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出版社勤務。 落語や歌舞伎などが好きです。 読書は仕事柄‶雑読″。漫画は大好き。ノン…

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出版社勤務。 落語や歌舞伎などが好きです。 読書は仕事柄‶雑読″。漫画は大好き。ノンフィクション、小説もジャンル問わず。積読しがちです……。

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師走にふさわしいさん喬さんの「掛け取り」と権太楼さんの「芝浜」

師走の大手町落語会 日曜日の大手町駅周辺は休みのお店が多いのが残念です。「大手町落語会」が行われる日経ホールがあるビルのスタバもお休み。  しかしながら会場はほぼ満席の盛況ぶり。男女の比率も同じくらいかやや男性が多い感じのようです。ほかの落語会に比べてやや年齢層が高い気がするのは気のせいでしょうか。  権太楼さんが「真っ当な落語をやるのは、さん喬さんと私だけですかね」とマクラで冗談交じりに言うほど今回は新作落語のオンパレードでした。とはいえ、質が高くて面白い噺ばかりでした。

    • 初代国立劇場さよなら公演、安定の菊之助さん、米吉さんは姫役を好演

      『妹背山婦女庭訓』第2部は見ごたえあり   しとしとと雨が降る土曜のお昼前に、久しぶりに国立劇場の歌舞伎を観に行きました。 2019年5月には同じ国立劇場小劇場で文楽の「通し狂言 妹背山婦女庭訓(いもせやまおんなていきん)」を観たのですが、このときは朝から晩までぶっ通しでした。一気に観たので非常に疲れたという印象が残っています(物語の発端となる「大内の段」が98年ぶりの上演にもかかわらず)。  個人的には、この作品にかんしては物語だけを追うと男が二人の女性に二股かけ、それ

      • 松本幸四郎さんが「土蜘」好演

        中村吉右衛門さん3回忌追善興行  昼の部を観に行きました。  第1部の「祇園祭礼信仰記 金閣寺」は、豪華絢爛で歌舞伎の様式美を楽しむ舞台でした。歌舞伎の「三姫」と呼ばれる女形の大役・雪姫が中村米吉さんと中村児太郎さんのダブルキャストで登場しますが、私が観た日は、児太郎さんが演じておられました。  ちなみに、「三姫」の残りは、『鎌倉三代記』の時姫、『本朝廿四孝』の八重垣姫だそうです。  可憐で芯の強い姿を見せてくれる雪姫ですが、最初は大膳によって金閣寺に幽閉され、夫を人質に

        • 夏を感じさせる柳家さん喬さんの「船徳」

           大手町・日経ホールで開かれた大手町落語会。コロナ禍においては入場数を減らし、マスク着用で行われたこともありました。今回はマスク着用については個人に委ねられていました。  会場を見渡すと、ホールは満席。今回で80回を迎えます。全体的に年齢層は高めのようで、自分が座った周りはご高齢の方が多かったのでマスクを着用しました(とはいえ、そのあと見渡すとマスクをしておらず、ずっとつけていると息苦しくなってきてマスクを外したのですが)。 コロナの影響から生まれた落語の難しさ  前座の

        師走にふさわしいさん喬さんの「掛け取り」と権太楼さんの「芝浜」

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        • 落語
          10本
        • 歌舞伎
          11本

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          喬太郎さん、「次回は古典落語で」

           6月24日に催された「COREDO落語会」。  CORED室町の最上階にある日本橋三井ホールは満席です。   仲入り後は喬太郎さんのみで、喬太郎さんも苦笑い  さて「COREDO落語会」は基本、開口一番があってそのあと2人の演者さんの後に仲入りになるのが普通ですが、今回は4人を終えた後です。 「仲入りまで長いなあ」というのが率直な感想でした。 <プログラム> ごあいさつ  山本益博 イヤホンガイド付き「子ほめ」   柳家しろ八  +  三遊亭わん丈 「青菜」     

          喬太郎さん、「次回は古典落語で」

          中車さんとの夫婦役・壱太郎さん好演! 仁左衛門さんの孫・千之助さんも奮闘中

          昼の部主演・中車さんの重責  3日から始まった六月大歌舞伎。昼の部ですが市川猿之助さんの役は中村壱太郎さんが代役となり、市川中車さんとの夫婦役がテレビや新聞などで話題を振りまいています。  この日曜日に歌舞伎座を訪れたのですが、夜の部が3時20分開場と思っていたら30分の開場でした(4時開演)。  昼の部が終わり、中から観客がどっと出てきたのは3時15分。それまで劇場前は人が少なくて静かだっただけに、どっと人があふれ出てきてました。その観客たちの表情を見ると、芝居が良かった

          中車さんとの夫婦役・壱太郎さん好演! 仁左衛門さんの孫・千之助さんも奮闘中

          猿之助さんの出来事に衝撃&眞秀くん、堂々の初舞台

           歌舞伎座の團菊祭、昼の部を観に行ったのは2週間ほど前。 今、振り返って記録しようと思っていたのですが、3日前の猿之助さんの自殺未遂騒動の報道は、あまりにも衝撃が大きかったのでした。  35歳のときに叔父からの依頼を受け、「猿之助」を継いだ亀治郎さん。順風満帆に見えた活躍ぶりを見せていただけに、驚きが隠せません。  一部では週刊誌報道を受けての行動だったようにも報じられていますが、死ななくてもいいのではないかと思うのです(それはご本人にしかわからないものなのでしょうが……)

          猿之助さんの出来事に衝撃&眞秀くん、堂々の初舞台

          今年の談春さん独演会。弟子・こはるの真打ち襲名に向けて突き進む

           今年も浅草公会堂で催された立川談春さんの独演会。  昨年はコロナ禍とあって外国人の観光客の姿は見なかった浅草ですが、今年は大勢の人で溢れかえっていました。浅草寺のわき道を通って浅草公会堂へ。今年は夕方4時からの開演とあって行きやすい気がしました。  3日連続公演の初日。  この日は、談春さんのお弟子さんのこはるさんがこの名前で高座に上がるのが最後です。  どうやら去年の同じ時期にこの場所で開かれた独演会で、こはるさんが「桑名船」を演じたときの客席の反応を見て、談春さんがこ

          今年の談春さん独演会。弟子・こはるの真打ち襲名に向けて突き進む

          18年ぶり! 圧巻の仁左衛門さん&玉三郎さんの「切られ与三」

          「鳳凰祭四月大歌舞伎」の夜の部「与話情浮名横櫛(よわなさけうきなのよこぐし)」を心待ちにしていました。  この4月から通常の「昼の部」と「夜の部」の2部制に戻りました。  片岡仁左衛門さんと坂東玉三郎さんの黄金コンビによるこの演目の共演は18年ぶりとのこと。演歌だったか、浪曲だったか忘れましたが子どもの頃にうっすら耳にした「お富さん」という名前。どうやらこの演目のお富さんだったようです。  男女の不思議なめぐり逢いを描いた世話物の名作。今のテレビドラマなどからすると正直、物

          18年ぶり! 圧巻の仁左衛門さん&玉三郎さんの「切られ与三」

          仁左衛門さんの「霊験亀山鉾」は必見!

          歌舞伎座で最初で最後の演目 2月大歌舞伎の第3部は、片岡仁左衛門さんの通し狂言「霊験亀山鉾 亀山の仇討」です。  2017年の国立劇場で催された際に初めて観たのですが、記憶とはいい加減なもので最初の幕が始まってもなかなか思い出せません(仁左衛門さん扮する藤田水右衛門はバッチリ覚えているのですが、仇討の場面から始まったことがぽっかり抜けていました)。  「石和河原仇討の場」では、毒を盛られて弱った状態で挑む石井とそれを冷めた目で見る水右衛門との対比がこれからの物語の展開を予期

          仁左衛門さんの「霊験亀山鉾」は必見!

          桂宮治さん、笑点新メンバーをイジる

          宮治さんの独演会は「笑点」収録直後 2月4日(土)の国立演芸場で開かれた桂宮治さん独演会。 開演後、飛び出てきた宮治さん。いつも以上に勢いをつけたせいか、足が滑って膝をやや痛めた様子。 そんな宮治さんですが舞台に戻ってきて会場を見渡すと、いくつか空席があるのを見つけてイジります。 「早々に完売したのにどうして空席があるんだろう」 なかには遅れてきたお客さんもいて、そんなお客さんに「今、お客さん一人ひとりに『笑点』の新メンバーはだれだと思うか訊いているんですよ」と言い、相手に

          桂宮治さん、笑点新メンバーをイジる

          松本幸四郎さん、苦戦

          空席が目立つ初春大歌舞伎第3部1月の歌舞伎公演が終わったので、第3部を振り返ってみようと思いました。 第1部の「卯春歌舞伎草紙」「弁天娘女男白浪」を先に観て、違う日にこの第3部のみを観劇しました。 目的は役者ではありません。通しで「十六夜清心」が上演されるという点です。 歌舞伎の演目はたいてい人気のある幕の一部しか観られないのでこうした機会は貴重なのです。 恋に溺れて寺を追われた僧・清心を松本幸四郎さん、清心を思い、廓を抜け出した遊女・十六夜を中村七之助さん、そして白蓮を中

          松本幸四郎さん、苦戦

          團十郎襲名。新之助くんに期待

           昨年11月、12月に歌舞伎座で行われた市川團十郎披露公演。  熱烈な海老蔵さんファンでもない私ですがが、團十郎襲名という大きな出来事ゆえに実際にその目で見てみたいと思い、観劇しました。  会場内は客層からしていつもの歌舞伎座に来るお客さんより全体に年齢層が若い印象です。  仁左衛門さんと玉三郎さんが出る2日間のみのチケットは瞬殺で取れませんでした。プレミアですからね……。 「海老蔵」最後の舞台は……  当初予定されていた時期から約2年半の時間を経て行われた襲名披露興行

          團十郎襲名。新之助くんに期待

          初春大歌舞伎、第一部は華やかに

           1月初めに歌舞伎座に訪れて第一部を観劇しました。 「卯春歌舞伎草子(うどしのはるかぶきぞうし)」で幕を開けたのですが、この日はかぶき者の左源太(片岡愛之助さん)と右源太(中村勘九郎さん)を呼ぶときに、なぜか「左團次さん、右團次さんを呼びましょう」と言い間違えてやり直して呼びかけることに。  左源太さん扮する愛之助さんも花道から舞台に着いたときに「違う名前で呼ばれたから出づらかったよ」と言い、会場の笑いを誘い、場内の空気は和やかになりました。  勘九郎さんと愛之助さんが賑や

          初春大歌舞伎、第一部は華やかに

          浅草は大賑わい。談春さん独演会も盛況

           ゴールデンウィーク真っただ中の浅草はコロナ禍では見られなかったほどの人出でごった返していました。  今年はようやく蔓延防止措置もなく、普通に出歩けるようになりましたね。浅草寺に向かう仲見世のあたりでは、メンチカツやお団子、アイスクリームなどお店近くで食する姿もあちこちで見かけました。当たり前のように見ていましたが、久しぶりにこうした風景を目の当たりにしたなあと後で気づいたのです。  もちろん、浅草寺に向かう人たちはマスクをしています。感染対策への注意は損なわれていません。

          浅草は大賑わい。談春さん独演会も盛況

          3年ぶりの桂文珍さんの大東京独演会

           東京で開催する桂文珍さんの「大東京独演会」は3年ぶりだそうです。  今回はお客さんのリクエストをアンケートで募り、噺を高座にかけるということでしたが……そこは、文珍さん。ストレートに話が進むわけではありません。    前回、文珍さんの独演会を訪れたのは2020年3月20日。国立劇場を訪れたのはコロナ禍の真っ最中でした。噺家生活50周年の記念として、日替わりゲストを招いた20日間の興行でした。会場も国立劇場の大劇場という、途方もない試みをされたのですが、舵取りは難しかったよう

          3年ぶりの桂文珍さんの大東京独演会