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【最近は、こんな感じ】 “松馳感”とフィーリング。

上海で生活する女の子たちの日常って?
ファッション、メイク、食べもの、よく行くお店。あと、普段考えていること。悩んでいること。そして目標。
そんなあれこれを、同じ目線で聞いてみた。
@mie Shanghai

02 aki

<Profile>
aki(あき) 1990年生まれ
出身:遼寧省大連市
職業:バイヤー
Weibo:Energy_Fl0w
小紅書:Energy Fl0w
ins:@energy_fl0w

バイヤーとして上海と東京を
行き来しているakiさんは、
日々インスタに上げているもの、
全部がおしゃれ。
その選球眼の磨き方、教えてほしい。


お気に入りのカフェ『BAsdBAN』
(記事下に詳細)にて話を聞いた。

ーーまずは今日のコーディネートについて教えてください。
aki 東京で買った『Kolor』のポロシャツ、『Needles』のボトムス。バッグは『スノーピーク』と『虎へび珈琲』のコラボ。靴は『コム・デ・ギャルソン』と『Salomon』のもの。黒のジャケットは『コム・デ・ギャルソン』の古着です。CDGの古着専門のお店『尖貨販售』(記事下に詳細)で買いました。ファッションを参考にしている人は特にいませんが、雰囲気がいいなーと思っているのは市川実日子です。

ーーメイクはいつもどんな感じですか?
aki 目元だけですね。アイブロウは『THREE』、白いアイラインは『小奥汀』のもの。中国のメーカーです。コスメを選ぶ基準はいつもインスピレーション。検索して、パッと目に入ったものを買う感じ。中国にも実はいいブランドがたくさんあって、最近、それらを日本にも紹介したいなと思ってて。

ーー日本語、話せるんですね。
aki 学生のとき、福岡で1年間”遊学”していました。勉強しようと思ったきっかけは東野圭吾。『白夜行』を読んで大好きになって、原文で読んでみたいと思ったのが最初です。またこの9月から日本に戻る予定です。

ーーお仕事はバイヤーとのこと。雑貨とかですか?
aki 雑貨はちょっと範囲が広すぎるかも。主に日本人作家の器ですね。上海市内のセレクトショップのコンセプトを汲み取って、アドバイスや提案をしたりしています。「良いものだけど、高すぎて使えない」という感じのものではなく、日常で使えるものをメインに扱っています。

カフェめぐりと、家でお気に入りの器を楽しむ日々。
いちばん下は最近好きなフレグランス。

”私、これ好きかも”

ーー日本の器に興味を持ったきっかけは何ですか?
aki 器自体への興味のきっかけは、中国の景徳鎮。陶磁器が有名な街です。そこでなぜか目にとまった作品があった。誰かに勧められたり、値段や有名かどうかなどの事前情報がないのに、「私、これ好きかも」って感じるときが器にはあると思ったんです。日本の器のおもしろさを知ったのは『大江戸骨董市』でした。そこでも景徳鎮が売られたりしていましたね。特に好きな日本人作家? 多すぎて選べない……。3人選ぶとしたら、稲葉知子(ガラス作家)、成田周平(陶芸家)、山田隆太郎(陶芸家)でしょうか。

ーー上海では、いまどんな商品が注目されているのでしょう。
aki お店によってそれぞれ変わりますが、「できるだけ小衆(マイナーでニッチ)なもの」という希望が多いです。あまり知られていないことと、実用的なこと。このバランスがとれているものです。中国は、コロナ前もいまもずっと忙しい生活を強いられている人が多い。日常に焦りやストレスを感じている人がたくさんいます。そういうこともあって、使うことでほっとできるような器はいつも求められていると思います。中国語だと”松馳感”。「余計なことを考えずに、リラックスする」というような意味です。

”視野の広い人でいたい”

ーーakiさんはブームのきざしにもすごく敏感。キャンプブームの前から『スノーピーク』のバイイングをしていたそうですね。
aki もともとキャンプ好きは中国にもいたと思います。私もキャンプは好きですが、熱狂的ではありません。ただ”松馳感”を楽しみに、ぼーっとしに行くだけ。「キャンプの人」とか、思われたくない(笑)。中国での突然のアウトドアブームについては、データがあるわけではないのでなんとも言えませんが、コロナ以降、街を離れて山や海へ行きたいと思った人が急に増えたのが理由でしょうか。それ以降、私もブランド開拓が仕事の割合を大きく占めるようになりました。さらにマイナーな、知る人ぞ知るアウトドアブランドをみんなが求めている感じです。

ーーでは、最近の上海を見て「変わったな」と思ったことはありますか?
aki 中国茶のお店が増えていること! 新天地の『tea's stone』や南昌路の『開吉茶館』など、この1〜2か月で話題のお店がいくつかオープンしていますよね。友達とのんびりしたり、一人でもほっとできるような、「スペースを楽しめるお店」は今後も注目されると思います。

最近オープンした茶館『開吉茶館』
(上海市黄浦区南昌路119号)

ーー日本国内の素敵なショップにもすごく詳しいですよね。
aki おもしろかったお店、気になるお店を約2,000軒マークしたオリジナル日本地図をつくったりしています(笑)。お勧め店? 多すぎて……。特にカフェは、東京にいたときは毎日行ってた。いいお店、多すぎます。あと、日本の魅力の一つとして言えるのは、人との距離感。「東京は孤独」という人もいるけれど、私はビストロや居酒屋へ一人で行きたいタイプ。日本では私は外国人だから、店員さんも特に話しかけてこない。毎回「あー、この距離感、いいなー」と思ってます。仕事柄、というのもありますが、やっぱり”松馳感”を大事にしたい。なんていうか、私が好きなこの感覚を「そうじゃなくない?」って言ってくる人とは議論したくないし、人が好きなものに対して「それは嫌い」とは言いたくない。自分に制限をつくらない、視野が広い人でいたいな、と。
(取材日:2022年8月19日)


<彼女のお勧め>

ーー上海ーー
『MINIM』(上海市長寧区幸福路110号102室)
☆2022年秋正式オープン予定。元フローリストの友達が開いた居心地のいいビストロ。

『MINIM』(プレオープン中に撮影)

『BAsdBAN』(上海市長寧区愚園路546号)
☆すべてが唯一無二。オーナーはひとことで言えば「不中立」な人。自分の好きなことがはっきりしてる。

『BAsbBAN』

『尖貨販售」(上海市黄浦区合肥路590号2階)
☆インタビュー写真で着ている黒のジャケットを買ったお店。CDG専門の古着店。

『尖貨販售』にて。『mie Shanghai』のプロジェクトでも撮影させてもらった。オーナーさんのCDGのコレクションは2,000点以上。貴重な一着に出合える。

『MANUAL ESPRESSO BAR』(上海市徐匯区延慶路15号)
☆日常的でリラックスできる雰囲気。近所にあったらいいなと思わせてくれるお店。

ーー東京ーー

『ten tokyo』(東京都江東区佐賀2丁目1-17)
『SKWAT PARK』(東京都港区南青山5-3-2)
『koti BEAUTY&YOUTH』(東京都港区南青山3丁目14-17地下1階)
『タチアナ焙煎所』(東京都杉並区下高井戸4-8-2)
☆ギャラリー、アウトドアショップ、カフェを選んでみましたが、多すぎて絞れない……。まだまだあります。


text
萩原晶子
フリーライター。上海にて2007年頃よりガイドブック、ファッション誌、機内誌、ウェブなどの記事を手がけている。
カルチャー誌『Ketchup.』(上海と東京で販売)など。
ins:@hagiwara_akiko_

photo
阿部ちづる
2006年にフォトグラファーとして独立。ファッション誌、ビューティー誌、週刊誌、写真誌等のグラビア、ポートレート写真を撮影。アイドルグループやグラビアモデルからのアーティスト写真撮影で指名されることも多く、女の子の新鮮な表情を切り取る。
佐々木希『ささきき』(集英社)、武田玲奈『Rena』(集英社)ほか多数。
ins:@chizuru0821
https://lov-able.com/photographer/chizuru-abe

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