- 運営しているクリエイター
2018年5月の記事一覧
コラボ作品集《端午の節句》 2
『父』
楽な儲け話に失敗し、ふらりと家に帰った俺に
「酒はやらねぇぞ、ケツが青いうちはちまきでも食ってろ」
親父はそう言った。
季節は五月。見慣れた古い鎧兜が、その時もまだ飾られていた。
あれから15年。ちまきを頬張る息子を膝に乗せ、俺は仏壇の中の親父と静かに酒を酌み交わす。
心配かけたな、親父。
☆俳句
コラボ作品集《端午の節句》1
『継ぐ波に乗せ』
「ほら、しっかり持て!」
「持ってるよ!」
息子の為に親父と幟を持って奮闘する。
(うわ…)
重さに焦り、しなる幟を立てた時には汗だくだった。
「フ〜」
「何だ、若いもんが」
笑う親父に、ふと思い出す。
(親父は昔、一人でやってくれてたんだな)
はためく親子鯉を見上げれば、抜けるような青空だった。
俳句 kusabue
140字