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#元寇
幻想小説 幻視世界の天使たち 第14話
命の恩人?そうかあのスーパーセルが起こった時、父が身を挺して助けたイギリス人の子供はボイドだったのだ。きっとボイドはスーパーセルのことを知っていたのだ。父がユースフに話しかけた。
「本当にあのスーパーセルは大変なものだった。ユースフ、お前は今それを研究しているのだってな」
父がスーパーセルという言葉など知っている訳がないが、まだ自分が若いころ亡くなった父が、ユースフの仕事について話しかけてくるのは
幻想小説 幻視世界の天使たち 第6話
ユースフはボイドの提案を受けてから四週間というもの、大学で講義がある時以外、研究室に来なくなった。その間、彼はウリグシクの地方都市に僅かに残るモンゴル帝国時代の遺跡や資料館を訪れ、ある現象のことが書かれた古文書などが現存していないか捜し歩いた。
ユースフは一つの仮説を持っていた。元寇に於けるモンゴル帝国軍の敗走は何か異次元のものと言っても良いような圧倒的な力を伴った自然現象が起こったためではないか
幻想小説 幻視世界の天使たち 第5話
コンバイの設立は今から十年ほど遡る。ロンドン在住のインド系イギリス人ミック・マースによって、オンラインのコンピュータゲームの運用を行う会社としてスタートした。当初は参加者になぞなぞのような簡単なクイズを出していたが、やがて世界の歴史、文化、科学などに関する詳細な質問や暗号解読など、回答に深い知識と鋭い推理力が求められる出題に変化して行き、同時に国際的な大手企業がスポンサーとなる多額な賞金を伴ったチ
もっとみる幻想小説 幻視世界の天使たち 第3話
ユースフ・アリシェロフ教授は中央アジアに位置するウリグシク共和国の国立ウリグシク大学に研究室をもつ歴史学者である。もうすぐ四十歳になる。彼の専門は世界史に於ける征服と征服の過程での戦いの歴史だ。
その中でも、ユースフが数年に亘って研究しているのは絶対的に有利な戦力、戦略を持った軍が、弱小でこれと言った強みのない、勝ち目のない軍に敗退してしまったケースだ。有史以来の戦争の歴史の中では、士気の上がらな