子:いや、音はほとんど聞こえてない。
後から動画見て、「お父さんもお母さんも叫びすぎでしょ」と思った(笑)

私:1分半全力を出し続けると、後半は疲れてくるよね。つらいなあって思う?

息子:試合中はつらいとか感じない。ただひたすら楽しい。
僕が蹴って、相手が応える。
相手が打ってきて、そう来たかと思って僕が返事をする。
この時間がずっと終わらなければいいのにって思う。
1分半だけど、5分くらいに感じるよ。

だからね、いいコミュニケーションができたなーっていう試合の後は、どっちが勝っても負けても関係なくて、だいたいお互いにこにこ笑ってるんだよ。
「ありがとう、楽しかったね!」っていう気持ち。

勝てばもちろんうれしいけど、それは「これでまた、もう1回試合ができる!」っていう気持ちが大きい。優勝する人が、一番たくさん試合ができるでしょ。だからうれしいの。

   🎵

試合中、痛みを感じないのはたぶんアドレナリンが出ているからだと思いますが、翌日の息子は全身筋肉痛で、腕を上げるのもつらそうでした。
人の体って本当に興味深い。

私自身は筋金入りの文系で、頭で考えて言葉でコミュニケーションをとることを専門にしているので、体でコミュニケーションするという感覚が新鮮で、めちゃくちゃ面白いなーと思いました。
自分では体験できないこと、子どもたちの経験を通じて教えてもらっている気がします。

今日からまた、子どもたちは週5日の道場通いを再開。
私も大きな鍋に栄養たっぷりのごはんをこしらえる寮母さんの暮らしに戻ります!

読んでいただきありがとうございます! ほっとひと息つけるお茶のような文章を目指しています。 よかったら、またお越しくださいね。