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歌舞伎

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初代国立劇場さよなら公演、安定の菊之助さん、米吉さんは姫役を好演

初代国立劇場さよなら公演、安定の菊之助さん、米吉さんは姫役を好演

『妹背山婦女庭訓』第2部は見ごたえあり 

 しとしとと雨が降る土曜のお昼前に、久しぶりに国立劇場の歌舞伎を観に行きました。
2019年5月には同じ国立劇場小劇場で文楽の「通し狂言 妹背山婦女庭訓(いもせやまおんなていきん)」を観たのですが、このときは朝から晩までぶっ通しでした。一気に観たので非常に疲れたという印象が残っています(物語の発端となる「大内の段」が98年ぶりの上演にもかかわらず)。

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松本幸四郎さんが「土蜘」好演

松本幸四郎さんが「土蜘」好演

中村吉右衛門さん3回忌追善興行

 昼の部を観に行きました。
 第1部の「祇園祭礼信仰記 金閣寺」は、豪華絢爛で歌舞伎の様式美を楽しむ舞台でした。歌舞伎の「三姫」と呼ばれる女形の大役・雪姫が中村米吉さんと中村児太郎さんのダブルキャストで登場しますが、私が観た日は、児太郎さんが演じておられました。
 ちなみに、「三姫」の残りは、『鎌倉三代記』の時姫、『本朝廿四孝』の八重垣姫だそうです。

 可憐で芯

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中車さんとの夫婦役・壱太郎さん好演! 仁左衛門さんの孫・千之助さんも奮闘中

中車さんとの夫婦役・壱太郎さん好演! 仁左衛門さんの孫・千之助さんも奮闘中

昼の部主演・中車さんの重責

 3日から始まった六月大歌舞伎。昼の部ですが市川猿之助さんの役は中村壱太郎さんが代役となり、市川中車さんとの夫婦役がテレビや新聞などで話題を振りまいています。
 この日曜日に歌舞伎座を訪れたのですが、夜の部が3時20分開場と思っていたら30分の開場でした(4時開演)。
 昼の部が終わり、中から観客がどっと出てきたのは3時15分。それまで劇場前は人が少なくて静かだっただ

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猿之助さんの出来事に衝撃&眞秀くん、堂々の初舞台

猿之助さんの出来事に衝撃&眞秀くん、堂々の初舞台

 歌舞伎座の團菊祭、昼の部を観に行ったのは2週間ほど前。
今、振り返って記録しようと思っていたのですが、3日前の猿之助さんの自殺未遂騒動の報道は、あまりにも衝撃が大きかったのでした。

 35歳のときに叔父からの依頼を受け、「猿之助」を継いだ亀治郎さん。順風満帆に見えた活躍ぶりを見せていただけに、驚きが隠せません。
 一部では週刊誌報道を受けての行動だったようにも報じられていますが、死ななくてもい

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18年ぶり! 圧巻の仁左衛門さん&玉三郎さんの「切られ与三」

18年ぶり! 圧巻の仁左衛門さん&玉三郎さんの「切られ与三」

「鳳凰祭四月大歌舞伎」の夜の部「与話情浮名横櫛(よわなさけうきなのよこぐし)」を心待ちにしていました。
 この4月から通常の「昼の部」と「夜の部」の2部制に戻りました。
 片岡仁左衛門さんと坂東玉三郎さんの黄金コンビによるこの演目の共演は18年ぶりとのこと。演歌だったか、浪曲だったか忘れましたが子どもの頃にうっすら耳にした「お富さん」という名前。どうやらこの演目のお富さんだったようです。

 男女

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仁左衛門さんの「霊験亀山鉾」は必見!

仁左衛門さんの「霊験亀山鉾」は必見!

歌舞伎座で最初で最後の演目 2月大歌舞伎の第3部は、片岡仁左衛門さんの通し狂言「霊験亀山鉾 亀山の仇討」です。
 2017年の国立劇場で催された際に初めて観たのですが、記憶とはいい加減なもので最初の幕が始まってもなかなか思い出せません(仁左衛門さん扮する藤田水右衛門はバッチリ覚えているのですが、仇討の場面から始まったことがぽっかり抜けていました)。

 「石和河原仇討の場」では、毒を盛られて弱った

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松本幸四郎さん、苦戦

松本幸四郎さん、苦戦

空席が目立つ初春大歌舞伎第3部1月の歌舞伎公演が終わったので、第3部を振り返ってみようと思いました。
第1部の「卯春歌舞伎草紙」「弁天娘女男白浪」を先に観て、違う日にこの第3部のみを観劇しました。
目的は役者ではありません。通しで「十六夜清心」が上演されるという点です。
歌舞伎の演目はたいてい人気のある幕の一部しか観られないのでこうした機会は貴重なのです。

恋に溺れて寺を追われた僧・清心を松本幸

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團十郎襲名。新之助くんに期待

團十郎襲名。新之助くんに期待

 昨年11月、12月に歌舞伎座で行われた市川團十郎披露公演。
 熱烈な海老蔵さんファンでもない私ですがが、團十郎襲名という大きな出来事ゆえに実際にその目で見てみたいと思い、観劇しました。
 会場内は客層からしていつもの歌舞伎座に来るお客さんより全体に年齢層が若い印象です。

 仁左衛門さんと玉三郎さんが出る2日間のみのチケットは瞬殺で取れませんでした。プレミアですからね……。

「海老蔵」最後の舞

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 初春大歌舞伎、第一部は華やかに

初春大歌舞伎、第一部は華やかに

 1月初めに歌舞伎座に訪れて第一部を観劇しました。
「卯春歌舞伎草子(うどしのはるかぶきぞうし)」で幕を開けたのですが、この日はかぶき者の左源太(片岡愛之助さん)と右源太(中村勘九郎さん)を呼ぶときに、なぜか「左團次さん、右團次さんを呼びましょう」と言い間違えてやり直して呼びかけることに。
 左源太さん扮する愛之助さんも花道から舞台に着いたときに「違う名前で呼ばれたから出づらかったよ」と言い、会場

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1985年以来の「桜姫東文章」

1985年以来の「桜姫東文章」

坂東玉三郎・片岡孝夫(仁左衛門)ペアのゴールデンコンビといえば、80年代に確立されたわけで、当時の人気ぶりは凄まじいものがあっただろうと想像できる。

子ども時代に、歌舞伎の凄さをなんとなく認識したのはこの二人のブームであった。その中でも1985年の歌舞伎座で上演されて以来となった「桜姫東文章」。今年4月に「上の巻」と題して上演、この6月に「下の巻」として再演された。

80年代に京都・南座の公演

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歌舞伎再開の喜び

歌舞伎再開の喜び

2月の公演を観て以降、新型コロナウイルスの影響で休演となっていた歌舞伎座。

先日、およそ半年ぶりの再開に日ごろの鬱憤も晴らす形で歌舞伎座に足を運んだ。

感染予防のため、入り口で検温および手の消毒、そしてチケットは自らが切って入場した。会場内の座席には座れない箇所には布製のバンドのようなものでふさがれていた。花道から2席は人が座れないように配置されていて、座敷も使えないようにしている。

会場を

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