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【最近は、こんな感じ】 個性のほうが大事。

上海で生活する女の子たちの日常って?
ファッション、メイク、食べもの、よく行くお店。あと、普段考えていること。悩んでいること。そして目標。
そんなあれこれを、同じ目線で聞いてみた。
@mie_shanghai

09 一梅

<Profile>
一梅(イーメイ)  
生まれ年:1996年
出身:安徽省蚌埠市
職業:博主(インフルエンサー)
Ins @xiaohailuo_
小紅書 @富民女孩_

ファッションは参考を探したり、
流行や人目を気にしたりしなくてOK。
誰も着てない服がいちばんおしゃれ。
一梅さんの話を聞いてそう思って、
気が楽になった。
インフルエンサーの力。


――ファッション系インフルエンサーとして活躍中ですね。始めたきっかけを教えてください。
一梅 ファッションに興味を持ったのはパタンナーだった母の影響です。近所の人たちがみんな仕立てを頼みにくるほどの人気で、私も小さい頃から服をつくってもらっていました。大学では服飾デザインを専攻していましたが、やってみると母と違って不器用で、ヘタで。デザイナーにもなれないと思ったし、ブランドの管理業務もできないと思い、販売やPRのほうに興味を持つようになったのがきっかけです。

――日々どんな生活をしているんですか?
一梅 たとえば今日だと、朝7時に起きて、1時間語学の勉強。その後友達と30分電話でおしゃべりして、フィットネスバイクで運動。終わったら、自分で朝ごはんを作ります。今日はトースト、アボカド、卵。パンが好きですね。食べながら今日やることを考えて、午後は招待された松江区のファッションショーのイベントへ。夕方は誘われていた『SEPIA SHOWROOM』(※)のイベントに顔を出しました。普段も今日みたいにDMで招待状を送ってくれた主催者のイベントに行くことが多いです。

※古いビル内の隠れ家スペース(四川中路200号303室)。デザイナーやアーティストによるポップアップイベントを開催している。

“普通の服は、買ったときが好きのピーク”

――SNSで注目を集めるコツは何でしょう。
一梅 「いつも楽しく」だと思います。楽しいこと、自分が好きなものをアップすること。反応が薄かったり、閲覧数が少ないことを気にしていたこともありましたが、最近は「自分なりにやればいいか」と思えてきたところ。日々思いもしない人に会えたり、新鮮な物事に出会えるのがモチベーションになりますね。フォロワーさんは若い女の子ばかりです。

――中国のファッション業界はいまどうですか?
一梅  まだコロナの影響も残っていて、段階的に回復している感じです。アパレルの仕事をしている友人達もすごく大変そうです。でも、中国のファッションブランドは私はどんどん良くなっていると思う。注目しているのは『UMA WANG』。今日着ているのも上下『UMA WANG』です。あとは『ShuShu/Tong』ですね。

一梅 このジャンパーは『有尾』というブランドのもの。今日の昼間のショーでサンプルとしていただきました。秋冬の新作だそうです。袖がファスナーで開くんですよ。

――バッグも素敵。
一梅 多分大学出たてくらいの、すごく若いデザイナーさんがやっている『Vinzoo』というブランド。バッグは、すごく大きいかすごく小さいかのどちらかが好みなので愛用しています。

――「勢いのある中国ブランドを日本のショーに呼びたい」というような声も最近聞きます。
一梅 そうなんですか。でもどうかなあ……。日本のファッションは、系統(ゆるふわ系、ギャル系など)の括りがあるものや、まわりに馴染むテイスト、少女っぽい感じが主流ですよね。でも私は誰かと同じだとつまらないと感じるから。いくら高級で有名なインフルエンサーが着ていたとしても個性がない服は魅力的じゃない。中国ブランドは、そこを満たしてくれるものが多いと思います。日本の服は日常着、中国ブランドの服は衣装っていう気がする。なので、日本のニーズとはちょっと違うかな。

――服を選ぶ決め手は個性?
一梅 はい。どう見られるかとか流行よりも、個性のほうですね。そういう人は多いと思う。だから上海で古着が流行ってきてるんだと思います。新しい服は同じようなものが多いですが、古着は一点ものが多くて、ほかの人と被らないから。あと、私の服選びの基準は長く着られること。今日着ている『UMA WANG』は、年をとっても着られるデザインだと思って選びました。買ったときは「どうかなー」と思ったのですが、数年経ってだんだん好きになってきた。多分、買ったときが好きのピークだった服は普通なんです。時間が経つにつれてさらに好きになるのがいい服なんだろうなと思っています。

“褒めたり慰めたりできる人”

――10年後、一梅さんは何をしていると思いますか?
一梅 何をしているんだろう……。毎日楽しく、好きなことをやっていられればいいかな。

――今後誰かと出会ってつきあうとしたら、どんな人が理想ですか?
一梅 お互いにそれぞれ趣味や好きなことがあって、それを尊重し合えるのがいいですね。あとは、人を褒めたり慰めたりできる人。

――上海では、「男性は持ち家がないと結婚できない」と言われますが、そういうのは気になりますか?
一梅 まわりの友達はそれを条件にしている子が多いです。安心できるし、そういう人の方が親に紹介しやすいから。でも私は別に家は持っていなくてもいい。ずっと上海で暮らすとは思ってないので。友達のなかには、仕事も成功していて資金もあって彼氏もいるけど結婚はしないという子もいるし、マッチングアプリで常に婚活している子もいる。だから、結局はみんな人それぞれだと思います。

――朝のルーティーンで語学の勉強をしていると言っていましたが、何語ですか?
一梅 日本語です。日本人の友達と日本語で話したり、日本で買い物とかできるようになりたいと思って。でもまだ始めて半月です。『Moji』っていう辞書アプリで検索しながら少しづつ。行きたい場所は渋谷と下北沢です。買い物したい。あとは富士山を見てみたい。最近、「自然って癒されるな」と思うようになって公園によく行くようになりました。上海市内のお勧めは『共青森林公園』『世紀公園』『長風公園』です。
(取材日:2022年12月20日)


<彼女のお勧め>

『韓国厨房』(上海市静安区胶州路210号)
☆雰囲気が良くておいしくて安い。友達が韓国料理好きなのでよく行く。お勧めは海鮮トッポギ。

『Alimentari Grande』(上海市徐匯区東湖路20号101−201室)
☆お酒を飲みながら気軽におしゃべりできる。幸せな気分になれる。

『五里関火鍋』(上海市長寧区愚園路108号2階1号)
☆まだ上海店には行ったことがないけど、成都の本店で食べたことがあってすごくおいしかった。特に「耙牛肉」と「耙鶏爪」。すごく柔らかい。もともと重慶にしかなかった料理だそう。


text
萩原晶子
フリーライター。上海にて2007年頃よりガイドブック、ファッション誌、機内誌、ウェブなどの記事を手がけている。
カルチャー誌『Ketchup.』(上海と東京で販売)など。
ins:@hagiwara_akiko_
微博:Akiko06

photo
阿部ちづる
2006年にフォトグラファーとして独立。ファッション誌、ビューティー誌、週刊誌、写真誌等のグラビア、ポートレート写真を撮影。アイドルグループやグラビアモデルからのアーティスト写真撮影で指名されることも多く、女の子の新鮮な表情を切り取る。
佐々木希『ささきき』(集英社)、武田玲奈『Rena』(集英社)ほか多数。
ins:@chizuru0821
https://lov-able.com/photographer/chizuru-abe


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