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浅草は大賑わい。談春さん独演会も盛況

 ゴールデンウィーク真っただ中の浅草はコロナ禍では見られなかったほどの人出でごった返していました。
 今年はようやく蔓延防止措置もなく、普通に出歩けるようになりましたね。浅草寺に向かう仲見世のあたりでは、メンチカツやお団子、アイスクリームなどお店近くで食する姿もあちこちで見かけました。当たり前のように見ていましたが、久しぶりにこうした風景を目の当たりにしたなあと後で気づいたのです。
 もちろん、浅草寺に向かう人たちはマスクをしています。感染対策への注意は損なわれていません。

本堂にたどり着くまでにかなり時間がかかりそうだったので、諦めました。

 浅草への人出は去年の2倍以上だとか。コロナ前に比べると少ないそうです。
 その浅草寺の近くにある浅草公会堂では、立川談春さんの独演会が開催されました。5夜(連続ではありませんが前半は3日間連続、後半は2日間連続)にわたる落語会です。

「慶安太平記(箱根山)」はもともと講談です。
 談志さんが落語にしたものを談春さんが今回、高座にかけたそうです。以前にも談春さんはやっておられますが、私は今回、初めて聴きました。
僧侶・善達と、怪しい飛脚の十兵衛が目的地に向かう途中で起こる意外な出来事。2日にわたってハラハラした展開が続き、さて今宵は、と待ち構えていると肩透かしとなるから、とマクラで談春さんが説明します。
 期待していた続きはスパッと終わり(無事に善達は京都・知恩院に300両を届け、徳川家への奉納金3000両を奪い取った飛脚に扮したお頭を無事に送り届けた)、舞台は東海道三島。
 一膳めし屋での善達の振る舞いがこれまた豪快。さらに箱根の山を越えようとして旅人を襲う輩への対応がこれまた会場から笑いがどっと起こります。

「慶安太平記」は1夜めからの連続です。

 そして「居残り佐平次」。毎回、細かな工夫を凝らすこだわりのある噺です。今回ももとのネタのオチを最後までやらず、店から出ることになった佐平次を表から送るように主人が言ったところ、店の若い衆が「金や旦那の着物までやって、表から帰すなんて冗談じゃありやせん。裏から帰しましょう」と反論。その言葉に対して主人が「こんなやつに裏から帰らせてみろ。あとが怖い」というサゲでした。

 2017年1月の品川プリンスホテルで開かれた独演会のときは佐平次が出て行ってしまってから主人と若い衆のやり取りで「裏を返す」云々のサゲにしていた記憶があります。
 あのときと比べて細かい演出はまた一味違うのでしょうが、今回は遊びの部分で「おもちゃのチャチャチャ」と「南の島のハメハメハ大王」をミックスした歌を佐平次がお客さんの前で歌うといった場面がありました。これは個人的にはこちらよりも花魁たちに佐平次さんが重宝される場面を描いた方が佐平次の器用さが際立つような気がしました。

 余談ですが、この品川の独演会のときの開口一番「小噺」でちはるさんが高座に上がったのですが、あっという間にいなくなってしまいました(一昨日のマクラで談春さんが、泣いて入門した者が泣いて辞めさせてくれ、と言ってくることもあったと、必ずしも自分が破門したばかりではないと仰っておられましたが、ちはるさんの理由は知りません。こはるさんより線が細そうだったのでもつかなあと気にしていたのですが)。
 とはいえ、知らない間にこはるさん以外にもう一人弟子ができたようです。その弟子の男性の落語はまだ聴いたことがないので、ぜひ続くことを願っております。

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